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運動音痴な息子が黒帯になった話 #8「先生と息子の約束」

子どもの頃ランドセルを置いては外を走り回っていた私とは正反対に、運動嫌いインドアな息子は保育園の時に私の意向でちょっと強引に極真空手を始めました。

前回は、他の道場との合同合宿で思いがけず息子の班長っぷりが評判良く、他の道場の先生方にいい印象を与えることになった話をしました。


合宿での高評価によって、先生の息子への熱視線は更に激しくなったような気がします。息子も、そんな気持ちに応えるべく従順な生徒として道場に通っていました。


息子は毎週のように日曜日も道場へ出掛けて行きました。お昼少し前に道場に集合し、軽く稽古をしていただき、二人でご飯を食べに行くというのがお決まりのコースだそうです。
ある時から隔週になったので、息子に「最近隔週だよね?」と聞くと、
先生の奥さんが「生徒とばっかりじゃなく、私とも出掛けて!」となってしまったという事で、しばらく隔週で出掛ける事になったと言うのです。
ご家庭にご迷惑を掛けてしまって申し訳なく、大丈夫かな、、と心配になりました。しばらくして気づくとまた毎週に戻っていました。


休日以外にも、連休や夏休み等の大型の休みになると先生はたまに息子を旅行に誘って下さいました。
先生のご友人との旅行や、
道場のお弟子さんや生徒との旅行、
先生の親戚が経営している旅館への旅行等様々でした。

シングルだと、息子が3年生くらいから(今はもっと年齢が下がったとか?)温泉に行っても別々に入らなくてはいけないので、目が行き届かなくなってしまいます。息子は幼かったので目を離すには危なっかしく、大人の男性に旅行に連れて行ってもらえるのはとてもありがたいです。
帰ってきて、
息子は嬉しそうに
「皆が寝た後二人で温泉に入ったんだ!」

先生は
「最初ゲームやってて温泉行かないって言ってたのに、9時くらいにあいつが「先生温泉行きましょう」って言い出してさ。飾りのお面が湯けむりの中にぼやっと見える中で、二人でお湯浸かって色々話したんだ。」

私は一緒に行ったことはありませんが、二人の話を聞くと情景がはっきりと浮かんできて微笑ましい気持ちになりました。


息子が小6の時だったと思います。旅行から帰ってきて、突然
「俺、中学行ったら帰宅部になる!」と言い出します。

私「なんで?何か部活やった方がいいんじゃない?」

息子「部活やらないで、極真続けるから!
俺20歳まで続けるんだ!」

私「そうなの?なら部活やらなくてもいいか、、でもなんで20歳なの?」

息子「先生が20歳迄続けたらロレックスっていう何百万円もする高級時計くれるって言うから!」

私「、、、時計もらうために続けるの?」

息子「そうだよ!楽しみだなー!これで金持ちになれる!」


時計かい!!
時計に釣られて極真を続けるなんて聞いたことないわ。まぁ、でも息子の性格をわかってて先生はそんな話をしてくれたのかもしれません。
ほとんどの子が、中学に入ると部活が始まるので極真を辞めていきます。
ある日先生とお話する機会があったので、その事を伝えました。

私「中学行っても部活はやらないで道場に通うって言ってました。時計目当てみたいですが、、」

先生「そっか。それは嬉しいね。あいつは本当に可愛いから。中学校に行っても続けるなんて聞いたら余計に可愛くなっちまうよ。」

その後息子は中学に入ると本当に帰宅部になり、極真を続けたのでした。
小学生の時と変わらず週のほとんど
雨の日も雪の日も放課後は道場に通い続けました。
タイトルを見ると、「黒帯になる約束」と思われたかもしれませんが、、実際は高級時計につられた話でした。


長くなってしまったので続きはまた
長文最後まで読んでいただきありがとうございます。


つづく


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