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東洋古典を通じて、相互理解を深めたい

ひとり上海に渡ってから数年間、中国人スタッフの教育や指導を行なってきましたが、当初から仕事を進める上で難しいと感じたことは、言語の違いよりも価値観の違いでした。

日本企業での経験に基づき「こうあるべき」論を唱えたところで理解されませんし、それどこか大きな反発を招きます。

あらゆる面で日本の常識は中国では非常識であり、その逆もまた然り。

そこで私は、まず相手を知ることに努め、共通の価値観を見つけ出して、擦り合わせていくことから始めました。

そのために学び、活用したのが、中国古典の「菜根譚」です。

菜根譚とは「生き方のバイブル」です。

菜根譚は、今から約400年前に「厳しい時代の中でどう生きるのか」をテーマに、中国明時代の哲学者、洪自誠(こうじせい)が記した、生き方マニュアル本です。

堅い菜根をかみしめるように、困難な時代を乗り越えよう!という意味から、「菜根譚」と名付けられました。この菜根譚は、内乱や政争が相次ぎ混迷を極めた明代末期、万歴帝の時(1572-1620)の哲学者、洪自誠によって書かれた随筆集です。

この時代は、派閥闘争や農民一揆、豊臣秀吉の朝鮮侵略、東北方面の女真族の勢力拡大など混迷を極めた時代であり、ついに1636年に明王朝は滅亡し、漢民族は迫害、異民族である女真族の清王朝が樹立されたのです。

このような時代の大過渡期に書かれた、「生き方のバイブル」こそが、「菜根譚」。これから「どう生きるか」生き方を考えるためのメッセージがたくさん含まれています。

著者の洪自誠はどんな人?


著書の洪自誠は、明王朝のエリート官僚。「科挙」という官僚試験は、膨大な儒学の本を暗記するなど、超難問。

そこまで頑張って官僚になったのに、待ち受けていたものは、既得権益を固守する「今を変えたくない人たち」による派閥闘争。

その世界に嫌気がさして引退し、書き記したのがこの「菜根譚」。

そのため、菜根譚には逆境を経験したからこその冷徹な視点があり、今の時代に通じる、鋭い人間洞察が書かれています。

古典のノウハウを現代に活かす

私たちに共通するものは歴史的関わりであり、相互の歴史や文化を知ること。それを意識して以来、トラブルや難しい問題に直面した時も、古典からの「格言」を引用するなどして、建設的な議論に変換し、少しずつ信頼関係を築くことができるようになりました。

中国国内ではまだまだゼロコロナ政策による厳しい規制が行われておりますが、これらが収束すると、日本も海外との交流、特に中国や華僑との交流は勢いを増すでしょう。今の内に、準備出来ることは何か。

その一つには、アジアの共通言語である東洋古典を彼らと共に学び、価値観の多様性を理解する事なのではないかと思うのです。

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