太田龍子
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現実が妄想を超えるとき 羽生結弦 VS 大地真央の「Carmina Burana」
昨年に続く羽生結弦の座長公演 “Notte Stellata 2024”初日で、目玉とも言うべき大地真央との共演にカンタータ「Carmina Burana」が使われたと聞いた時にはちょっと驚いた。
よく知られているのは追い詰められるような緊張感で盛り上がる「FORTUNA」の合唱部分だけれど、名曲だけに映画やバレエ、ゲームなど様々なジャンルで使われ過ぎている。大女優とスケート界のGOAT羽生の共
「#羽生結弦さんを応援します」 寡黙な人々が声を上げるとき
羽生結弦選手の結婚離婚などプライベートをターゲットにした誹謗中傷の嵐はとても不自然です。
羽生結弦は2022年夏に競技を卒業、競技団体を離れてプロになり、その秋にはフィギュアスケーターとして史上初の単独ショーを大成功させました。その後も彼の存在はどんどん大きくなり、すべてのイベントに海外ファンも含めた行列ができ、東京ドームやさいたまスーパーアリーナを満席にし、100以上のスクリーンで行われ
伝説を超えるとき 羽生結弦の ICE STORY 2nd ”RE_PRAY” 贅沢すぎるアンコールと美味しすぎるデザート
ICE STORY 2nd ”RE_PRAY”本編終了後に、惜し気もなく技と体力を注ぎ込んだアンコールを見せてくれた羽生選手。贅を尽くしたコース料理の後に、メインディッシュをしのぐ勢いで手間も材料も惜しまないゴージャスなデザートを2品3品続けて出してくる感じというか。
しかし、このデザート重視のスタイルは、ちょっと近年のフランス料理のトレンドに似ているかも…。
ミシュランの星がつくような店
伝説を超えるとき 羽生結弦の ICE STORY 2nd ”RE_PRAY” Vol.3
30分の製氷を挟んで後半がスタート。
再びセーブデータが選択され、前半と同じく白いマントに身を包んだ羽生が舞い始める。最初のオベリスク・ポーズは同じ、舞もよく似ているが映像演出が違って、上空には光る雲がなびき、雲間からレンブラント光線が羽生に向けて降りそそぐ。背には一瞬天使の羽根が見えた。
いつか終わる夢 Re;
曲は再び前半と同じFFの「いつか終わる夢」。しかし、演奏は異なる。ピアノ・
伝説を超えるとき 羽生結弦の ICE STORY 2nd ”RE_PRAY” Vol.2
破滅への使者
物語は再びスクリーンへ。ラスボスの待つ最終場面へと勇者が踏み込んでいく。
アイスクリームみたいにひんやり甘い羽生の声。
「好奇心だけで区々たるモノを踏み台にしてきた気分はどう?」
からかうような、そそのかすような蠱惑的な響きだ。
過去プロの衣装を着た12組の8ビット戦士・羽生が画面に並び、ロブスターとシャンデリアのハーフみたいなボスキャラに次々に挑んでいく。
この戦士たち
伝説を超えるとき 羽生結弦の ICE STORY 2nd ”RE_PRAY” Vol.1
スクリーン上に投影された羽生。ゲーム機に向かっている。表示された複数のセーブデータから「2023/11/04」(2日目は「2023/11/05」)が選ばれる。
長いマントに身を包み、氷上に出現した羽生はフードを目深にかぶったまま。
腕を高く差し上げた細く高い姿が、一瞬オベリスクに見えた。天を突き刺すかのように尖った記念柱。遥か未来に向け、ここから始まる物語の予言が刻まれているのかもしれな
予兆 羽生結弦の「RE_PRAY」を待つ
羽生結弦の動きは
予感に満ち溢れている
これまでに見たことがない
感じたこともない
突き動かされるように
プリミティブで
無機的で
鼓動のように懐かしく
戦慄させる何かが、やってくる
あれを氷にのせるのか
氷は羽生をどう迎えるのか
世界は羽生結弦をどうを迎えるのか
地鳴りのような
遠雷のような
ざわめきが聞こえて
耳の後ろがゾクゾクして
震えが止まらない
カタストロフは双子の神 羽生結弦の「あの夏へ」
「Yuzru Hanyu ICE STORY 2023“GIFT”」のなかで初演された「あの夏へ」について、秋冬のツアーが始まる前にもう一度追ってみたい。
青い靄が立ち込め、深山幽谷に秘そむ湖を思わせる黒いリンクに水滴が滴る。輝きながら拡がり、消えていくいくつもの波紋。
その一つがピアノの旋律に乗り、くるくると舞い始める。うっすらと青みを含んだ白い衣をまとった羽生結弦だ。
西域の石窟寺
内なる宇宙からの旅立ち 羽生結弦の「プロローグ」
講演会
「羽生結弦の革命 フィギュアスケートから新世界へ」
[2023年7月16日 ミラノ ラトゥアダ・オーディトリアムにて開催]
に寄稿
プロローグ」は、文字通り羽生結弦がスケート人生の序章である競技者としての期間に何を目指し、どう達成してきたか、の物語です。
そのストーリーはモニター上から始まりました。2022年7月19日の羽生結弦によるプロ転向宣言の会見映像、次いで競技会に臨んだ日々の
講演会「羽生結弦の革命〜フィギュアスケートから新世界へ」のお知らせ
羽生結弦選手のプロ転向1年の記念日と「ディズニー+」による「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023“GIFT”」世界配信開始を祝って、イタリアのファンの皆様が講演会を企画してくださいました。
日本でもおなじみのマッシミリアーノ・アンベージさん、バレリーナで作家のアレッサンドラさんなどが羽生選手についてお話をなさるそうです。
場所はミラノ、2023年7月16日(日) 現地時間の1
不規則軌道の行方 羽生結弦のGLAMOROUS SKY
ファンタジー・オン・アイス2023神戸大楽をライブビューイングで拝見した。オオトリで登場した羽生結弦の演目は映画『NANA』の主題歌「GLAMOROUS SKY」。中島美嘉が歌う。映画は台湾や香港でも公開され大ヒットしたと聞くが、見ていない私がイメージするのは矢沢あいの原作漫画の方。女王様のように誇り高く、未熟で不器用で、トゲだらけの水晶みたいにキラキラしたゴスパンクバンドの歌姫ナナと親友ハチ、
もっとみる記憶を透明化するもの 羽生結弦の「if…」
ファンタジーオンアイス2023幕張公演2日目を現地で拝見した。
羽生ファンの皆様から、よく「現地観戦すると記憶が飛ぶ、羽生選手の演技を思いだせない」とお聞きしていたが、その意味がよくわかった。手の届きそうな距離で見ていたはずのものがハレーションを起こしたように不鮮明なのだ。
たぶんこれは衣装のせい。あのフィナーレの蜻蛉の羽根のような薄物で仕立てられた、そうでなくても発光している羽生選手の肌を
芸術性を競うアスリートたち・採点競技を考える
料理コンクールの世界
私の仕事のひとつに料理関係の業界団体の広報がある。構成員はフランス料理にかかわるレストランオーナーシェフやホテル総料理長など。マエストロであり企業役員を兼ねる方も多く、料理にもフランス語にも心得の浅い私には緊張感のある仕事だ。とりわけ緊張するのが協会が主催する料理コンクールの取材。対象は若手、とはいっても予選から勝ち上がってきた中堅以上のプロの料理人、各ホテル・レストラン