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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2022年1月の記事一覧

最大限に何かを伝えようとしたことがありますか?

*喫茶店でちいさな子どもが「ママ、それいらない!」と子どもなりの大きな声で、首をぶるんぶるんと横に振りながら、両手はぎゅっと握られ、足はピンと伸びた状態で言っているのを見かけた。ママはたまらず「ちゃんと食べなさいよー」と声をかけているのだが、その子どもの「いらない」というアピールでありアプローチが、ぼくにはなんだかうらやましく思えたのだ。あんなに全身を使って、頭のてっぺんからつま先まで使って何かを

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矯正することで変わる



*歩いていたら、建物と建物のあいだに生えている一本の樹があった。樹は、建物の屋根と屋根のあいだを縫うように、ちょっとへんてこな形をして伸びていた。すごいもんだよなぁ
、そこに屋根があるからどうにかこうにか、軌道を変えて伸びてきたんだろうなぁ。人間が勝手に感じているだけかもしれないけれど、そうした自然の「生命力」には、何度も驚かされることがある。

この景色からぼくは「変わるって、大変なことだよ

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池を作った中学生

*ぼくは中学校の頃、理科研究部に所属していた。というのも、クラブチームで野球をやっていてチームでの練習は土日にあったため、平日の放課後は暇でなにか部活に入るかなと思って入ったのが、理科研究部だった。とくに理科がすきだったわけでも、興味があったわけでもない。クラブチームに所属する人はなぜか「理科研究部」に所属するという風習があって、先輩の言う通りに入部しただけだった。

ただ、うちの学校の理科研究部

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「ありがとう」の居場所

*「ありがとう」の居場所について、ところどころ思ったことがあった。
ぼくは、コンビニの店員さんにできるだけ「ありがとう」と言うようにしている。むしろそれが自分の心のバロメータで、「ありがとう」と言ってなかったときには「あ」と思う。疲れてるのかな、とか、機嫌が悪かったのかな、とかね。もちろん、「ありがとう」と言いたくないような接客をされたときや、とてもじゃないが「ありがとう」が嘘になっちゃうようなと

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口の軽い人にならない方法

*「あの人は口が軽いから」なんて言い回しがあります。口が軽いというのは、ひみつにしておいてほしいことや、その人を信用して話したことをぺらぺらと他の人に話しちゃうような人のことです。ま、あんまり良い意味では使われませんな。

反対の意味で「口が堅い」というのもあります。そのまんま逆の意味で、誰かのひみつや話をあんまり他人にしない人のことです。知っていても知らないふりをすることもあるだろうけど、口が堅

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箸文化についてのはなし

*この前ラジオで聞いた「お箸文化」の話がおもしろくって、ごくごく飲むように聞いていた。ぼくたち日本人は当たり前のように箸でご飯を食べるけど、世界を見渡しても箸文化のある国ってのはけっこう少ないでしょうよ。世界を旅したわけでもないけど、たいていアジアがほとんどなんじゃない?中でも日本ってのは、根強い箸文化があるもんだよねえ。箸渡し、迷い箸、取り箸、菜箸、箸で人を指す…箸にまつわることばを考えただけで

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相手を抱きしめながら文句が言えるか?

*これもまた、海外ドラマ『THIS IS US』より。イケメン俳優の夫と、その妻が結婚式について話すシーンで、当たり前のように観てたんだけど「なるほど」と思うシーンがあった。妻は結婚式場にちょっと違和感を抱いていて、その件について打ち明けるシーンだったんだけど、悩みを切り出された夫がそっと妻の横に座って、手で肩に触れながら話をしてたんだよなぁ。

海外っぽいと言ってしまえばそれまでなんだけど、ぼく

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親に謝られた経験はありますか?

*二年ほど前からずっとハマっている海外ドラマ『THIS IS US』。今やシーズン5まで追っかけていて、ちょうど昨日、子どもと親がけんかするシーンだったんだよね。ま、明らかに親がわるくって、子どもが悪態をついたのをいいことに、怒っちゃうわけ。で、仲直りをしに親が子どもの部屋に入るシーンがあって、いかにその子どもを愛しているか、私が不寛容かどうかを話すんだけど、それを見ながら「いや、まずこの親がやら

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好きな人の好きじゃないところ

*「好き」というものの魔力に、ぼくは何度も触れてきたけれど、それでもやっぱり書き尽くせない思いと考えがある。「好き」ってなんだ、「好きの効力」ってなんだ、「好き」は魔法だ、説明できる「好き」と、ことばじゃ語れない「好き」、恋愛の「好き」、友達の「好き」、食べ物の「好き」,、「好きじゃない」と「嫌い」ってどうちがうのか…好きについて要素を挙げてみただけでも、ここに書ききれないほどある。

ぼくはよく

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言いにくいことをちょっと

*ちょっと言いにくいことを今日は書いてみるよ。
「炎上」ということばが、現代にできた。不倫とか不適切な発言とか、そういうのをみんなでよってたかって、正しくしちゃうようなことだ。いや、これはわるく書きすぎたな。「それはちがうよ」とか「もっと言い方あるんじゃない?」みたいなことを、みんなで言い合ってるのかもしれない。もちろん、嫌なことを言われたら、誰だって怒りたくなるものだ。ぼくだってそうだ。それを否

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私の愛は三百キロあります

*むかーし、なんでもかんでも「単位」がついちゃったら、コワイことになるよってエッセイを書いた。たしかそのときは「目盛り」と書いてたと思うんだけど、ま、ようするに、「愛」に単位ができたらどーすんの?ってことだ。「私の愛は三百キログラムありますよ、どうでしょう」って言われても、重いと感じる人もいれば軽いと感じる人もいるだろう。いや、せいぜい百キロに満たない女性が三百キロの愛をどうやって抱えてるのかも、

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もっと上手になりたいっ

*文章を書く仕事をはじめて3年とそこらが経った。今思えば、なんとも不安定で、かつ目に見えない判断基準の仕事についてしまったもんだよなぁと思う。何時から何時まで働けばお金がもらえるという仕組みでもない(良くも悪くも、です)。この前ちょっとしたインタビューで「どうしてこの仕事に就こうと思ったんですか?」と聞かれたとき、ちょっとばかし若い時分のことを考えて「自分にはその才能があるって勘違いしたからだと思

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トマトジュースと現実は甘くない

*打ち合わせと打ち合わせの合間、息継ぎをするように入った喫茶店で、トマトジュースを頼んだ。コーヒーはもうそれまでに2杯飲んでいたし、コーヒーよりもトマトジュースのほうが安かったし、ま、健康にいいだろうと頼んだのだ。数分後、腰がほぼ直角に曲がった赤いエプロンを着たおばあちゃんが、赤いトマトジュースを運んできた。テーブルに置かれたトマトジュースは思いのほかドロッとしていて、赤く濁っている。上にはレモン

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さみしいからやっちゃうこと。

*「ガム」という食べ物がある。いや、あれは食べ物と言っていいんだろうか。噛むけど、ごっくんと飲み込んで、食べるわけじゃない。擬似的な食べる行為を行うことで、味を感じたり、満腹感を味わったりするためのものだ。嗜好品、という言い方が正しいんだろうが、あのガムってのはなんとも、口のさみしいのを紛らわせてくれるもんだよなぁ。禁煙している人がよく、ガム噛んだりしているし。

少し前、「ハンドスピナー」なるも

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