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運動音痴な息子が黒帯になった話 #1「道着拒否と入門拒否」

子どもの頃ランドセルを置いては外を走り回っていた私とは正反対に、運動嫌いインドアな息子は保育園の時に私の意向でちょっと強引に極真空手を始めました。


保育園の運動会では、
たくさんの家庭が証拠ビデオを撮っている中、勝てないと確信するとリレーのバトンをとっさに次の子に向けて投げてしまった息子。

小学校の運動会では、
タイム順で出番が決まる徒競走で毎年もれなく前から一桁番目に出てくる息子。

泳ぎくらいはと小6の夏休みだけ通わせたプールでは頭一つ飛び抜けた体格差で、一番下のクラスに参加し無理矢理頭を沈められていた息子。


とにかく運動が嫌いで、お世辞にも運動神経があるとは言えない息子です。だいぶ変わったところもあり、絶対にいじめられるタイプだと確信していた私は(かなり心配性の母です)、護身術の為に柔道か、空手か何か一つ武道を習わせたいと思っていました。

家から少し遠かったのですが、通勤電車の中から見かける線路沿いにある道場が極真空手だったので、息子が年少の年に見学に行ってみました。
皆礼儀正しく、空手もキレがあり、ただただカッコいい!息子がここに入って一緒にやっているところなんて想像できないけど、通えば少しは身に付くかな?先生も許可してくださったので、早速入れることにしました。

初日、私は仕事があったので母に付き添いをお願いしました。夕方「ちゃんと行ったかな。大丈夫かな。」と思った瞬間母から電話が、、嫌な予感、、

母「道着嫌がっちゃって、着替えないからダメだった」

私「ダメだったって?」

母「言うこと聞かないから先生が教えられないってさ」

私「・・・」

母「しょうがないよ。とりあえず帰るね!」

うーん、、そうか。
確かに初めての空間・物に対して息子は敏感ではあったのですが、見学の時は何ともなく私服のまま少し一緒にやっていたくらいだったのでそこはノーマークでした。

とりあえず仕事後先生に電話をしました。

私「今日はすいませんでした。まだ難しいですかね?」

先生「俺が大声で怒鳴れば皆言うこと聞くのに、あれはダメだ。手に負えない。大物になるよ。」

私「・・・すみません。じゃあ一年後とかに様子見てまたお邪魔してもよろしいでしょうか。」
(母は諦めきれず、、少しの可能性を残しておきたかったのです。)

先生「いいよ。また時間経ったら連れてきな。」



一年後


気まずかったのですが予約をして、息子と2回目の見学をしました。
一年経っても道場のピリっとした空気は変わらず、やっぱりここに通わせたいなと思いました。
息子にどうするか確認したところ、やってみる!とのこと。早速その日に申し込むことにしました。
一年の時間は、道着をすんなり着れるまでに息子を成長させ一年前の冷汗が嘘のようにスムーズでした。

見学後、先生から入門を許可していただき、申込手続きと道着のサイズ合わせをしながら

私「一年前はすいませんでした。」

先生「何のこと?」

私「せっかく入門させていただいたのに初日に息子が道着を嫌がってしまい、
先生からまだ無理だと言われまして、、、
時間経ったらまた来てもいいということで、一年経ったのでまた来たんです。」

先生「そうだったっけ?全然覚えてねーや。断るなんて俺商売っ気無くてダメだなー」


私と話す感じとは対象的に、
お弟子さんらしき男性に対してはかなりきつめの口調で指示され
それに対して何を言われてもお弟子さんは「押忍!!」のみ。
これが極真空手の世界か、、根性の「こ」の字も無い息子がやっていけるのか?と少し心配になりましたが、
母子家庭ではどうしても母との関わりしかなく、大人の男性から学ぶ機会を作りたかったこともあり
とりあえず揉まれて来なさい!と少し強引に始めることにしたのでした。


このことが私達親子にとってかけがえのない出会いを与えてくれることになるとは、この時は全く知る由もなく。
人生とは巡り合わせの連続で、何がきっかけになるかは誰にもわかりませんね。
思い出すだけで胸が熱くなるような出会いを経験したことはありますか?


なるべく空手を頑張ってほしい母と、そうでもない息子のかなり緩い空手生活が始まります。


長くなってしまったので、続きはまた。
長文最後まで読んでいただきありがとうございました。


つづく


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