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大手企業の自社ビル売却の効果で決算内容への影響は?

 本日は、最近よくニュースや記事で見る、“自社ビル売却”について、その「目的」や「効果」、「周辺に与える影響」について考えていこうと思います。

こんにちは、佐々木正人です
是非、最後まで読んで持って帰って下さい!!
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1. 大手企業が検討を進める“本社ビル売却”

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コロナ禍で、企業の事務所移転や本社機能の移転、本社ビル売却のニュースを見ることが増えましたよね。
そのようなニュースの中でも、電通エイベックスの“自社ビル売却”については、比較的、目にすることが多かったなーと感じます。

電通は2021年6月、エイベックスは2020年12月に、それぞれ本社ビル売却の方針をまとめました。
ただし、いずれもビルから退去はせず、売却先からビルを借り戻して利用し続けます。(このような仕組みを“リースバック”と言います)

出典:日本経済新聞 2020年12月23日「エイベックス、本社ビル売却へ 700億円でファンドに」
出典:日本経済新聞 2021年6月29日「電通グループ、本社ビル売却益890億円」

電通は“本社ビル売却”について、「合理的で機動的な組織構造」「恒久的なオペレーティングコストの低減」「バランスシート効率化の加速」を目的とした取り組みの一環と発表しました。
また、エイベックスは「経営資源の有効活用と財務的柔軟性の確保」「オフィスでの勤務を前提とした従来の働き方の見直し」と発表しています。

出典:株式会社電通グループ「固定資産(電通本社ビル)の譲渡および賃借ならびに譲渡益の計上見込みに関するお知らせ」
出典:エイベックス株式会社「固定資産の譲渡及び特別利益の計上に関するお知らせ」

このあと具体的に記載できればと思いますが、やはりコロナ禍による「業績悪化」や「働き方の変化」、「テレワークの増加」に対応する必要があったものと思われます。

実際に電通・エイベックスともに、ビル売却前は大きな赤字を計上しておりました。

その他にも、保有不動産を売却して、賃貸契約を結び直すような企業が増えています。これまでは大型オフィスビルが中心でしたが、直近では、工場や物流施設などにも対象が広がっています。

出典:日本経済新聞 2021年3月1日「不動産の「売却&賃貸」、コロナ禍で急増」

2.メリットとデメリット

ここで、“自社ビル売却”のメリットとデメリットについて考えていきます。
今回は、電通やエイベックスのような“リースバック”を前提に、「売り手」の視点で考えていきます。

〇メリット
(1) 売却益による資金調達が可能
物件にもよりますが、基本的には資金調達を目的として売却することが多いので、自社にとって最大限の資金調達を見込んだ上で売却に踏み切るので、売却益による大きな資金調達につながる可能性が高いです。
また、資金調達により、借入金の返済や投資資金の確保が可能になります。その結果、自己資本比率や、ROA(総資産利益率)の向上を実現できます。

(2)テレワークを中心とした働き方への移行とマッチする
コロナウイルスの感染対策として多くの企業で導入されたテレワークでは、出社する社員が大幅に減少し、オフィススペースが余分になることが多いです。
テレワークは、感染対策だけでなく、通勤時間の削減やワークライフバランスの実現にもつながることから、コロナが終息後も、テレワークを継続する企業が多いと考えられます。
その場合は、オフィススペースが余分になるようであれば、売却することにより、経営のスリム化(余分な固定資産の売却、管理コストの削減等)を実現することができると言えます。

〇デメリット
(1)リース料の発生
売却後、退去せずにオフィスを利用する場合は、リース料が発生します。
それまでに発生していた管理コストの多くが削減されるため、結果的に、リース料の発生が大きな損失につながる可能性は低いです。

(2)周囲から不安視される可能性がある
規模の大きな企業であるほど、ビル売却や事務所移転等の情報は広く周知されます。ビル売却は、資金調達に直結する反面、周囲から「資金調達が急務な状態である」と認識され、周囲にマイナスな印象を与えてしまう可能性が高くなります。

出典:シービーアールイー株式会社 セール&リースバックを取り巻く昨今の状況
出典:ITmediaビジネスONLiNE「エイベックス・電通……大企業の自社ビル売却にまつわる2つの誤解」

3. 決算内容への影響

“自社ビル売却”のメリット・デメリットを記載しましたが、ここで、決算内容に与える影響について考えてみます。

上記のメリット(1)(2)で記載しましたが、“自社ビル売却”では、比較的容易に資金調達を行うことが可能で、その結果、財務指標の改善につなげることが可能です。

具体的には、以下のパターンで財務指標が改善されると考えられます。
① 手元のキャッシュを増やすことで、資金繰りを安定させる
② 借入金の返済による、自己資本比率の向上
③ 会社成長のための新たな投資

例えば電通では、冒頭で記載した内容の売却が実現すれば、2021年12月期(国際会計基準)で約890億円の売却益を計上できる、と言われています。
また、エイベックスでは、2021年3月期で既に290億円の売却益を計上しており、その結果、最終損益で約100億円以上の黒字となっています。

このように、“自社ビル売却”はメリット・デメリットどちらもありますが、直後の決算内容への影響を考えるとメリットが大きいと言えます。

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ただし、業績が悪化している中での経営改革として行われることが多いので、短期的に業績改善、財務改善が実現したとしても、その後のビジョンが不明瞭である場合や、ビジョン通りの経営が進まない場合は、売却により得た資金が無駄になるので、経営層の手腕が問われると考えます。


4. 与信管理上のポイント

最後に、ここまでの内容をもとに、与信管理上のポイントについても考えていきます。

例えば「取引先が自社のビルを売却したら(売却を検討したら)」という想定で考えてみましょう。

“自社ビル売却”は、短期的な決算内容の改善や、経営のスリム化には効果的で、なおかつ調達した資金を様々な投資に充てることもできるので、これまで行っていた取引がより大きくなる可能性があります。営業担当者としてはチャンスと認識できますね。

ただし、基本的にその背景には業績不調や経営不振といったネガティブな情報が多い、ということを認識しておく必要があります。
与信管理上は、短期的かつ長期的な取引ができるよう、「取引先評価の定期的な見直し」と「客観的な与信限度額の設定と厳守」が必要不可欠であると言えます。

また、電通やエイベックスの場合はニュース・記事で幅広く認知されましたが、基本的には、リースバックのよる売却を行っても、不動産の名義がリース会社に変わる以外の、見た目の変化はほとんどありません
情報開示の姿勢が低い企業の場合は、人知れず、業績不振に陥っており、それをリースバックで短期的に補っている可能性もゼロではありません。
つまり、取引先の情報収集をする中で、直近の業績だけでなく、過去からの変遷や、不動産の所有情報まで、把握できていることが理想と言えます。

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今回は、今、一番旬な“自社ビル売却”に焦点を当てて考えましたが、今後は、事務所移転や本社機能の移転等にも焦点を当てた記事を書くことができたら、と考えております!

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本日の内容は以上となります。
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