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初めて感じる空気

ホノルル空港に着陸した時、日本と違うカラッとした空気を、幼いながらに感じた。
弟は時差ボケからかなかなか起きれなかったが、私は生まれて初めての海外を五感で感じようと必死だった気がする。

10歳のバースデイパーティー

ゴージャスなレストランで行われた10歳のお誕生日パーティーでは、髪の色も、顔の中身も違う人々がたくさんいた。

今の大食いの自分からは想像出来ないほど、当時の私は小食だった。食自体にも興味がなかったからか、大盛りに盛られた、やたらぶ厚いステーキよりも、私は自分と種類の違う人々にばかり注目していた。肌がすこぶる白いウェイターもいれば、真っ黒のウェイターもいた。これが、白人さんや黒人さんというものなのかぁ、と妙に納得する。流れてくる音楽も、日本のそれとは何やら違う。

「大人の雰囲気」という言葉が似合う間接照明のレストランに、10歳の私は必要以上に口数も減らし、品を作ってお行儀よくした覚えがある。弟はそんな特別な場所に連れて来てもらっている割に、時差ぼけで全く起きることすらなかった(惜しい!)。

モアナ・サーフライダー ウェスティン リゾート&スパ

リムジンで運ばれ着いた所は、両親も前年泊まったという、王族の宮殿を改築した作られた「モアナ・サーフライダーホテル」。
両親は自分達が泊まった思い出の、白亜の美しいホテルの写真を何度も見せてくれた。
「私もここに行きたい!」
と言ったら、それを両親は本当に叶えてくれたのだ。憧れの場所に来れて、私は本当に、自分が王族の姫になったような錯覚に陥った。早く、両親が用意してくれたムームーを来て、赤いカーペットの上を歩きたくなった。

着いた時はもう夜中だったが、時差ボケからか全然眠くならない。部屋割は、父、母、弟の3人部屋と、私と祖母の二人部屋だった。どうして弟をこちらの部屋にしなかったのか?今更、そんな疑問を持つ。どうも彼らは、2人兄弟を望んでいたようだ。

私は、いつの間にか幕を閉じていた自身の長い誕生日を、部屋のバルコニーから振り返っていた。いつも、誕生日付近の夏の家族旅行は楽しみにしていたが、こんなにドキドキした感覚が続いているのは、初めてだった。周りからは、嗅いだことのない様な強いココナッツの香りなども、漂ってくる。そして、暗闇から聞こえる海の音も、日本のそれより勢いがある様に感じた。

「明日は、ビーチで泳ぐぞ!」
父は、そう意気込んでいた。身体ごと乗れる浮き輪も買ってもらう予定だし、早く寝ないと、と思ってはいるのだが、私は喜びや興奮からか、なかなか眠れなかった。隣で熟睡している祖母を羨ましく思いながら、やってくる太陽の到来を待った。

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