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運動音痴な息子が黒帯になった話 #6「念願の一勝」

子どもの頃ランドセルを置いては外を走り回っていた私とは正反対に、運動嫌いインドアな息子は保育園の時に私の意向でちょっと強引に極真空手を始めました。

前回は、お世話になっている先生が実は偉い方だったということを知ったという話をしました。

先生は息子を名前で呼ぶこともありましたが、「マイサン」と呼ぶこともありました。お子さんがいないと聞いていたので、息子のように思ってくれているのかと、、、
愛情が凄いダイレクトでストレートだなと思いましたが、とても嬉しかったです。


本気で空手をやっている人はいかに身体を柔らかくするかが大事なので、日々柔軟体操をしますが、、
息子は先生との時間の中でなら柔軟も含めて稽古に励むものの、道場を離れると家で柔軟を一切やりません。しかも元々身体硬めです。

そうなると技の選択肢が狭まり、蹴りはローかミドルか前蹴りのみなので選択肢が少ない分試合相手にも気づかれやすく、息子の蹴り技は決まりにくかったです。
試合に勝ち上がっていく子は身体が柔らかいのでハイキックや踵落としなどを習得していて、素人目にわかりやすい技は審判にアピールしやすいので、試合で一本になりやすいのです。
 

蹴りでは太刀打ちできないと思った先生は突きに重点を置いて稽古して下さいました。
ひたすら溝落を狙って重い突きの連打をメインに、効いてきたころに蹴りを出す作戦です。
適度に距離をとり空気を見ながら打撃を出す蹴りメインのやり方と違い、相手と距離を縮めてひたすら攻撃するのでスタミナ必須です。下手したら相手より先にこっちがヘトヘトになってしまいます。


そして迎えた試合当日
息子は相変わらず緊張感ゼロ、先生や私の方がソワソワしていたと思います。

試合が始まると、息子のスイッチが入りました。これまでの先生との時間のおかげで、前回と比べものにならないほどの気迫を息子から感じました。気迫というか、自信?
上手く相手の懐に入り、突きの猛攻撃開始です。

あまりの力の強さに相手は後ずさりしながら避けていました。息子優勢の光景を見れる日が来るとは、、既に私は息子の成長に涙が出そうでした。
幸い、普段から先生に怒られる事が多かった息子は「反射的に避ける」術を身に付けていましたので、相手の攻撃を上手く躱していました。 

本部席に座っている偉い先生は基本的に誰も声を出さないので、先生は遠くから息子を静かに見守っていました。

いつの間にこんなに進歩したのか、、

もう後ろに下がれなくなった相手は、突きが効いたようでそのままうずくまりかけ、、
技あり!
子どもの試合で突きで一本をとったのを初めて見ました。そのくらい審判にアピールが難しい技というか地味な技なのですが、うずくまる=効いてるということで一本につながっったようです。

試合は二本とって終わるので、すぐに試合再開し、勢いにのった息子が突き連打→相手がうずくまるで
もう一本!

突きだけで勝った、、、

まぁ勝ちは勝ち!先生は試合が終わるとすぐに駆け寄って来てくださり二人で喜びを分かち合っていました。毎回勝ち上がる子たちにとってはたかが一勝ですが、私はまるで息子が優勝したかのように嬉しかったです。

何に対してもやる気のない息子をここまで引っ張ってくれた、
頑張ることを教えてくれた、
しかも勝ちまで体験させてくれた先生に感謝してもしきれませんでした。

息子は何を感じたのでしょうか。
喜びも束の間2試合目では、判定で負けてしまいましたが、時間いっぱい最後まで闘い抜いたので私は満足でしたし、恐らく息子も同じ気持ちでした。


念願の一勝を果たしましたが、この後もほぼ毎日空手生活は続きます。


長文最後まで読んでいただきありがとうございます。


つづく

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