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結局「好き」には勝てない

先日、久々に同じ職位の会社の同僚3人と会う機会があり、仕事に対する向き合い方など本音で話しました。

私含めて4人中3人は、今の仕事が特別好きではないが、M&Aアドバイザリー業務の経験はキャリアの観点から自分の為になる思いで働いている一方、1人は純粋にM&Aが好きで働いているといった状況でした。

その1人は7月末で退職して、PEファンドに転職するようですが、転職せずに残った場合、昇進していたようです。彼は、年齢は私の二つ上ですが、私と同じような経歴で、総合商社から未経験でM&Aアドバイザリーに転職して、ちょうど2年が経つ状況です。未経験で2年で昇進するのは比較的早い方ですので、純粋に凄いなと思いましたが、自然と納得しました。

彼は純粋にM&Aが好きなのです。私との決定的な違いがそこにあります。また、他の上司の働いている姿を見ていると純粋にM&A好きであったり、第三者の立場でアドバイスする事が好きであったり、仕事に対する「好き」という気持ちを何かしらの形で持っている印象を抱きます。

そこで、私は悟りました。

「好き」を持ち合わせている人と、「好き」を持ち合わせていない人が競争した場合、前者が確実に勝つ。

資本主義社会で生きている限り、常に何かしらの競争原理は働きます。競争するからには、誰もが勝ちたい気持ちはあると思いますが、競争に勝ち抜く為に「好き」という気持ちは確実に有利に働く武器だと私は考えます。

ここで「好き」の気持ちを手にする為の方法について考えてみたい。

①自分が「好き」であると言い聞かせる方法
②スキルアップして、実績を作る事で周りからも評価され、結果的に「好き」になる方法
③仮説を持ちながら、試行錯誤を通じて純粋な「好き」を見つける方法

①は中長期的は無理がある方法だと思いますが、短期的には有効かもしれません。何故なら、②に繋がる可能性もある為です。実績を作り、周りからも評価される事で、結果的に好きになるというパターンも十分あり得ます。しかし、周りから評価されても尚、「好き」がなかった場合、③の方法しかないと考えます。「自分は●●は好きだ」という仮説を持って、その試行錯誤を通じて「好き」を見つける方法です。しかし、手当たり次第に色々試すのは非合理的だと考えます。限られた時間の中での試行錯誤になるので、一定の仮説の妥当性は担保する必要はあります。

さて、ここで振り出しに戻すような問いをしますが、そもそも仕事に対する「好き」という気持ちは何なのか。

仕事に対する「好き」と趣味・嗜好に対する「好き」は全くの別物だと私は考えます。

先ず、趣味・嗜好に対する「好き」は分かりやすいと思いますが、純粋な「好き」という気持ちです。私の場合は、テニス、筋トレ、読書など純粋に好きであり、それ以上でもそれ以下でもないです。趣味としてのテニスであれば、正直いくらでもできます。

一方、仕事に対する「好き」は純粋な好きというよりは、「納得感」に近いものだと考えます。仕事は自分の提供する時間の対価として「お金」を貰っている訳ですが、提供する時間に対して「納得感」があれば、仕事に対して好き・嫌いという次元は超越できるはずです。

例えば、テニス選手にとっての「テニス」と趣味として楽しむ人にとっての「テニス」では、その捉え方が全く違うものだと容易に想像できます。テニス選手であれば、たとえ負けが続いてモチベーションが上がらない時期があったとしても、常に心技体を向上させる必要があります。テニスが嫌いになる時期もあるかもしれません。しかし、テニスが嫌いになったとしてもテニス選手である限り、試合に勝たないと生活できません。試合に勝つには、十分な練習・体調管理・筋力トレーニングなどが必須です。テニスが嫌いになっても、それらを放棄できません。一方、趣味としてテニスを楽しむ人であれば、モチベーションが上がらない時期は、いつでも辞めれます。そして、またモチベーションが上がった時には、再開できます。

では、納得感の背景にあるものは何か。それは「覚悟」です。テニス選手として生きる覚悟がある為、嫌なことがあっても納得感を持って日々の練習に取り組めるのです。趣味で楽しむ人は、特に何も覚悟する必要がないので、いつで辞める事は可能です。

7月末でPEファンドに転職する同僚も言ってました。

これからはM&Aの仕事でキャリアを築いていくと決めた

彼も同様にM&Aでキャリアを築く「覚悟」があるのです。覚悟とは何かを決断する事に近い意味ですが、『大富豪からの手紙(著:本田健)』から以下の文章を抜粋します。




●「決断した瞬間」に「その未来は同時に誕生する」
●  決断することなしには、何も動かない


このように考えると、仕事に対する「好き」という感覚は、趣味・嗜好に対する「好き」とは全くの別物で、覚悟・決断する事で生まれた納得感というように解釈できるではないでしょうか。仕事をしていれば、もちろん嫌な事は誰にでもあります。一見「好き」を仕事にできているような人にでも当然あるでしょう。しかし、それを乗り越え、成功している人には「覚悟」があるのです。表面だけを切り取ると、「好き」を仕事にできている人に対する羨ましい気持ちなどあるかもしれません。しかし、その裏には相応の「覚悟」があるという事を忘れてはいけません。

昨今は、「FIRE( Financial Independence, Retire Early)」といった風潮が広まりつつありますが、「労働=悪=好きでない事」といった考えをする人が多いのでしょうか。私も正直、今の仕事は好きではないですが、FIREを目指すのも何か違う気がしています。

単純に「私はまだ何も決断していないだけ」と悟りました。仕事に対して「好き」や「嫌い」で判断している時点で、実は何も覚悟していないのです。

その覚悟を決めるのが一番難しいのですけどね・・・(笑)

映画『Mamma Mia Here We Go Again』で次のような台詞があります。




Everything is simple when you break it down



覚悟を決めたか、決めていないか。結局は、ただそれだけのことではないかと思わされる台詞です。

私は現在28歳ですが、仕事を「好き」や「嫌い」といった次元から抜け出す為にも、30歳までに「俺はこの道で行く」といった決断をしたいと思います。

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