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志村けんがチャップリン~「モダン・タイムス」

志村けんが亡くなった。日本中が悲しみに包まれた。
私も幼い頃、テレビで彼のコントを楽しんで見ていたものだ。
彼のこだわる笑いの特徴とは、”身体性”にあったのではないかと思う。言葉や知識は要らない。見れば誰もが分かる。そんな普遍的な笑いを追求していたからこそ、多くの人に愛されたのだろう。
今回とりあげるのはそのルーツとも言える、喜劇王・チャップリンの名作、1936年公開の「モダン・タイムス」。

その名を知らぬ人はいないチャップリン。
しかし恥ずかしながら、彼の映画を観たのはこれが初めて。
観てびっくりした。その中で演じているチャップリン、まさに志村けんそのものだったからだ。

もちろん、逆である。
志村けんが、チャップリンから笑いを学んだのだろう。だがそれほど酷似している。

チャップリンの映画はその多くがサイレントである。つまりセリフがない。
その理由について、淀川長治は語っている。

英語でしゃべっているこの言葉を、フランスがわかるか、イタリアがわかるか、日本の人がわかるかと。世界中がわかるのが映画だと思っていましたからトーキーが嫌いだったんですね。

映画の中で、彼は躍動する。誇張しすぎるくらいに。
だからこそ、時代も国も異なる現代の私にまで、その面白さが直截に伝わってくるのだ。
そしてその動きの一つ一つがコントの原型であり、日本における正当な継承者が志村けんなのだ。少なくとも私はそう感じた。

とはいえ。
正直に言えば、ストーリーはやや人を選ぶところがある。
私はというと、、あまり好みではない。現代の視点からするとありきたりすぎるし、もはやその価値観を捨てて観ることはとても困難だからだ。
それでもこの映画はあと二つもの財産を残している。
一つは、名曲「スマイル」だ。

誰もが一度はどこかで耳にしたことがあるだろう。
この優しいメロディ。実はチャップリンが作曲している。

もう一つも曲だが、うって変わって陽気な「ティティナ」だ。

チャップリンが映画で初めて声を発した場面としても有名だが、一度見たら忘れらずに何度も見たくなるという中毒性がある場面だ。
こちらはCMなどでもよく使われているようだ。

いずれにしろ、ザ・チャップリンを堪能できる映画であることは間違いない。あとほのかに今のお笑いの源流にも触れられる気がした。

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