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運動音痴な息子が黒帯になった話 #7「完璧な班長と思わせたのは?」

子どもの頃ランドセルを置いては外を走り回っていた私とは正反対に、運動嫌いインドアな息子は保育園の時に私の意向でちょっと強引に極真空手を始めました。


前回は、少しやる気になってきた?と思わせるような雰囲気を息子がかもし出し始めて、試合で念願の一勝をしたという話をしました。


どこに行っても問題児扱いされる息子を広い心で受け止めてくださった素敵な先生との出会いによって息子は極真の稽古に励んでいました。ただ、空手が好きという訳ではなく先生が好きで続けている感じでした。

反抗期が始まると、息子と私は度々ぶつかるようになります。成長の過程で自然のことですが、シングルだったので苦しい毎日でした。でも、息子は先生の言う事には相変わらず全て「押忍!」でした。

先生と話す機会があったので、その話をすると
「俺の言う事聞いてるから大丈夫だよ!
あいつは本当に可愛いんだから。」

先生から力強くそう言われると安心できました。色々心配は尽きないですが、息子には先生がついていてくれるから大丈夫。そう思えたのでした。


息子が小学5年生の夏休み
極真の合宿に参加させることにしました。
同じ支部にあるいくつかの道場の生徒が集まるので、いつも試合で会うような子たちと合同で稽古し二泊寝食を共にします。そこに先生は参加されないので、特別扱いも無し!他の道場の先生に鍛えていただきます。


せっかくの夏休みなのに、私は仕事で一緒に息子と過ごすことが難しいので、なるべく色んな体験ができるようにと積極的に宿泊行事に参加させていました。

当時はまだ受けるかわかりませんでしたが、審査で黒帯を受けるには合宿に二回以上参加していることが条件でもありました。
(実は小1の夏休みにも「わからないうちに慣らせてしまおう」と参加させていたので今回は二回目でした。)

「合宿なんて高いし、参加させる必要ねぇよ。」と先生から言われましたが、家にいてもゲームしかしないので、参加させることにしました。


当日
道場から集合・解散場所まで、道場生をまとめて先生が送迎してくださいます。
朝早く息子を送り出し、先生に「お願いします」と電話を入れます。

バス酔ってないかな?
荷物散乱して怒られてないかな?
(宿泊行事では100%物を紛失して帰って来ます。)
ふざけ過ぎて怒られてないかな?
真面目に稽古してるかな?

いつも一人の時間が欲しいと思っているのにいざ離れると、つい色々と心配ばかりしてしまいます。

二日後
現地から大型バスで帰ってきて、行き同様解散場所まで先生が迎えに行ってくださいました。大体の到着時間がわかると連絡してくださいます。
夕方電話に出ると到着時間を告げる先生はやけに明るい声でした。

「今回6年生が少なかったから、あいつ今回班長だったんだって。
解散場所で車に荷物積んでたら他の先生から褒められちゃってよー
あいつの班が何するにも一番まとまり良くて速くて、ダントツで良かったんだって!
他の班は全然ダメだったのに、あいつの班だけだったってよ!
お世辞じゃなく、皆ベタ褒めだったよ!
「先生あの子は凄い子ですね」って。それも一人じゃないんだよ?三人から言われたから
俺鼻が高くなっちゃったよ。」

そんなこと今まで言われた事が無かったので、状況が全く飲み込めませんでした。班を乱す事はあっても皆をまとめるなんて、、あり得ない!!

事実、直前に参加したキャンプでは解散場所で引率の方が締めの挨拶で顔を真っ赤にして怒っていて、
「まさかうちの子の話じゃないよね?」と思ったら案の定うちの子の事で、謝ってから帰ったばかりでした、、

私は先生に
「そんなはずありません!!何かの間違えだと思います。怒られることはあっても褒められるはずはないですよ、、」
と言いました。

先生「いや、本当なんだ。あいつはやる時はやる男なんだよ。あまりに褒められるから俺も嬉しくなっちゃって。」

一体何が起こっているんだ?早く息子に会って真相を確かめたい!
もしあるとしたら、、、
班のメンバーが凄く良い子たちで、息子のことをフォローしてくれた
ということ以外あり得ません。そして学年的に息子は班長でしたが、他の子たちがまとめてくれたのではと思いました。
なんちゅー運の持ち主なんだ。


息子に会って、
私「班長だったんだって?凄い評判良くて、先生喜んでたんだけど、、、何かした?」

息子「班長だったよ!別に何もしてない。いつも通り。」

私「だよね、、」

息子「あっ、食べきれないおかずとかプリンとかあげたら皆言う事聞いてくれた!」

食べ物で釣ったのか、、そういうことね。確かに写真を見るとたくさん食べそうな子たちばかりでした。
にしても、班のメンバーに恵まれたことは間違いなかったみたいです。

先生はよほど嬉しかったようで、その日以来その後もその話を30回以上はされていました。実態は先生の想像とは違い、それも説明しましたが、先生の喜びっぷりは変わりませんでした。

あんなに褒められたのも息子は初めての経験でしたし、メンバーに恵まれていい時間を過ごすことができたと思います。本当に皆をまとめられる班長にいつかなれるといいのですが、、
このことがきっかけで、その後の審査でも試合でも、他の道場の先生たちに「あの合宿の時のいい子」として認識されることになります。


長くなってしまったので続きはまた
長文読んでいただきましてありがとうございます。


つづく

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