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小説のメイキング本をつくった理由

――どんな物語にも、それができるまでの物語があって、そこに需要が生じることは珍しくないんだから、「物語ができるまでの物語」を商品にすることはとても理にかなっているといえます。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「小説のメイキング本をつくった理由」というテーマで話していこうと思います。


◆小説のメイキング本


11月20日に開催される文学フリマ東京35に、僕は出品者として参加します。当日までの日数が残り僅かとなった今、日増しにドキドキとワクワクがこの胸に湧いてきます。ブースのレイアウトから、世界観まで、こだわり尽くしています。

出品するのは、2種類の本。

小説『Message』とエッセイ『伝えたいことが20年分ある』です。どちらもAmazonで出版した僕の大事な大事な作品です。ちなみに、エッセイの方は文学フリマに出品するためにつくった新作です。今月の頭に完成したばかり。できたてほやほやです。


小説『Message』は「110」というダイイングメッセージの謎を解くヒューマンミステリーです。人生最後の瞬間、人はどんなメッセージを遺すのか。その疑問と真摯に向き合った作品で、ダイイングメッセージに正解を出したなと自負しています。

最後の1行で全てが解き明かされます。興味を持たれた方は是非、以下の記事をご覧ください。試し読みできます。


で、小説『Message』の制作の過程や、物語の裏話などを綴ったのが、新作エッセイ『伝えたいことが20年分ある』なのです。言い換えれば、小説『Message』のメイキング本です。

今回は、どうして小説のメイキング本をつくったのか、その問いについて整理していこうと思います。


◆映画のパンフレットを買っちゃう


先日、映画『すずめの戸締まり』を観てきました。新海誠監督の最新作です。すずめという高校生が、世界の各地に現れる扉を閉めていく物語です。

直近の2作、『君の名は』と『天気の子』は特報や予告を見れば、どんな物語かを想像しやすかったことを思い出します。しかし、今回の『すずめの戸締まり』に関しては、上手にイメージができませんでした。

「なんで扉を閉めていくんだろう?」「あの猫は何者?」「空を覆うようなあの赤黒いバケモノみたいなのは何?」「どんなメッセージが込められているんだろう?」

何度予告を観ても、疑問符が解消されることはありませんでした。

期待と不安を胸に映画館を訪れたわけですが、上映が始まり、物語の序盤の方で、何を描きたいのかが分かったのです。これは●●の物語なんだと。

だから、ロードムービーである必要があったし、扉を閉じていく意味も分かったし、今この時期に公開する理由にも深く納得することができました。新海監督が口にしていた「扉を閉じていく物語を描きたかった」という言葉の真意にも頷くことができました。

もちろん面白い映画だったですが、ネタバレするのは嫌なので、作品の感想や考察はまた別の機会にします。


映画を観終わった後、僕は売店に行きました。ポップコーンを買うためではありません。パンフレットを買うためです。物語の裏側を、制作の過程を知りたくて、パンフレットを買いたかったのです。



◆物語ができるまでの物語


面白いと思った作品、好きな作品に、その裏側や完成までの過程に興味を持つことは、よくある話だと思います。好きな気持ちが高まれば高まるほど、もっと知りたい、全部知っておきたいという気持ちが強くなるのです。みなさんも経験があるのではないでしょうか。

どんな物語にも、それができるまでの物語があって、そこに需要が生じることは珍しくないんだから、「物語ができるまでの物語」を商品にすることはとても理にかなっているといえます。

だからこそ、映画のパンフレットは売りに出されるし、アイドルをデビュー前から応援しているファンの熱狂は圧倒的だし、プロセスエコノミーという言葉が生まれるのです。


僕自身、物語自体も好きなんですが、物語ができるまでの物語にも興味を抱くことが多々あります。そういう経験から、小説のメイキング本があっても面白いんじゃないかという発想に至ったんだと思います。

そんなことをぼんやり考えるようになってから、小説『Message』はメイキングにも価値があるように作ろうという謎の目標ができたんです。


従来の作り方じゃ面白くないので、共同創作という形で制作することにしました。執筆するのは僕でしたが、物語の展開や登場人物の設定、言葉遣いや表現など、あらゆる課題を複数人で解決していったのです。

おかげさまで、僕1人じゃ辿り着けない景色を目にすることができました。

新作エッセイでは、小説『Message』の共同創作の仕方や成果、反省を綴っています。僕と同じように物書きさんならきっと面白い内容になっているはずです。是非、手に取ってみてくださいね。


また、小説『Message』はどんな風に生まれたのか、誕生秘話を長々と語っています。ちなみに、第1章は「こういう物語にしよう」と決めるまでにどんな道を辿ったのかを収めています。小説『Message』のエピソードゼロです(笑)

この部分もかなり読み応えあると思うので、是非以下の記事をご覧ください。試し読みできます。ちなみに小説『Message』の結末部分にがっつり触れているので、小説『Message』未読の方はお気をつけくださいね。


話をまとめますね。

僕が小説のメイキング本をつくった理由は、物語ができるまでの物語にも需要があると考えたからです。

面白い物語を綴ることは前提で、その作り方にもこだわることを意識して、小説『Message』を作りました。その甲斐あり、新作エッセイ『伝えたいことが20年分ある』は日の目を見ることができました。

文学フリマ限定で、特別価格で販売します。ご都合つくようでしたら、是非足を運んでくださればなと思います。最後まで読んで下さりありがとうございました。

20221117 横山黎


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