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映画『マーベルズ』感想

予告編
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新鮮なヒーロー像


 いや決してね、だらだら過ごしていたわけじゃないのです。アレやらなきゃ~コレやらなきゃ~ってバタバタしているうちに、IMAX上映終わっちゃってたのよ……シクシク泣。ここ最近のマーベル映画の感想文では「MCU熱が冷めてきた~」みたいなことを述べてきましたけど、いざこういうことが起きると後悔してしまうあたり、実はまだ冷めていないのかな? どうなんだろ。

 今年公開の『アントマン&ワスプ クアントマニア』(感想文リンク)からMCUはフェーズ5に突入しまして、そういった数字の積み重ねは一見さんを追い払ってしまいそうな気もしますが、実は案外、このフェーズ5から観始めても楽しめるんじゃないかと思っているんです(あくまで現段階での話ですけどね)。そんな中で本作もまた、「この辺りからMCU観始めてみようかな?」という方でも気楽に楽しめる内容だったと思います。配信ドラマ版に登場するキャラクターも登場するものの、ちゃんと理解できるように描かれているので問題ありません。実際、僕もドラマ版は未見でしたが、充分に楽しめました。

 ……とかなんとか。こういう風に余計なことを考えてしまいがちですけど、本作はあまり細かいことは気にせずに、単体のヒーロー映画として観るのも一興かもしれません。「これからMCUを追っかけていくぞ」なんて気負わずに。



 以前、映画『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』感想文の中で「ちょっと手に負えないくらいインフレ気味」と述べたことがありました。本音を言うとマーベルズも含め、若干「もう何でもアリ」に見えてしまうことも多々あります。それは即ち、その超人的な能力の「何ができて、何ができないか」という線引きが不明瞭になっているということ。ストレンジとかキャプテン・マーベルとか、もう簡単には負けやしないくらいに強いわけですしね。

  ヒーローだからこそ、というか超人的な能力があるからこそ可能な人命救助活動、社会奉仕活動みたいなものって、ヒーロー映画にとってはとても大事なものだと思っています。実際、MCUはいくつものヒーローたちが登場する中で、そういった瞬間を度々描いてきました。今まで多くの人々を助け、危機を救ってきました。けれど、そんな “もう何でもアリ感”や “インフレ気味のパワー” が故に、ヒーロー映画だからこその魅力が薄まっていたように感じていたのも事実。あくまで、個人的には。


  そんな中、本作で描かれていたキャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)のヒーロー活動は、僕の目にはとても新鮮に映りました。「全員を救えるわけではない」「失敗した」「良かれと思ってやったことが事態を悪化させた」等々。本作では、「なんでもできる」「不可能なんて無い」と思えていたキャプテン・マーベルでも、或いはヒーローにでも“できないこと”がしっかりと描かれています。そこが魅力の一つなんじゃないかな。最強で完璧なヒーローに思えていた彼女のそういった部分、中にはクスッと笑えるような知らない一面なども描かれていて、どこか孤高の存在のように見えていた彼女の人間味が窺い知れるような物語。

  中でも、「全員は救えない」というのは特に興味深かったです。大義のための犠牲を唱え、宇宙中の生命を半分消し去ったサノスとの戦いを経たはずのMCUで、仕方のない犠牲を描くというのはとても印象的。「ヒーローだからこそできる人命救助」などの、ヒーロー映画足り得るプロットとは真逆とも言える「ヒーローでもできないこと」が際立つアプローチで描かれるヒーロー映画は、これまで多くのヒーローたちを描いてきたMCUという大きな流れの中だからこそ映えるものだったのかもしれません。また、先述の『アントマン&ワスプ クアントマニア』内でも語られていた「失敗しても良い」というセリフまで連想できてくるので、始動したばかりのフェーズ5が、今後も含めて「一体どういったテーマを内包しているのか」という考察も捗ってきて、とても楽しい。

 ああ、いかん! こんなことばっかり言う輩が多いから、一見さんを遠ざけてしまうのか笑! 繰り返しになりますが、本作、っていうかこのフェーズ5は、これからMCUを観始めるのには丁度良い感じの内容になっていると思います。

 

 さて、本題に戻ります。最強無敵のようでも、実はできないこともあったキャプテン・マーベルという孤高のヒーローに、新たな相棒たちが加わったことで、手を取り合うことやチームの重要性も描かれています。そんな本作は、互いの力が干渉し合ってしまい混乱が起きることから物語がスタートするのですが、この制約の掛かった設定からは、(上手く伝わるかな?笑→)「強い者同士が手錠で繋がっちゃって、てんやわんや~」みたいな定番のお話とも似た魅力を感じてしまいます。そしてそういうタイプの物語の時って大概、いがみ合っていたりソリが合わなかったり敵対していたりという関係性がほとんどで、本作も同様。孤高のヒーロー、過剰な熱量のファン、過去にシコリのある者、といった面白い凸凹感。しかもそれぞれが白人、黒人、アジア系というのも、手を取り合う姿に意味を含ませるキャスティングなんじゃないかと勘繰ってしまいます。

 また、「手錠で繋がっちゃって~~」という点で言えば、「けど実はなんだかんだで似た者同士でもある」という特徴においても、本作は同様の魅力があるんじゃないかな。全然違う能力に見えても根っこは同じ光エネルギーみたいなものであるマーベルズの三人は、先述の関係性も含めて、はじめは上手くいかないことだらけだったものの、少しずつ息が合いだし、最終的には素敵なチームになっていくんです。これがまた面白い。

 

 最期の最後には今後の展開が楽しみで仕方が無くなるオマケもあり、とても楽しい映画でした。……だからこそ、IMAXで観とけば良かったわけなんですけど笑


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