「霧雨 兎角」21gダイエッター

電子の海に漂う、存在しないモノの存在証明。「霧雨 兎角」(きりさめ とかく)です。 女…

「霧雨 兎角」21gダイエッター

電子の海に漂う、存在しないモノの存在証明。「霧雨 兎角」(きりさめ とかく)です。 女装男子とBL愛好家の(多分)メンヘラ。 たまに何か書いてポンと投稿するかもしれない人。 不思議な感じが好き。日常系も書く。 「兎角さんは兎角さんのような人間を描ける」がモットーですかね。

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メンヘラのすゝめ

 初めましての方は「初めまして!」  兎角さんを知っている方は「やぁ!兎角さんだよ!」  本記事ではタイトルの通り、貴方のメンタルを全力で壊して、(自分で)直して(もらって)、また壊して、そうしてツギハギだらけのお人形さんを作りたいんです!  もはや生活習慣病と言っても過言ではない「うつ病」。大小あれど、全く欠片もうつ病を抱えていない人なんてほぼ居らず、誰でも壊れる可能性があるのです。やったねたえちゃん!  そういうわけで、以下、音楽(肉声とボカロ・UTAU等)・漫画でメンタ

    • 【兎角が紡ぐ】絶望を愛せよ、少女

       純潔と共に奪われた右腕。  散らした純潔の残り香は生臭い血の臭い。  私を愛した歪な彼は、満足げに私を見て微笑む。  「大丈夫、僕が君の右手になるから」  止血帯を手に、彼は続けた。  「だから、ずっとずっと、そばに居ておくれ」  「嫌よ」  「そんな連れないところも魅力の一つさ」  反吐が出る。 ―――  潰され、もはや人体としての機能を失った右腕が疼く。痛みはもう、麻痺した。  左手は自由だが足枷をされており、部屋から出ることは叶わない。  部屋の明りも落ち、格子の嵌ま

      • 【兎角が紡ぐ】高架下の秘密

         頭上でガタンゴトンと列車が走り去る音の響く高架下。  影の濃くなる壁際に、その少年は座り込んでいた。  目の前に広がる海の入口にはテトラポッドが点々と浮いており、微かに波の音が響く。  ぼーっと視線を地平線へ向けたまま、身じろぎ一つしない。  刻限は18時を跨ぐ頃か。  通りかかる人も居ない中、少年は一人、座り続ける。  よく見ればその頬は擦り傷で汚れ、眼の周囲には痣らしきものが浮かんでいた。 ―――誰かと喧嘩でもしたのだろうか?  詮無いことを考えながら私は暫くその少年の

        • 【兎角が紡ぐ】神社って不思議な空気が流れていると思うんだよね【徒然文筆家】

           住宅と取って付けたような公園ばかりで、他に何も無い道を真っ直ぐ行くと、天を仰ぐような長い石段が見えてくる。  特に意味は無いのだけれども、一歩一歩踏みしめるように登り、やがて鳥居が視界に入った。  その場で後ろを振り向けば、何も無いはずの街は紅葉に染まり、まるで絵画か何かのような姿を見せる。  暫くいつもと違う街並みに魅入った後、首を前に戻し、深呼吸してから鳥居を潜った。途端に空気が凛と澄み渡り、背筋が伸びる。鳥居を潜るまでは聴こえていた生活音の類が遮断され、風に木の葉が揺

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          【兎角が紡ぐ】男の娘ってなんだろう【徒然文筆家】

           「ねぇ、あの子と別れてよ」  シングルベッドに二人、並んで横たわりながら、唯が唐突にそんなことを言い出した。  「なんで?」  「なんで、って……なんとなく」  「なんとなくで別れさせようとするなよ」  転がる空の薬瓶とペットボトル。  部屋の灯りは常夜灯と、カーテンの隙間から差し込む陽の光だけ。  隣でモゾモゾと動く気配がした。来る。  「……ちょっと痛い」  「醒ちゃんがいけないんじゃん」  顔を見ただけでは男か女か分からないソイツは、頬を膨らませながら俺の鎖骨にガジガ

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          【兎角が紡ぐ】ユイとの出会い【徒然文筆家】

           何をしていても楽しくない。  何もしたくない。  なんなら起きているだけのことに耐えられない。  ただ、好きな曲を流して、瞼を閉じて、そのまま、そのまま、全部終わってしまえば良いのに。  そう、願う。  それなのに。  君はボクを訪ねてくる。  気紛れに甘えてみたり、突き放してみたり。  振り回してるのに。  君はボクを訪ねてくる。  どうして? ――― ――― ―――  九月に入り、多少は熱気もマシになったかと言った頃合。  海岸沿いに面するこの街は、夏初め頃と終わり頃、

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          【霧雨兎角のお絵描き備忘録】

          【初めに】  初めましての方は初めまして。  既知の方は適当に日頃の愚痴をどうぞ。兎虐も良いぞ!  さてさて、本記事(?)では、2022年7月21日からお絵描き(デジタル・板タブ)の世界に急遽飛び込むことになった霧雨兎角が、イラストを描く練習の過程で感じたことなどをタイトル通り、備忘録として記録していきたいと思います。  文面等はいずれ整えるとして、取り敢えず忘れない内に形だけ作っておくことにしました。 2022年7月21日  板タブ届いたぞやったね!  何をすれば良い?

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          【兎角が紡ぐ】世界の終わり

           星が一つ、瞬いて消えた。  「奇遇だな、醒」  「健司……」  吸い込まれそうな漆黒の空。  澄み渡る空気は少し鋭く。  「そんな格好で寒くないのか?」  「あ…そういえば、寒かった、気がする」  「相変わらず抜けてるな、お前は」  健司と呼ばれた少年は、『仕方がないなぁ』と苦笑しながら、着ていたコートを脱いだ。  「ほら、これ着ろよ」  「そうしたら健司が寒いんじゃない?」  「俺は大丈夫だ。少し厚着し過ぎたかと思ってたからさ」  「……ありがと」  醒と呼ばれた少年は、

          【兎角が紡ぐ】世界の終わり

          【兎角が紡ぐ】犠牲と献身【徒然文筆家】

           馬酔木(あしび)。物心が付いて幾何かの頃には、娘に付ける名前としてそれは如何なものかと問いたい気持ちもあったけれど、名付けられた以上、余程のことがない限り変えることもできない。それに、変わった名前だね、と言われることはあっても、特段不便を強いられたわけでもなかったので、深く考えることはしなかった。  馬酔木(あしび)の花言葉は、「犠牲」「献身」。私の性格に合っていたのか、花言葉が私を作ったのか。今となっては考えても詮無い話。馬酔木として生を受けた私は、その花言葉通り、犠牲と

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          【兎角が紡ぐ】猫様【徒然文筆家】

           この世界は猫様の見る夢である。  創造主たる猫様が夜な夜な想像に耽る世界が、この世界の真実。  猫様を讃えよ。猫様はいつでも貴方を見ている。 ――― ――― ―――  曇り時々雨、今夜も世界は灰色一色。月明りも届かぬ部屋の中、ただ虚空を眺め、ため息一つ。  傍らには愛猫の猫様。私の相方。手で触れていなければ、そこに「在る」ことすら認識できないほど静かに、ただそこに「在る」。  猫様を見習った生活を始めて一週間。今日も何もせず、明けから暮れまで、時間の流れに身を任せた。これで

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          【兎角が紡ぐ】俺とお前とアイツ【徒然文筆家】

           大した意味なんてねぇ。  俺がこの世に生を受けたのなんて、もし居るんなら神とかいうクソ野郎の気紛れだ。  そんなモンに縛られる道理なんてねぇだろ?  だから俺は、俺の好きなように生きてやるって決めたんだよ。  だからお前は、俺のモノ。拒否権はねぇ。 ――― ――― ―――  僕は所謂いじめられっ子。目立つようなイジメは幸いなかったけれど、その分陰湿なイジメが日常的だった。  持ち物を盗み、罵詈雑言を書き殴られた。お母さんが丹精込めて作ってくれたお弁当は、そのまま廃棄物になっ

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          【兎角が紡ぐ】少し変わったあの子【我が子お披露目のお話】

           中学2年生に進級し、GWが終わりを迎えた頃。  それは予期せぬ来訪者だった。 「はーい、みんな。今日は転校生を紹介します」  担任がそう前置き、教室の前方の扉がガラリと開き、一人の女の子が入ってきた。 「こちら、親御さんの転勤で東京から転校してきた、朝木(あさぎ)イチゴさんです。じゃあ朝木さん、クラスのみんなにご挨拶できるかな?」  彼女、朝木イチゴは屈託のない無邪気な笑顔で、如何にも人懐っこいと言わんばかりの雰囲気を醸し出していた。担任の言葉にも戸惑うことなく、慣れた手付

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          【兎角が紡ぐ】三味線【徒然文筆家】

           お母さんが残した大切な三味線。  お母さんが亡くなってから、一度も触れていないソレは、ずっと仏壇の傍に置いてあった。私には扱い方が解らなくて、ずっと触れられなくて。  だから、それがいつの間にか居なくなっていることに気が付くのも時間がかかった。 ――― ――― ―――  夕暮れのオレンジが薄紫に染まろうとする空。  光と闇の境界。意識しなければ輪郭を見失ってしまいそうな、儚い刹那の時。  家の中は私一人だけ。  お母さんは何年も前に亡くなった。お父さんは仕事ばかりで、家には

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          【兎角が紡ぐ】屋上【徒然文筆家】

           『立ち入り禁止』 の張り紙を無視して、私はその扉を開いた。 ――― ――― ―――  大して見るものもない景色を眺めながら、誰も居ないこの場所で昼食を食べる。教室に居ても居心地が悪いだけだし、他に良い場所もない。詰まらない景色でも、雲を眺めてその形から連想されるものを思い浮かべたり、地べたに這いつくばる人間とは違って悠々と空を飛ぶ鳥を眺めたり、それはそれで悪くない。  給水タンクのある高所へ向かうために、弁当箱片手に梯子を上る。せっかく見るなら、俯瞰できる場所が良いに決まっ

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          【兎角が紡ぐ】二人の距離【我が子お披露目のお話】

          「暑い」  午前中だというのに容赦なく照りつける日光をカーテン越しに感じながら、まだ覚醒しきらない思考が放った第一声はそれだった。  ここ数日は梅雨ということで雨の日が多く、多湿と熱が合わさり、不快指数を上昇させ続けている。  まだ6月下旬。本格的な夏はこれからだというのに、既に扇風機だけで凌ぐのは限界と言わざるを得ない状況に不安しか無い。 「なんでこっちにはエアコンが無いんだよ……」  これは引っ越してから最初に迎えた夏、否応なしに突き付けられた現実だ。沖縄が冬でも内地に比

          【兎角が紡ぐ】二人の距離【我が子お披露目のお話】

          【兎角が紡ぐ】素直になれない【我が子お披露目のお話】

          「お前、好きな奴とかいねーの?」  遠くに聴こえるは祭囃子。  微かに鼓動を速める、焦燥を孕んだ夏の香り。  他愛のない会話がそこに在った。 「健司には関係ないじゃん」 「相変わらず愛想が無いな、醒」 「……それでも一緒に居てくれるよね」  醒と呼ばれた細身の少年はそっぽを向きながらそう呟き、健司と呼ばれた体格の良い男は何が面白いのか、微かに笑みを浮かべる。 「なにさ」 「さて、なんだろうな?」  少年の問いに、男は揶揄(からか)うように答えた。 「あー、ホントこの国嫌い。な

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