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ラジオポトフ(おしゃべり大好き作家と俳優で美術家のラジオ)
2023年6月30日 11:20
シリーズ・現代川柳と短文 162(写真でラジオポトフ川柳250) あれ、きょうはひとりで? 店主は馴れ馴れしく笑顔で言った。いつもとちがうね、というニュアンスがこめられていた。はい、とこたえて、生ビールを注文した。店主はさらに笑顔になって、はい生ひとつ、と元気よく言った。わたしがその店を訪れたのはその日が初めてだった。連れと訪れたこともないし、ひとりで訪れるのももちろん初めてだった。▼こ
2023年6月29日 09:11
シリーズ・現代川柳と短文 161(写真でラジオポトフ川柳249) 歯が16本横並びに生えていたら、歯間は15箇所である。その歯間すべてにニラが詰まってる。ニラとはそういう食べ物であり、歯間とはそういう場所なのだ。つまり、歯間はニラを詰めるためにあって、ニラは歯間に詰まるためにあるのだ。▼これまでの「現代川柳と短文」は以下から!
2023年6月28日 07:51
シリーズ・現代川柳と短文 160(写真でラジオポトフ川柳248) アニメに出てくる猫はいろいろだ。デフォルメされたものもいれば、写実的なものもいる。それは動きにも言えることで、猫のあの伸縮自在な動きのさまをどうアニメーション表現に落とし込むか、あるいは落とし込まないのか、選択肢は無限にある。つぎに見る猫はアニメか実在か。▼これまでの「現代川柳と短文」は以下から!
2023年6月27日 09:33
シリーズ・現代川柳と短文 159(写真でラジオポトフ川柳247) ときどき、箸をクロスさせて使う人がいる。内側に挟み込むのではなく外側に開く。箸はクロスしているからそれが結局内側に挟み込む力になる。トリッキーにも思えるが、慣れてしまえば存外かんたんだ。中学生のころ、その持ち方に慣れることによって、逆にわたしは「クロスさせない」持ち方もかなり整ったという記憶がある。整った、というのは行儀の話で
2023年6月26日 08:52
シリーズ・現代川柳と短文 158(写真でラジオポトフ川柳246) テレビの生中継に映りこんだ者がカメラに向かって手を振っている。出演者ではなく、いわゆる素人だ。手を振りながら、もう一方の手では電話をかけている。「見てるー?」と言っているようだ。おどけている。ふざけている。あるいはそこで横断幕を広げ、政治的な主張を始める者もいるだろう。おどけている者と政治的主張を行う者に本質的な差は無いはずだ
2023年6月25日 10:52
シリーズ・現代川柳と短文 157(写真でラジオポトフ川柳245) 冠婚葬祭のうち、とくにふざけてはいけないシーンは「葬」だろう。祖先の霊をまつるという由来である「祭」も同じだ。ふざけてはいけないし、笑ってはいけない。それがいわゆる「フリ」となり、つい笑ってしまいそうになる。それを活かして、バラエティ番組やコントが作られてきた。「婚」は笑っていい気がする。「冠」は元服、つまり成人の祝いごとらし
2023年6月24日 07:59
シリーズ・現代川柳と短文 156(写真でラジオポトフ川柳244) ぜひこの機会にサイゼリ「ヤ」であることを覚えてもらいたい。べつに「ア」と書いたからって怒るようなことはしないが、正確な表記は「ヤ」だ。この世は正確であればそれでいい、というシンプルな世界ではない。それでも覚えてもらいたい。ヤヤヤヤヤヤ。いいですね。▼これまでの「現代川柳と短文」は以下から!
2023年6月23日 12:26
シリーズ・現代川柳と短文 155(写真でラジオポトフ川柳243) 広くはない自分の部屋で耳かきがなくなるのはなぜだろう。それはいつも思いもよらないところに置いてあるのだ。解決策として耳かきを2本買ってきた。無理に「なくさないようにする」のはストレスになる。2本あれば片方がなくなっても平気だ。それで2本ともなくした。▼これまでの「現代川柳と短文」は以下から!
2023年6月22日 09:08
シリーズ・現代川柳と短文 154(写真でラジオポトフ川柳242) 慣れはおそろしい。われわれは、縄文式土器、弥生式土器、というフレーズになじみすぎて、それ以外の土器へのまなざしが欠けてしまっている。いざ行かん、なんとか式土器の世界へ。▼これまでの「現代川柳と短文」は以下から!
2023年6月21日 13:03
シリーズ・現代川柳と短文 153(写真でラジオポトフ川柳241) 警視庁は東京のあれ、警察庁はすべての警察組織のあれ、というふうに、両者は異なるものだが、ひらがなで書いてしまえば印象はもはや同じだ。けいしちょう。けいさつちょう。もんしろちょう。▼これまでの「現代川柳と短文」は以下から!
2023年6月20日 08:49
シリーズ・現代川柳と短文 152(写真でラジオポトフ川柳240) バニーなのかラビットなのか、匹で数えるのか羽で数えるのか。うさぎには謎が多い。「バニー」とよびかけて反応がないからといって「ラビット」とよびかけて反応があるわけではない。ただ鼻をひくひくさせているのだ。▼これまでの「現代川柳と短文」は以下から!
2023年6月19日 11:05
シリーズ・現代川柳と短文 151(写真でラジオポトフ川柳239) ボールペンの擬音といえばカチカチだ。そうだろうか。先端のボールがまわるコロコロこそがボールペンの醍醐味だという人もいるかもしれない。言われてみればシャープペンシルもノック式で、カチカチだ。ではコロコロがふさわしいのだろうか。ここで現れるのがシュッ派の人間である。シュッ。それは白衣の胸ポケットにボールペンをさす擬音だという。当然
2023年6月18日 11:13
シリーズ・現代川柳と短文 150(写真でラジオポトフ川柳238) 家出の反対語は帰宅になるだろうが、帰宅は毎日するものである反面、家出はごくたまにしか行われない。どうやら外出と家出はちがうらしい。たしかに「娘が家出した」と聞くと一大事だが、「娘が外出した」と聞いても、コンビニでヨーグルト買ってきてほしいな、程度である。▼これまでの「現代川柳と短文」は以下から!
2023年6月17日 09:15
シリーズ・現代川柳と短文 149(写真でラジオポトフ川柳237) 夜はいつ朝になるの? 少年は純粋な瞳でわたしに尋ねた。夜通し起きてそれを確かめようとしても気がつくといつも眠ってしまっているらしい。わたしは少年に言った。ごめんちょっとあの、知りません……と。▼これまでの「現代川柳と短文」は以下から!