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映画せんにんの記録

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映画を観て感じたことを綴った記事をまとめました
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2020年4月の記事一覧

良心の素晴らしさを恥じることなく謳う~「アラバマ物語」

良心の素晴らしさを恥じることなく謳う~「アラバマ物語」

映画や小説には、国を代表する作品というものがあるらしい。
日本だったら何になるだろう。寅さん?ちょっと思いつかない。
アメリカならば、それはこの作品になる。1962年公開「アラバマ物語」

私はこの作品は小説から先に出会った。何かのサイトで、若い頃に読んでおくべき10冊、というようなおすすめにあがっていた覚えがある。

最初はよくある児童小説、トムソーヤーのようなものと思っていたが、読み進めていく

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オシャレ映画というジャンル~「ベイビー・ドライバー」

オシャレ映画というジャンル~「ベイビー・ドライバー」

映画の楽しみ方にはいろいろあるものだと思う。
ストーリーや展開を楽しむもの。
迫力ある映像や音響を体感するもの。
何気ない描写だけど考えさせられるもの。
そして、世のトレンドを学ぶもの。。いわゆるオシャレ映画。
今回はそんな映画、だと思う。2017年公開「ベイビー・ドライバー」

オシャレ映画、と言ってしまうと軽薄に聞こえてしまう。
確かにオシャレではあるし、エンターテイメントである以上、その要素

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スプリームスとキャンディーズ~「ドリームガールズ」

スプリームスとキャンディーズ~「ドリームガールズ」

日本人は”3”が好き。
三傑とか、三大○○とか、、。そして三人組も。
二人だとバランスが崩れやすい。四人だとあぶれ者が出てしまう。だけど三人だとちょうどいい。
そんな三人組にまつわる映画。2006年公開「ドリームガールズ」。

ブロードウェイミュージカルとしては、1981年から公演しているようだ。ジャージーボーイズもそうだったが、アメリカはまだ関係者が生存している中でも、このようなゴシップを作品に

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志村けんがチャップリン~「モダン・タイムス」

志村けんがチャップリン~「モダン・タイムス」

志村けんが亡くなった。日本中が悲しみに包まれた。
私も幼い頃、テレビで彼のコントを楽しんで見ていたものだ。
彼のこだわる笑いの特徴とは、”身体性”にあったのではないかと思う。言葉や知識は要らない。見れば誰もが分かる。そんな普遍的な笑いを追求していたからこそ、多くの人に愛されたのだろう。
今回とりあげるのはそのルーツとも言える、喜劇王・チャップリンの名作、1936年公開の「モダン・タイムス」。

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原作を読んで黒澤の凄さが分かった~『羅生門』

原作を読んで黒澤の凄さが分かった~『羅生門』

日本映画史の金字塔、というフレーズはもはや死語であろうか。
仮にこのフレーズを使うことがあるとすれば、それはこの映画について語る時をおいて他はないだろう。黒澤明監督の『羅生門』である。

原作は言わずと知れた、芥川龍之介の短編「藪の中」。

映画を観た後に読んだからだろうか。実に戯曲的で意欲的な作品だと感じた。だからこそ、本作を脚本に仕立てて映画にしようとしたのだろう。

小説では、目撃者と当事者

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