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運動音痴な息子が黒帯になった話 #2「初めての進級審査」

子どもの頃ランドセルを置いては外を走り回っていた私とは正反対に、運動嫌いインドアな息子は保育園の時に私の意向でちょっと強引に極真空手を始めました。

一度は入門を拒否されたものの、一年の時を経てなんとか許可していただき道場に通うことになりました。


稽古は平日に2日、土曜日に1日
17時半〜18時半で週3回ありました。
皆近所から徒歩で通っていますが、うちは一番遠く大人の自転車で20分くらいかかるので、送迎が必須でした。

私がフルで働いていた為平日は送迎が難しく、先生に相談の上土曜日のみ参加させていただくことにしました。

お迎えの帰り道

私「今日はどんなことしたの?」 

息子「遊んだー!」

私「空手は?」

息子「少ししたー!楽しかった!!」

少しとはどのくらい?そうか、、週一回なんだけどな、、
まあ、でも、ゆるゆるの息子が続けられるにはまずは楽しんで、楽しい場所と認識してもらえた方がいいので今はこれでいいか!と私は送迎だけして、あとは先生にお任せしていました。

少ない時間と言えども、継続は力なり!
一年半くらい過ぎた頃先生から進級審査のお話があました。帯の色が変われば本人の自信にもなるし、とりあえず受けてみることにしました。


審査当日

未就学の小さな子から、大人と変わらないくらい大きな子(少年の部は小学6年生まで)まで、、審査を受ける子どもは100人以上はいたと思います。

まずは形の審査から。

それだけの人数が一堂に会すと迫力もあり、遊び半分で参加していて、まだ危なっかしい息子もその中に混ざる事で様になっているように見えました。
受ける級が下の子たちは形も少ないので、自分の形が終わり次第後に下がり座って先輩の形を見学します。
どんどん人数は減っていき、最後は黒帯を受ける二人だけが残りました。最初に後に下がった息子はふざけていないか?ちゃんと座って見ているか?探してみると案の定先生から注意を受けていました、、恥ずかしい。

その日黒帯を受けたのは6年生二人だけでした。約100人の子どもプラスその父兄で会場には300人くらいはいたのではないでしょうか。
ザワザワしていた会場も静まりかえり、全員の視線が二人に向けられ、会場全体が緊張感に包まれます。

黒帯の形は他の級よりも多く、自分の子どもの危なっかしい形を見るのとは比べ物にならないくらい感動し、その迫力に釘付けになってしまいました。
この二人の親御さんは今どんな気持ちで見ているのだろう。どうしたらここまでになれるのだろう。
そんなことを想像するだけで胸が熱くなり涙が出てきそうになりました。

同時に、「息子はこれからどのくらい続けられるのだろうか。ある程度形になるまでにはなれるのだろうか。」どう考えてみても、ここまでは無理だろうと親であるのに可能性を信じてあげられず申し訳無かったですが、むしろ確信していました。
運動嫌いの、集中力が続かない息子は今どんな視線を送っているのだろうかと探してみると、、、

既に飽きていて見ちゃいない!こんなに凄い光景が目の前にあるのに!先生に怒られない程度に回りとふざけている、、、ダメだこりゃ。


その後組手の審査です。

少年の部は防具を付けて同じ級の子と対戦します。こちらも下の級から順番です。
息子にとっては初めての組手でしたが、危なっかしい同志がスローペースで打ち合っていて、同じレベルなので安心して見ていられました。あまりの可愛さに会場の父兄も笑顔です。

だんだん級が上がってくると打ち合いも激しくなり、キレもスピードも打撃の強さも迫力がありこれが空手だ、、、と圧倒されるばかりです。
最後の黒帯は「10人組手」と言って連続で10人と組手をします。最後まで立っていられる体力が無ければ出直しです。たまたま今回の二人は何かの大会で一位と二位だったとか、、、どうりで上手いし強い訳だと納得。それでも、後半になると息も上がり苦しそうでしたが、二人とも最後までやり抜いていました。
感動をありがとう!!

この緊張感のある空間で、初めての審査を経験できたことは私にとってはとても刺激のある出来事でしたが、息子には何も響いていない様子でした。後日稽古終わりに先生に呼び出されます。

「審査の結果来たよ。」

オレンジ帯を受けたのに、どういう訳か青色帯で飛び級でした。これは何かの力が働いたのか、、、謎の現象でした。親の私から見ても他の子より上手かった訳でもなければ動きが良かった訳でもなかったんだけど、、

それを受けて、自分は天才だ!とか空手の才能がある!と勘違いしてしまった息子。調子に乗り過ぎないように、そうでもなかったということを傷つけない程度に伝えましたが自分に都合の悪い内容は耳に入っていきません。すっかり有頂天になり、周りに自慢しています。

先生「今まで週一回だったけど、昇級したんんだからこれからは週三回稽古に出ないとダメだぞ」

息子「押忍!!」

私「・・・はい。」と言ったものの、平日夕方の送り迎えどうするかな、、

息子に才能を感じた訳では無かったのですが、せっかくやる気になってくれたのが嬉しかったのと、何か一つ続けられるものができるといいなという気持ちで週三回の稽古をサポートすることにしました。
これをきっかけに私は空手の送迎ができる時間帯で働ける職場に転職することにしました。


この話の流れだと、この出来事がやる気スイッチになったかと思われそうですが、逆です。
「オレ天才だから大丈夫!」と根拠のない自信だけが残ってしまい真面目に稽古をしない時間はまだしばらく続きます。

息子の空手スイッチはどこにあるのでしょうか??


最後まで長文を読んでいただきありがとうございます。



つづく

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