青木隆介

17時過ぎには大体酔っ払って好きなことを書き散らします。

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最近の記事

「変化を求めないこと」の閉塞性が強く感じられる物語~映画『アリスとテレスのまぼろし工場』~

※ネタバレがあるかもしれないです。 正直、この映画に関しては鑑賞する前には、あまり期待していませんでした。 映画の上映前に流れる予告映像を観る限り、個人的に「なんか暗い話っぽいな……」と感じてしまっていたためです。 また、それ以外に「なんか気持ち悪い」という思いもありました。 気持ち悪いというか、なんとなく「居心地が悪い」とでも言うべき違和感を持っていたんです。 そんなふうにかなりのマイナス印象を持って鑑賞したためか、映画が終了したあとには「意外と面白かった」と思えました

    • ホラー映画のテイストを取り入れた推理映画~映画『名探偵ポアロ べネチアの亡霊』~

      ※ネタバレをする。 こういう「世界的な名作」と呼ばれるような作品の映画だと、なんだかその時点で安心して観られるような精神状態となってきました。 なんだか精神的に「守り」に入っているようで、なんとなくイヤな感じもしますが、年を取ってくるとそんな感じになるのかな、とも思ったりします。 そんな個人的な感傷はさておき。 この『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』は、タイトルからもわかるように「探偵モノ」と「亡霊モノ」を掛け合わせた「ホラー推理ストーリー」となっています。 このふたつ、

      • ちょっと駆け足な感じがあるけど概ね満足~映画『グランツーリスモ』~

        ※ネタバレとかをするかも。 『グランツーリスモ』と聞けば、どうしてもレースゲームを思い起こしてしまうお年頃の私。 最初は「それの映画化?」とイマイチ良くわからなかったんですが、簡単に言えばゲームの映画化、ではなくてレーサーのヤン・マーデンボローの自伝的映画、てことですね。 まあ、ヤン・マーデンボロー自体が『グランツーリスモ』のトッププレイヤーで、それがきっかけで本物のレーサーになった、てことで、一応『グランツーリスモ』のタイトルに違和感はありません。 「絶対に不可能」と言

        • 「特別な人間」らしさを消した名探偵の物語~映画『ミステリと言う勿れ』~

          ※ネタバレをするかもしれません。 人気作だとは知ってはいましたが、漫画もドラマも未見です。 とは言え、いろいろと良い評判は聞きますし、映画単品でも楽しめそうな雰囲気ではありましたので、観てみました。 結果、まあ面白かったです。 事前知識が乏しくても楽しめるのは、非常に良いところですね。 一話完結型の原作モノは、こういうところがありがたいです。 ストーリー的には、まあまあ、て感じでしたかね。 推理モノ、ミステリーとして楽しもうと考えれば、若干物足りない感じはありました。

        「変化を求めないこと」の閉塞性が強く感じられる物語~映画『アリスとテレスのまぼろし工場』~

        • ホラー映画のテイストを取り入れた推理映画~映画『名探偵ポアロ べネチアの亡霊』~

        • ちょっと駆け足な感じがあるけど概ね満足~映画『グランツーリスモ』~

        • 「特別な人間」らしさを消した名探偵の物語~映画『ミステリと言う勿れ』~

          橋本環奈ってホラー映画多くない?~映画『禁じられた遊び』~

          ※ネタバレします。 と思ったんですが、別にホラー映画に限らずただ単に「なんでも出演する」タイプの女優さんなのかもしれませんね、橋本環奈。 ホラー映画は最近だと『カラダ探し』がありましたか。 「死に方をどれだけ多彩に見せるか」の部分と、Adoの歌った劇中歌くらいしか印象に残ってませんが。 いやいや、今回は『カラダ探し』じゃなくて、『禁じられた遊び』の話なんですよ。 まず、根本的に「タイトルが悪くない?」と。 このタイトルだと「やってはいけない」と言われていることをやってしま

          橋本環奈ってホラー映画多くない?~映画『禁じられた遊び』~

          ヤリすぎ!なくらいが面白い~『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』~

          ※ネタバレしますよ。 「よくあるフェイクホラードキュメンタリー」 それが実際に鑑賞する前に、この映画『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』に対して抱いていた印象でした。 いかにも「それっぽさ」を感じさせるポスターでしたしね。 まあ、それを言い出したら、ホラー映画なんてほぼすべてフェイクではあるんですが。 ただしこの『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』、単なるフェイクホラードキュメンタリーではありませんでした。 なぜなら多くのフェイクホラードキュメンタリーが「それっぽく」、つまり「本

          ヤリすぎ!なくらいが面白い~『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』~

          結末がわかっている作品をどう楽しませるか~『ドラキュラ/デメテル号最後の航海』~

          ※ネタバレありますのでご注意を。 ブラム・ストーカーの書いた小説『吸血鬼ドラキュラ』、そのなかに登場する「デメテル号船長の航海日誌」を映画化する、という、そのコンセプトがすでにマニアックすぎる映画です。 とは言っても『吸血鬼ドラキュラ』は知名度は高いですが、実際に原作を読んでいる人間は少ないかと思われます。 その点では、かなり面白い試みなのではないでしょうか。 『ドラキュラ/デメテル号最後の航海』の良いところは、航海中の船上という言わば密室状態の緊迫感がよく表現されている

          結末がわかっている作品をどう楽しませるか~『ドラキュラ/デメテル号最後の航海』~

          約30年ぶりの邂逅~映画『ホーンテッド・マンション』~

          ※ネタバレはあるかもないかも。 「ホーンテッド・マンション」と聞いて、仲間由紀恵さんが声優を務めていたアニメ『HAUNTEDじゃんくしょん』を思い出す少数派は私くらい、として。 ほとんどの方は当然、ディズニーランドのアトラクションである「ホーンテッド・マンション」を思い出すことでしょう。 そんな「ホーンテッド・マンション」が映画化する、と聞いて楽しみにしていた……と言えれば良いんでしょうけれども。 実際のところ私は、正直に言ってディズニーに大した興味を持っていないものでし

          約30年ぶりの邂逅~映画『ホーンテッド・マンション』~

          「なんか気持ち悪い」をうまく演出した良作~映画『スイート・マイホーム』~

          ※ネタバレあります。気を付けて。 「家を買う」って、ほとんどの人にとっては大きなイベントだと思います。 自分は賃貸の気軽さから逃れられない人間なので、おそらく家を買う経験はしないでしょうが、友人から「ローンが数十年」みたいな話を聞くと、ちょっとやそっとの覚悟ではできないことかと。 ただしそんな「ちょっとやそっとの覚悟ではできない」からこそ、自分の家、マイホームを手に入れるのは大きな喜びでもあり、そこで過ごす時間は癒しやリラックスにあふれた時間になるのでしょう。 そんなマイ

          「なんか気持ち悪い」をうまく演出した良作~映画『スイート・マイホーム』~

          人生もお芝居のようなもの……ってこと?~映画『アステロイド・シティ』~

          ※ネタバレしてる可能性あります。ご注意。 映画館でフライヤーを見つけて「あ、なんか面白そう」と思ったのが、この『アステロイド・シティ』。 この感覚、なんか既視感があるな……と思っていたら、ウェス・アンダーソン監督の前作『フレンチ・ディスパッチ』のときも、同じ感じで観に行ったのでした。 なんかポップでオシャレな感じが好きなのかもしれません。 私自身には、オシャレ要素は欠片もありませんが。 この『アステロイド・シティ』、わかりやすい映画かと言われれば、正直言って非常にわかりに

          人生もお芝居のようなもの……ってこと?~映画『アステロイド・シティ』~

          「とにかく派手にやってやる!」勢いがものすごい快作~映画『PATHAAN/パターン』~

          ※ネタバレあります。 最近、今までにも増して「インド映画」が熱いですね。 インド映画と一口に言っても、撮影する地域によっていろいろと違うようですが、とにかく「歌って踊るのがインド映画」との認識が強いのは間違いないでしょう。 と言っても、私自身はインド映画、それほど多く観たわけではありません。とくに「現代を舞台にしたインド映画」は、ほとんど観た経験がなく、この『PATHAAN/パターン』は「スパイ映画」に分類されるとのことで、はてさてどんなものか……とワクワクと若干の不安を

          「とにかく派手にやってやる!」勢いがものすごい快作~映画『PATHAAN/パターン』~

          下町と母親に包み込まれるような気持になる作品~映画『こんにちは、母さん』~

          ※ネタバレあります。 考えてみれば、東京の「下町」とは不思議な存在だと思います。 東京の中心部であり、現代日本を象徴するような建築物であるスカイツリーを間近に眺めるような場所でありながら、まさに「古き良き日本」をイメージさせるような町並みや人情が残っている場所。 自分は下町に住んだ経験もないので現実のところは知りませんが、そういったイメージがあります。 とくに大切なのが、いまだに残る「人情」の存在。 隣近所はもちろんのこと、良く知らない他人であっても困っていれば助け合う、

          下町と母親に包み込まれるような気持になる作品~映画『こんにちは、母さん』~

          自分に続く人たちに伝えたいものはあるか?~映画『春に散る』~

          ※ネタバレあります。未見の方はご注意ください。 「老いた元ボクサーが、若いボクサーを指導して、栄光を掴む物語」 映画『春に散る』のストーリーを一言で表現すれば、こんな陳腐なものになってしまいます。 実に使い古されたシナリオであり、同様の物語を描いた創作物は山ほど存在するでしょう。 しかしこの『春に散る』は、そういった「よくある物語」としての印象はかなり薄くなっています。 その理由はどこにあるのか、考えてみたところ「テクニックの継承ではなく、人間同士の結びつきの面に重点を置

          自分に続く人たちに伝えたいものはあるか?~映画『春に散る』~

          実は主人公は牧場主兄妹ではないのでは……~映画『NOPE』~

          ※ネタバレしないと何も書けそうにありません。 「なんか奇妙な映画だった」 これが『NOPE』を鑑賞し終わったあとの、率直な感想でした。 他の映画を観る前に流れる予告編の段階から「なんか変」と思っていましたが、この「なんか変」は実際に映画本編を観てみれば解消する、と考えていたのです。 しかし、そう考えていた自分が甘かった、と言えるでしょう。 簡単に言ってしまえば「UFOは実は生きていて、人を食う怪物だった」という映画です。 「UFOが実は生物だった」という設定自体は、特に目

          実は主人公は牧場主兄妹ではないのでは……~映画『NOPE』~

          「自分を変えること」の大切さ~映画『異動辞令は音楽隊!』~

          ※ネタバレとかもあるはずです。 「信念を持って仕事をする」のは大切なことですが、もしその信念が周囲にとって合わないもの、むしろ迷惑に感じるものになってしまっていたとしたら、どうするべきでしょうか。 阿部寛演じる刑事畑30年のベテラン「成瀬司」は「伝説の刑事」と呼ばれる存在ですが、実際には「捜査にはとにかく足が重要」「事件解決のためには手段は選ばない」という考えと、周囲との協調を取らない姿勢から煙たがられている存在です。 しかもパワハラ的な言動が見られる、という点もあって、現

          「自分を変えること」の大切さ~映画『異動辞令は音楽隊!』~

          宿命とは「強い思い」のことである~映画『アキラとあきら』~

          ※ネタバレ嫌いな人は見ないでください。 正直言って、銀行にはあまり縁のない生活を送っています。 ローンもなければ、多額の融資が必要なお仕事もしていません。 投資にも特に興味がありません。 何個か銀行口座を持っている程度なので、私は銀行員のお仕事に関する知識はほぼない、と言えるでしょう。 そんな自分が観て、はたして内容が理解できるのか……とちょっと心配していたのですが、そんな心配は無用でした。 難しい用語がバンバン出てくることもなく、ちょっと専門的な部分はちゃんと説明してく

          宿命とは「強い思い」のことである~映画『アキラとあきら』~