悪夢だったらよかった。それでも/『オッペンハイマー』
土曜日の夜、夢の中でわたしは映画のチケットを予約していた。何かにせつかれるように、とにかくあわてて席をおさえていた。寝苦しくて目が覚めた瞬間に思った。「オッペンハイマー観に行かないと」
劇場へ映画を観に行くとき、その日1日はすべて映画のための日だという気持ちでいる。チケットはオンラインで予約し、上映中にトイレに行きたくならないよう事前にたらふく炭水化物をとり、上映後はゆっくりと余韻に浸る。その一連の流れが、わたしにとっての「劇場で映画を観ること」だ。そう捉え始めてからは、映