bato

1989年生まれのおっさん。古い町並みや廃墟、近代建築などが好き。

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1989年生まれのおっさん。古い町並みや廃墟、近代建築などが好き。

最近の記事

風船に手紙を括り付けたあの日

 90年代、まだインターネットが普及していなかった頃の話。 当時まだ幼い子供だった私は、アニメか絵本だかで、ヘリウム入りの浮かぶ風船に手紙を括り付けて、見知らぬ誰かに届けるという物を見た。子供の行動範囲といえば、家と学校、あとは友達の家ぐらいなので、これを試せば見知らぬ誰かと文通が出来るんじゃないかという淡い期待を抱いていた。  休日のとある日、親に連れられ出かけた先で浮かぶ風船を貰った。これでいよいよ道具は揃った。一応、両親に了承を得て、簡単な連絡先を書いた紙を括り付け、

    • 地下に降りた先で演劇を見た

       11月26日。私は佐賀市内を自転車でうろついていた。この日は、中ノ小路賓館と旧百﨑家住宅主屋という2件の歴史建築が公開されていて、それを見に行くためだった。 中ノ小路賓館を見に行った後、旧百﨑家に向かっている途中、古めかしいビルを通りがかった。よく見ると地下に降りる階段があり「寺本地下街」と書かれていた。なんとなく何かを感じ取った私は、その階段を降りていく事にした。  長くない階段を降りきった先には、何件かの飲み屋があった。どれもまだ開店前だと思った矢先、1件だけ賑わう店が

      • お茶会に参加した話

         福岡にユウアヒアという施設があり、古い団地の地下1階にある図書館とコミュニティスペースを兼ねたような場所が存在する。 ここでは毎週末にイベントが開催されていて、時には子供向けの食堂だったり、セミナー会場だったり、ワークショップだったりといった具合である。 その中で参加してみたいイベントがあり、行ってみた日があったのだが、講師の方が体調不良との事で急遽中止になってしまった事があった。  中止の件は数日前に告知があったようで私が知らなかっただけなのだが、暇だからこの場所に立ち

        • カメラ趣味を辞めた

           新年とは、別れや新たな旅立ちの季節。2024年が始まって2ヶ月が過ぎようとしているが、この度カメラ趣味を辞めた。正確には、カメラ機材を全て手放した。  初めて、わりと大規模な写真展への参加という有り難い経験をさせてもらって、自分の中で一区切り付いた感があるのと、日々たくさん撮影するわりに殆ど見返さない事に気付いたからだ。いや、薄々それを感じていたが、気付かないふりをしていた。  例えばどこかへ旅行するとしよう。撮影ばかりに夢中になって、旅そのものを楽しんでいないのである

        風船に手紙を括り付けたあの日

          身近な人が自ら死を選んだ

           つい最近の事だ。身近な人が自ら命を断ってしまった。早朝の公園で首を吊っているのを通行人が見つけたらしい。寝耳に水だった。  私には妹が三人居るのだが、2年ほど前に一番下の妹に彼氏が出来た。件の人物その人である。 私は現在一人暮らしをしていて、家からそれほど遠くない実家へ立ち寄ると、よく彼が遊びに来ていた。妹と仲睦まじく、弟が出来たみたいで嬉しかった。2人を車に乗せて遠出に連れて行ったりもしたし、律儀に私の誕生日を祝ってくれた事もある。そんな彼が、自ら命を断った。 彼が以前

          身近な人が自ら死を選んだ

          写真と向き合うという事

           これまででカメラ趣味をやってきた中で今が一番楽しい。そのはずだった。ある日ふと気付く。撮影という行為が好きでひたすら撮っていて、その撮った写真をあまり見返していないという事に。  ちょうど正月休みで時間もあったので、そこで今まで撮った写真を見返しはじめたのだが、ピンボケ写真や被写体ブレ写真、似たようなアングルの写真など、要らない写真が数多くあるのを発見した。  カメラを始めてからHDDの使用量も増えてきたため、不要な写真を消す作業を始めた。更にHDD空き容量確保の一環で

          写真と向き合うという事

          G9ProIIを借りたのでE-M5 Mark IIIと撮り比べた

          ・マイクロフォーサーズは白飛びに弱い  E-M5 Mark IIIを購入し、ソニーのEマウントからマイクロフォーサーズ(以下、MFT)へ移行し約2年が経った。 ここ数年、昼間での撮影がメインになったのでフルサイズまでは要らないだろうとの判断で移行したが、MFTの弱点であるダイナミックレンジの狭さが気になるようになってしまった。一言で表すなら白飛びが気になる。 よく言われている暗所性能の弱さは明るいレンズを使えば気にならないレベルだったが、ダイナミックレンジだけはどうにもなら

          G9ProIIを借りたのでE-M5 Mark IIIと撮り比べた

          断捨離の果てに

           ちょうど去年の今頃、こんな記事を書いた。あれから1年が経ち、どうなったかというと無事に断捨離を成し遂げる事が出来た。 着ない服、いつか使うだろうと思って仕舞っていた物、そしてバイク関係、全てをお金に変えたり捨てたりした。特にバイク関係の物は全部で10万円ほどになった。  愛着ある物を手放すのだから当分は引きずるだろうと思っていたが、意外にも気持ちが晴れやかになった。思い切って断捨離をやってみて良かったと思う。金銭的にも心情的にも新しい物事を始める心の余裕が出来た。 人間1

          断捨離の果てに

          精霊流しの思い出

           2005年、祖父が亡くなった。人が亡くなるといえば、親に連れられて遠い親戚の通夜に行った事はあるものの、親しい人が亡くなるというのは初めてだった。葬儀の日には思い出が走馬灯のように溢れて人生で一番泣いた。 悲しみも薄れた一周忌の夏、一家で精霊流しという行事に参加した。初盆を迎える年に、木で作られた小さな船を用意する。日も落ちて暗くなった夜に、精霊船と呼ばれるそれを川辺に持っていって浮かべるというものだ。 最近知ったのだが、この精霊流しという風習は九州の一部地域にしか無いら

          精霊流しの思い出

          台湾再訪2019(3日目)

          さすがに眠れなかった翌日においてはちゃんと寝る事が出来た。ようやく体調も戻ったところだが、旅はもう終わるのだ。 ・台北周辺を散策 ・道教の寺院 最終日は飛行機の時間もあり、あまり遠くへは行けない。朝から台北周辺にある道教の寺院へ出向いていた。日本では馴染みのない読経と線香の煙が立ち込める。 ・流行の発信地、西門 続いて西門という所にやってきた。流行の発信地となっていて、日本の原宿のような場所なのだとか。この煉瓦の建物は日本統治時代の物。市場だったようだ。 ・本日の

          台湾再訪2019(3日目)

          台湾再訪2019(2日目)

          不眠だろうと体調が悪かろうと、次の日は来るし旅は続く。この日は台湾高速鉄道(新幹線のようなもの)を予約していて、台中まで出向く事になっている。台北駅で妹と合流し(この日、陳さんは来ない)電車に乗った。 ・寝不足のなか台中へ台北駅に着いた。辰野金吾設計の東京駅を彷彿とさせるレンガ造りの駅舎は現在使われておらず、史跡として保存されている。新しい駅舎は下の写真のような現代的な物だった。 ここにもデカい野犬が居た。幸い襲ってくる素振りは無く、暑さに耐えかねて日陰にて昼寝をしていた

          台湾再訪2019(2日目)

          台湾再訪2019(1日目)

           初めて台湾へ行き、とても衝撃を受けた私はすっかり台湾の虜になってしまった。それからというものの、Google Mapでピンを打ちまくり、台湾に関するトピックを追いかけ、僅かだがこの国が辿った歴史も少し触れた。 親日家が多いとか、タピオカだとか、千と千尋の神隠しのモデル(これはデマらしい)になったとか、良い話ばかり聞こえてくるが、日本統治時代や本土中国との軋轢、台湾ならではの社会問題など、負の側面も知った。今度はそれらの前情報をもって台湾の地を踏む事になったのだ。 今回も母が

          台湾再訪2019(1日目)

          人生は1つしか選べない

          生きていると様々な選択に出くわす。2つの選択肢があるとして、最終的に両方を選べるのならそれに越したことはない。 例えば、何か買う際に色で悩んでいるとする。どちらにするか決められない場合、どちらか選ぶのではなく両方を買ってしまえば良い。 ところが人生はそういう訳にもいかない。例えば結婚は、する人生としない人生の2つしか選べない。結婚に限らずこういった事は多い。 時間とお金、そして自分の体が限られている以上、どれか1つを選び、それ以外を切り捨てる事になる。 過去を振り返り、出

          人生は1つしか選べない

          金曜日が一番憂鬱だ

           日曜日の夜、ふとSNSを開けば仕事が嫌だとか月曜日が憂鬱だとか、そういった言葉で溢れ返る。サザエさん症候群という言葉があるぐらいだから、殆どの人々がそうなんだろう。かつての私もそうだった。ところが今は、金曜日が一番憂鬱である。  平日は仕事の事だけ考えていれば良い。家に帰ってきて、色々と用事をこなしていたらすぐに寝る時間。余計な事を考えなくて良いので楽だ。ところが土日ともなれば自分の時間がたっぷりとある。嫌でも、自分の人生に向き合わなければならなくなる。  これからの人

          金曜日が一番憂鬱だ

          恋愛・結婚について

           毛色の違う話をしようと思う。 今までの人生、恋愛にとことん縁が無かった。それどころか、友達が殆ど居ない人生を過ごしてきた。こんな自分が言い寄ったところでセクハラになるから、そういう事は絶対にしないようにと心がけて今まで生きてきた。自分のような人生に、他人を巻き込むのは申し訳無さすぎる、堕ちる時は私一人で十分だ。自分は孤独に耐性があって、一人でも生きていけるのだと、そう思っていた。  だが、10年近く一人暮らしをやってきて、更には例のウイルス騒動で家から出ない生活を経験し、

          恋愛・結婚について

          人生の断捨離をしたい

           今年、2022年は学校を出てから働きだしてちょうど10年になる。 その間に自分の所有物もだいぶ増えた。しかし、その「大事にしているもの」のせいで、身動きが取りづらくなっていると思う瞬間がある事に最近気付いた。前記事に書いた、バイクもその一つで、古い物であるがゆえに時折故障して修理代を払っている。作業自体は自分でやっているので安くつくのだが、チリも積もれば山となる。  他にも買ったけど着ない服や、思い出があるから、愛着があるからといった理由で実家の倉庫に仕舞い込んでいる品々

          人生の断捨離をしたい