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オーストリア5 青きドナウとシュトラウス〜百聞は一見にしかず〜

旅にまつわるBGMをかけながら、記事をお楽しみ下さい♪

モーツァルトからJ・シュトラウスへ

ザルツブルクを満喫し、私達はドナウ川が特別に美しいと言われる「ヴァッハウ渓谷」へ向かった。
「ドナウ川」ということで、バスではモーツァルトに変わり、ワルツ王で有名なヨハン・シュトラウスの曲が次々に流れた。

「この曲知ってる!」
「知ってる、じゃないでしょ!有名な『美しき青きドナウ』じゃない!」

有名なワルツ曲「美しき青きドナウ」は、題名こそ知らなかったものの、クラシック番組などでも聴いたことがあり、私と弟は素直に反応しただけだが、プライドの高い祖母は、この素人的な反応にはいささか不愉快なようだった。

神秘的な雰囲気のメルク

バスはまず、ヴァッハウ渓谷観光のスタート地点にされることの多い、メルクに到着した。生憎の雨だったが、反対に雨が、メルク修道院の幽玄な雰囲気を更に盛り立てていた。
ザルツブルクよりも暖色系の装飾が新鮮で、雨だからこそ、その温かみをより感じられたのを覚えている。

ドナウ川は本当に青い?

メルクの次に向かったのは、小さいながらも世界中の人々に愛されている、可愛いらしい村、デュルンシュタイン。
この名前を覚えられるようにバスで練習した。
一番上手に発音できたのは、前世がドイツ人だった可能性の高い、祖母だった。
子音もはっきり発音でき、なんとも力強く、聞き取りやすい。

そんな「デュルンシュタイン」に向かう途中は、車窓からドナウ川を楽しむことができた。
「なんや。ドナウ川、全然青くないやん!」
「まあ青くはないけど、美しいって言われたら美しいんじゃない」

弟の突っ込みを、私は姉らしくなだめる。
「色なんて関係ないのよ。大事なのは今、私達がこのドナウ川を見てるってことよ……!」
祖母は、また感激からか完全に別世界である。

「デュルンシュタインで、ドナウ川に触ってみようよ!」
「でもママ、寒すぎて、手、凍らへん?」
怖がりな弟は、少々心配そうだ。

デュルンシュタインで私達はまず、川岸へと降りて行った。
実際、凍らないか私も不安になり、恐る恐る手をつけた。
ドナウ川は確かに冷たかったが、とても気持ち良かった。
緩やかなこの川を実際に感じられ、私達4人は満足した表情で笑い合った。

かわいい村でのカフェ

可愛らしい村は、私達の体温をも温めてくれた。
ドイツ語も分からないのに、母のおぼつかない英語がとても役に立ち、私達はこのデュルンシュタインで、カフェも楽しめた。
「メランジェって、こんなに美味しかったかな」
カフェラテのようで少し違う、ここオーストリアのコーヒーが、ますます好きになった。

百聞は一見にしかず

デュルンシュタインからクレムス、クレムスからウィーンへと走るバスで、時々シュトラウスの音楽が流れた。

なぜだろう。
メルク、デュルンシュタインが行くまでよりずっと、シュトラウスの音楽が身近に感じ、もっとシュトラウスの音楽が聴きたくなった。

「百聞は一見にしかず」
この言葉は、こういうシチュエーションでも使えるのかと感じた。
今は美しい画像で、世界を舞台にした旅番組でも簡単にバーチャル旅行が楽しめる。
ただ、やっぱりその場を実際に見て、空気を感じて、そこで色々な人と接することで、その国やその国ゆかりの人々を近く感じられる事が今でもあると思う。

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