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「もうふるさとは100%元に戻らない」元町長が語る 故郷が放射能で汚染されるという現実

「もうふるさとは100%元に戻らない」元町長が語る 故郷が放射能で汚染されるという現実

 福島県南相馬市小高(おだか)地区の自宅に、江井績(えねい・いさお)さん(74)を訪ねて話を聞いた。江井さんは、2006年に市町村合併するまで、小高町の町長を2期6年勤めた同町最後の町長である。地元高校を卒業後、18歳で町役場に就職し、54歳で助役になり、そのあと町長に当選した。江井さんの自宅は福島第一原発から北17キロの地点にあった。

 私が江井さんに話を聞こうと思った理由はいくつかある。

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「2900ベクレルの内部被曝と生きる」という現実

「2900ベクレルの内部被曝と生きる」という現実

 福島県飯舘村出身の公務員・愛澤卓見さん(44)と私は、3・11以来ずっと連絡を取り続けている。福島第一原発から高濃度の放射性物質の雲(プルーム)が流れ出た2011年3月15日、愛澤さんは住んでいた飯舘村にいて、そのプルームの直撃を浴びることになった。英語でいう”Downwinder”(核施設の風下にいた人)、日本語でいう「被曝者」である。

 愛澤さんはその後、ホールボディ・カウンター(WBC)

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菅直人・元総理がふりかえる福島第一原発事故最初の25時間(上) 地震後2時間半ですでに炉心露出寸前の危機 しかし総理に情報届かず

菅直人・元総理がふりかえる福島第一原発事故最初の25時間(上) 地震後2時間半ですでに炉心露出寸前の危機 しかし総理に情報届かず

 拙著「福島第一原発 メルトダウンまでの50年」(明石書店)を取材する過程で「会って話を聞きたかったが、実現しなかった」一人が3・11当時の総理大臣だった菅直人・衆議院議員である。本の冒頭「3・11当日のロスタイム」という章で、2011年3月11日の地震発生から、翌12日の福島第一原発1号機の水素爆発までの約25時間に絞って、政府内(原子力安全・保安院、経産省、首相官邸など)の情報伝達で、どれくら

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菅直人・元総理がふりかえる福島第一原発事故最初の25時間(下) 自分が決裁しなければ住民避難が始まらないことがわからなかった

菅直人・元総理がふりかえる福島第一原発事故最初の25時間(下) 自分が決裁しなければ住民避難が始まらないことがわからなかった

3・11当時の総理大臣だった菅直人・衆議院議員へのインタビューの後半を報告する。

 この項では拙著「福島第一原発 メルトダウンまでの50年」(明石書店)で取り上げた、3・11当日のいくつかのロスタイムについて尋ねた。

(1)「なぜ避難命令の法律的な開始宣言である原子力災害非常事態宣言を出さないまま与野党党首会談に席を外したのか」。

 (2)「テレビ用のやらせ閣僚会議を開いたのはなぜか。それは

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