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いつかのための詩集

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どこかで酒と出会うための詩集。
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#思い出

膨れた腹と君

膨れた腹と君

千歳飴は虫歯になるまで
ジャムは怒られるまで
肝油グミは缶が空くまで
キャンディー・ガムは音がしなくなるまで

ハンバーグは冷凍ご飯がなくなるまで
焼いたカレイは卓上醤油がなくなるまで
トーストははちみつが全面で焦げるまで
お茶漬けは舌が焼けただれるまで

おにぎりは午後いっぱい居眠りするまで
卵焼きはスイーツになるまで
生姜焼きはしょうがなくなるまで
紅茶花伝は売り切れるまで

コンビニおでんは

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ねえ、けむりの傍で眠ろう

ねえ、けむりの傍で眠ろう

あれは強い雨の日だったよ

君はバッグを傘にして走る

ヘッドライトに照らされて

濡れた瞳の欠片をみたよ 

スマホが

君は人混みとぶつかるように

落ちた 落ちた 落ちた

走りきってた 息が先駆け

僕は消え入る霧の虜の木

君が座る すっと

僕が立つ さっと

隣が 隣で 雨が強まってく

手で顔を隠す

開く 瞳を見た 見た

加速していく夜の光が

なんだか今日は蛍に思えて

いつ

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このドキュメントで駆けるんだ

このドキュメントで駆けるんだ

このドキュメントで駆けるんだ

LとRで迷って飛んで

出来上がった文字たちが跳ねる

湧いて止まって淀んで光る

直線と曲線と連なりの連なり

このドキュメントで駆けるんだ

夜は今や劇場となって

暗がりの圧で指に絡まる

溶ける震える握る押す

三歩進んで二歩下がり

のプロセスインターバルに

琥珀色の酒の夢を見るのだ

それは色付きながら澄んでいて

リビングデッドであった いや

デッ

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祈る日々と血

祈る日々と血

私は昔

水槽で魚を買っていたんです

秋口

ふとショップに立ち寄りまして

なんとも

のっぺりとした欲望を抱えてた

自然に

飼おうとか思ってたの魚を

その魚は

ヒレがうす赤く胴体の底に深い青を刻み込んで

オイ オイ オイ

とでも言いたげに口を操作していて

ハイ ハイ ハイ

といいながら私はその魚を買って

スキップで帰った

豊かになった私の生活の縁で

赤いヒレは

少しば

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