宿命とは「強い思い」のことである~映画『アキラとあきら』~

※ネタバレ嫌いな人は見ないでください。






正直言って、銀行にはあまり縁のない生活を送っています。
ローンもなければ、多額の融資が必要なお仕事もしていません。
投資にも特に興味がありません。
何個か銀行口座を持っている程度なので、私は銀行員のお仕事に関する知識はほぼない、と言えるでしょう。

そんな自分が観て、はたして内容が理解できるのか……とちょっと心配していたのですが、そんな心配は無用でした。
難しい用語がバンバン出てくることもなく、ちょっと専門的な部分はちゃんと説明してくれるので、なんとなくですが「こういうことか……な……?」と理解はできます。

と言うか、ぶっちゃけそういう細かい部分は理解できなくても、この映画を楽しむのには大きな問題にはならないでしょう。
この映画は、銀行を中心とした経済の動きを楽しむ映画ではなく、お仕事映画であるためです。
つまりアキラとあきら、2人がどういう思いを持って仕事に取り組み、どう周囲の人間を動かし、どうハッピーエンドへ持っていくか、その流れを楽しめば、じゅうぶん満足できる映画と言えるでしょう。

もちろん相手を理詰めで説得していくシーンなどもありますので、そのへんの理屈がしっかり理解できればより楽しめるのは間違いないでしょうが。

この映画のなかで心に残ったのは、竹内涼真演じる「山崎瑛」の「自分がこの仕事をしているのは宿命」との言葉でした。
「宿命」と聞くと、もうすでに決まっていて変えようがないもののように思えますが、山崎瑛の言う「宿命」はそういう意味ではない、と感じさせられたのです。
宿命という言葉を使うことで、彼にとっては絶対に曲げられない信念、強い思いを自分自身で心に刻んでいるのだろう、と。

当然、私も仕事をしている以上、私なりに信念を持って仕事に取り組んでいるつもりです。
しかしそれを「宿命」とまで言えるほど、強い思いを持っているか、と言われれば、正直自信はありません。
ここまではっきりと言い切れるほど、強い思いを持って自分の仕事を貫く姿は、格好良いと思いました。

さらにそんな山崎瑛の周囲には、横浜流星演じる「階堂彬」をはじめとして、それぞれ自分なりの信念、理屈を持って働いている人間たちが存在しているわけでして。
ときには対立し、ときには協力し……と、さまざまな人間関係が絡み合いながら、最後にはサッパリ、スッキリした感覚で終わってくれたので、満足感を持って劇場を出られましたね。

……しかし、自分のハンコひとつで数億円が動くお仕事って、どんな気持ちなんでしょうか。
私には一生縁がなさそうなので、想像すらできませんけど。

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