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まいにち易経_0511【リーダーの役割】大有は柔尊位を得、大中にして上下これに応ずるを、大有という。[14䷍火天大有:彖伝]

彖曰。大有。柔得尊位。大中而上下應之。曰大有。其徳剛健而文明。應乎天而時行。是以元亨。
彖に曰く、大有(たいゆう)は柔尊位(じゅうそんい)を得、大中(だいちゅう)にして上下これに応ずるを、大有と曰う。その徳剛健にして文明、天に応じて時に行く、ここを以て元いに亨る。

火天大有(かてんたいゆう)

「火天大有」に学ぶ、リーダーとしてのマインドセット

「火天大有」が説く理想のリーダーとは、自らの技や力を前面に押し出すのではない。むしろ、自分よりも優れた部下の能力を最大限に発揮させることに重きを置く。リーダー自身は組織の中心に徹し、周りを明るく照らす役割を担う。

ろうそくの火を思い浮かべてみよう。ろうそくの炎全体が組織だとする。
燃え盛る炎の中心には、自ら光を放たない芯がある。しかし、この芯があるからこそ、火は力強く燃え上がる。組織体もまた同様だ。このろうそくの新のように、リーダーは目立たないかもしれない。しかし、部下一人ひとりの光を統合し、道筋を示すことで、組織全体を明るく照らす。

すでにあなたの周りには、優秀な人材が集まっている。しかし、まだ十分にその力を発揮できていないかもしれない。それは、あなた自身が過剰に自身の力を発揮しようとしているからかもしれない。

自分の光を控え、謙虚に部下の意見に耳を傾けてみよう。人それぞれの長所と短所を理解し、上手く役割分担できるよう導く。そうすれば、組織は自然とまとまり、大きな成果を生み出せるはずだ。

立場の高さや力の大きさに捉われるのではなく、 "中庸"の心を忘れずにいよう。時にリーダーは自らを抑え、部下の光を最大限に引き出す役割を担う。大志を抱きつつ、常に謙虚でいること。それが真の強さなのだ。

この世界に完璧な人間はいない。だからこそ、多様な個性を持つメンバーが集まり、互いを補完し合えるチームを作ることが重要なのだ。リーダーである自分自身の役割を肝に銘じ、組織を成長へと導いていくのだ。


参考出典

火天大有の卦は、大いに保つ時、組織を保つ能力を説いている。
「柔尊位を得」とは、尊位にあるリーダーに力がなく、自分以外は能力のある人達を抱えているという状態をいう。
「大中にして上下これに応ずる」とは、ろうそくの芯に火が灯るような様をいう。
ろうそくの火を思い描いてほしい。芯の部分は暗く、芯自体は光を発しないが、ひとたび火がつけば、芯を中心に周りが明るく燃え上がる。
組織でいえば、ろうそくの芯がリーダーの役目である。つまり、組織を保つために、リーダーは技や力を他と競う必要はない
力のないリーダーであるからこそ、多くの人の能力を発揮させることができる。それが「大中」。これは大いに中庸を心得る者をいう。
易経は火天大有の説くリーダーを賞賛する。本来、能力があってもそれを覆い隠し、立場を弁え、自らの中に陰を生み出して、後継を育てるからである。

易経一日一言/竹村亞希子

火天大有の卦は、大いに保つ時、組織を保つ能力を説いている。
能力があってもそれを覆い隠し己を虚しくし、立場を弁え後継を育てる指導者(柔得尊位)
虚心の指導者だからこそ大いに中庸を心得え、多くの人々の能力を発揮させることができる(大中而上下應之)
物事は、天の時にふさわしい天の運行に応じその時々に然るべき行いをなすことできれば多いに通じていくのである。(應乎天而時行)
大有は、六五の柔が君位(五)を得、大有の時における「中」、つまり「大中」であり、上下の五陽爻が応じて来る。五の所有するもの大なるが故に、大有という。大有の徳は、剛健()であり文明()である。五は陰爻、性質柔順で、下卦の()天の運行に応じ、天の四時(四季)に沿って整々と進む。そこで、大善にして通るという。

易(朝日選書)/本田濟

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