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Grapes & Celadon のデザイナー 森山さんの思い出の場所を雑談しながら歩いてみた。 (後編) / Grapes & Celadon(グレープス・アンド・セラドン) インタビュー

こんにちは、荒岡です。 今回は、インタビューの後編です。 Grapes & Celadon のデザイナー 森山さんの思い出の場所をたどりながら、普段うかがえることがない森山さんのデザインついての考え方や音楽の話を伺うことができました。 ぜひ、ご覧ください。

恵比寿にある”喫茶 銀座” にてアイスコーヒーをいただく。

荒岡 「ここの喫茶店は、昭和レトロな感じがいいですね!」

森山さん「ここは雰囲気がよくて落ち着くので、ファッションの学校に通っていた学生時代に来てました。」

荒岡 「そうだったですね。ところで、学生時代はどのように過ごされていたのですか?」

森山さん 「デザインとファッションの研究にのめり込んでました。あと、ファッションと同じく音楽にもずっと影響を受けてまして。」

荒岡 「具体的にはどのようなジャンルですか?」

森山さんに影響を与えた音楽&ファッションの写真集

森山さん「U.K.PUNK、New wave、No wave、あと黎明期のHIPHOPが好きで、たとえば、Buzzcocks(バズコックス)なんかは、見た目は普通っぽいのに音がヤバく、いいんですよ。」

森山さん 「音楽とそれを作るミュージシャンのファッションスタイルは自分のクリエーションを刺激します。」

荒岡 「おお! クリエティブがクリエイティブを刺激する感じはいいですね!」

森山さん 「なので今日のスタイリングも自分の考えるパンクスタイルに合わせたいフレームを身に着けていますし、先ほど(中編)も話しましたが全体のスタイリングありきで眼鏡のデザインをするので、ミュージシャンのファッションスタイルや音楽性は自分にとってすごく大切なものです。」

荒岡 「なるほど!」

森山さん 「とは言え、たとえばPUNKを感じるようなデザインをしようとした時に、単にフレームに鋲(びょう)を付ければいいのかと言うとそれはちょっと違うかな、と。」

荒岡 「パンクって、革ジャンに鋲(びょう)のイメージありますよね?」

森山さん 「そうですね。 ただ、いかにもそれらしいモチーフを付加して表層的な部分でPUNKを表現するというやり方ももちろんあると思いますが、自分はそういったアプローチはしないですね。」

荒岡  「それはなぜですか?」

森山さん 「それはつまり「何を掛けるか」ではなく「誰が、どう掛けるか」が大事だということなのですが、「何を掛けるか」からスタートしてしまうと、どうしてもディテールのデザインに終始してしまい、それこそモチーフを付加する方向に走りがちです。そうではなく、その人のパーソナリティーが自ずと表に出るスタイリングの一部分をどう担えるか、そのためのデザインができるデザイナーであれと日頃から心掛けています。」

荒岡 「なるほど! 非常に興味深いお話です!」

森山さんのお気にりのNo wave系のバンドを撮影した写真集
若い頃のアート・リンゼイ

森山さん 「例えば僕なら何の変哲もないボストンシェイプのフレームを掛けた「DNA(No waveの代表的バンド)」時代のアート・リンゼイをまず思い浮かべると思います。今で言うオタクっぽい風貌の彼があんなにノイジーでハードコアな音楽を演っているというギャップにすごく心を揺さぶられますし、そこから湧き上がる高揚感みたいなものがデザインの源泉となります。」

森山さん 「なので何の変哲もないボストンフレームはそのままにサイズ感だけ少し大きめに、あとはちょっと猥雑さのある薄めのグラデーションレンズなどを入れるだけで充分にPUNKを表現できると思います。」

荒岡 「それ!いいですね!! ぜひ、作ってください!!」

森山さん 「そうですね。 機会がありましたら!!」

荒岡 「そういえば、今回、お会いする際にお願いしていた森山さんがお持ちのヴィンテージ眼鏡を拝見させていただけますか?」


ドイツ製のフレームを中心とした森山さんがお持ちのヴィンテージ眼鏡

森山さん 「もちろんです。 これらは、ローデンストック、メッツラー、マルヴィッツ、ダンヒルの紳士枠です。」

荒岡 「森山さん、僕の大好きなおじさん眼鏡系じゃないですか!! すごいいいですね。」

森山さん 「ヨーロピアンヴィンテージの眼鏡は全般好きですが、特にドイツで作られていたジャーマンヴィンテージが好きです。」

荒岡  「あっ、確かに森山さんがデザインしている"Grapes & Celadon"の中には、ジャーマンヴィンテージを彷彿させるモデルがありますよね。ところで、デザインを始めた時からヴィンテージは好きだったのですか?」

森山さん 「じつは、勤めていた会社でデザインしていた時は、新しいデザインを創作することが多くて、退職後に改めてヴィンテージのフレームをゆっくり見直す機会があった時からです。中でも60年代前後のヴィンテージは本当に好きです。」

荒岡 「僕の家も祖父の代から眼鏡屋なので、父のお店にドイツ系のフレームが結構置いていて、懐かしいので、このヴィンテージを見るとやっぱり良いなと共感します。」

荒岡 「海外のヴィンテージフレームってグッときますよね。じつは以前から思っていたのですが、森山さんのブランド"Grapes & Celadon”は、作りが良いので、僕は日本のブランドだと分かりますが、どこのブランドか?結構わからない方もいらしゃるのではないですか?」

森山さん 「そうですね。ヨーロピアンヴィンテージの雰囲気を忠実に出せるようにデザインしているせいか、海外のブランドと思われること多くて。荒岡さんが言うように作りは日本の職人たちが丁寧に作ってくれるので、ヴィンテージにはない安心な掛け心地になってます。」

荒岡 「今回、色々と森山さんのデザインの本質にまつわることを伺ったのですが、森山さんにとって、眼鏡や眼鏡デザインとは改めてどのようなものですか?」

森山さん 「変わらずに思っていることは「たかが眼鏡、されど眼鏡」ですね。やはり僕にとっては服をメインとした全体のスタイリングがまずあって、眼鏡は最後に仕上げのひと塩を降る程度のもの、すなわちそこが「たかが眼鏡」の部分。眼鏡という「モノ」に焦点を集め過ぎず、なるべく俯瞰で捉えたいと常々意識しています。」

森山さん 「とはいえ30年以上も眼鏡のデザインに携わってきた矜恃はあるので、品質や掛け心地といった部分にはしっかりこだわりたい。それが「されど眼鏡」の部分になります。」

荒岡「森山さん、今回は長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。ところで、最後に教えてください。デザインの仕事って大変だと思うのですが、効果的なストレス解消法などはありますか?」

森山さん「んー、やっぱり、うちの猫の ”ソラ” と ”リンタロウ” と遊ぶことですね。」

荒岡 「森山さん、そのほのぼのさ! 最後に好感度上がるやつですね!!(二人で爆笑)」

最後まで、ご覧頂き誠にありがとうございます。 

森山さんのブランド "Grapes & Celadon”(グレープス アンド セラドン)

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