マガジンのカバー画像

みえないひかりがみてみたくて

17
探してもいなかった。でも真夜中に突然の光が見えたかのように現れた女の子。その心が欲しくて、男は寿命を失う。でも本当は遠い昔から決まっていた。二人が出会い恋に落ちることは。二人に残…
運営しているクリエイター

#コーヒー

苦味と甘味#08

いつもどちらもなくまたねなんて言葉もなく解散するのだが、この日は違った。
「ちひろこのあと時間ある?」
久々に会えたこと、そして僕はこの後
もし予定があったとしても彼女には
それを言わなかっただろう。
純粋に嬉しかった。
「うん、あるけど、どうして?」
「んー、一緒にほろ苦い思い出を作りにいきたいなーと思いまして。」
「ほろ苦い思い出?」とおうむ返しをしてしまったが、
すぐに脳裏を過ったのはまた会

もっとみる

僕が選ばれた理由#11

いつもの奥のテーブルに座る。
いつものコーヒーを注文する。
どうして僕がギターを選ばなくちゃ
いけなかったのか。嫌だったわけではない。
彼女にとっては僕の音は特別な音として
響いたのだろうか。
適当な理由で選んだ訳じゃない。
そう言っていた。
人思う故に我あり。
これは僕の座右の銘のひとつだ。
座右の銘なんだからひとつでなくてはならないなんて決まり文句は聞き飽きた。
幾つあったっていいじゃないか。

もっとみる

ファーストラブとキャンディータフト#12

それから一ヶ月としないうちに
彼女はもうある程度好きなように
ギターが鳴らせるようになっていた。
いつもの珈琲屋に僕らはいた。
「あのね、なんかメロディーが降ってくる時があるんだけど忘れちゃったり、たいしていいメロディーでもないなあとか思ったり。難しいね曲作りって。ちひろどうやって作ってる?」

「僕は歌詞と同時に歌詞にメロディーもついてるからそれにギター当ててく感じ。」
「そっか、自然に降りてく

もっとみる