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イチ押しルート、高松空港〜塩江〜美馬🚌

 高松市と境を接しているものの、県が違うことでなかなか観光交流の“シーズ”が生まれづらいのは確か。しかし南隣の美馬市は徳島県西部の2市2町で構成する、「にし阿波~剣山・吉野川観光圏」を売り出すが、外国人観光客に大人気の大歩危・小歩危や祖谷の郷を持つ三好市に後塵を拝する藤田元治美馬市長の心中は穏やかならず。

 「うだつの町並み」で有名な美馬市には、

他にも「日本一の清流穴吹川」「剣山」と誠に変化に富む観光資源があり心躍る場所。そうした場所への観光客の玄関口にもなっているのが徳島空港ではなく身近の高松空港なのである。実は徳島県西部からは最も近い空港でもあるのだ。最近行われた両市長同士のトップ会談は時宜を得たものとなったが、同じ「広域観光圏」として四国ツーリズムを先導する高松市と美馬市がタッグを組む意味は大きいものがあると言わざるを得ない。

 高松の奥座敷として、その存在感を増す塩江温泉郷

から、国道で南下すること約15分もあれば美馬市に入ることが出来る。

 つい数年前までは穴吹から塩江温泉を経由して、高松駅を結ぶ徳島西部交通(現ことでんバス徳島営業所)の路線バスが一日に数本運行されていた他、大川バスもさぬき市と美馬市の間に路線を持っていた時期もあるなど、人的な交流も思いの外長く深いお隣さん同士である美馬市。

 実際に観光地としての美馬市の魅力は実に豊富で、うだつの町並み以外にも日本の原風景をたどるために訪れる観光客は多い。

 3年に一度訪れる瀬戸内国際芸術祭の開催年は、

どうしても観光客も含めて香川の県民の目は海側に行き勝ちである。しかしせっかく瀬戸芸に訪れた観光客は、作品鑑賞をした後に高松側ではなく対岸の岡山・児島側に渡ってしまうケースが少なからずある。もちろん児島も瀬戸芸会場のひとつではあるので、当然と言えばそれまでではあるが、例え四国側に渡ったところで屋島に栗林公園、さぬきうどん屋めぐりくらいで、帰途についてしまうというのは実にもったいない話である。帰途に就く空港が高松空港ならば、そこよりも南側にはまた違った魅力を持つ異空間が広がっていることをご存じないからだ。それを知らないまま観光客を帰らせていい訳がない。

 国際路線も大充実する高松空港のロビー等での積極的なプロモーション活動

を行うことは重要なこと。観光物産展では写真展やPR動画上映、物産の直売等県域の垣根を越えた一大プロモをすることで搭乗客にアピール。

 すでに琴平町から大歩危、小歩危に至るルートは、鉄道や道路が通っていることから十分に認識をされてきており、特に大歩危小歩危周辺は香港からの観光客には大人気となっているのは意外なところ。四国4県の中で徳島県への入り込み客の国別ランキングを見ると、徳島県だけが香港客が突出していることから、プロモーションや口コミが相乗効果を発揮していて多くは三好市周辺に目的地が集中しているようである。

塩江温泉を拠点にする新たな観光ルートを開発

 実際、阿波市よりも西側に住む人は、県都の徳島市に出るよりも高松市に来る機会のほうが多いとの声をある。またその周辺の自治体関係者の出張時には高松空港を利用しているケースが多いとも聞く。「これは徳島空港の利用促進を第一にする徳島県知事には怒られてしまいますが」と、地元関係者も洩らすが、やはり利便性が最優先であり、わざわざ遠くのしかも便数が少ない空港へ行く理由は見当たらない。

 これまでも民間レベルでの交流は実に活発である。香川県内のゆめタウンやイオンモールに行くと、思いの外多くの徳島ナンバーのクルマが駐まっているが、その多くがさきほどの阿波市よりも西側の人たちであろう。最近は徳島市内とその近郊に、同様のショッピングセンターが出来たので、その回数は減ってはいるようだが。

県域が邪魔をする誘致プロモーション

 県域が邪魔をしてこれまで表だった協力関係を築くことが出来なかった高松市と美馬市の関係であったことは致し方ない。しかし未来志向に基づくと、日本国外の観光客にとっては県域なんて始めから意味をなさないもの。インバウンド観光客の増加に合わせて、そろそろお互いもっと胸襟を開き、協力体制を構築する時期が来たと言える。そのタイミングで開催されたトップ会談だから大変意義のあるものとなったのである。

 東かがわ市から観音寺市まで香川県内の主要市町はほぼすべてが徳島県と県境を接しているという事実がある。今も昔も切っても切り離せない関係であるのだから、これ以外の隣接自治体にとっても、右にならえでお互いの良いものはもっと活用していくべき時代になったとも言えるそんな一幕であった。


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