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余談的小売文化論

「知性ある消費」をテーマに、現代の消費行動や理想論と現実的な問題のギャップについて考え、言語化しています。「正解」を語るのではなく、読み手が自分なりの正解を見出すための一助になる…
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2019年1月の記事一覧

今、この課題に取り組めているということ

今、この課題に取り組めているということ

最近英語を勉強しなおしているのだけど、『記事の大意はわかるんですが微妙なニュアンスが掴みきれないんですよね』という話をしたとき『その悩みに到達できたのが成長した証拠だと思います』と言われて、なるほど悩みのレベルで自分の現在地がわかることもあるのだなと思った。

なにか新しいことをはじめたとき、私たちはつい『できないこと』ばかりに目を向けてしまう。

あれもできないしこれも知らないし、やらなければな

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コミュニケーションのゴールは相手の「納得」を作ること

コミュニケーションのゴールは相手の「納得」を作ること

日頃からnoteを書いたりTwitterでつぶやいたりしているからか、伝え方について聞かれることが多くなった。

そうやってコミュニケーションの悩みを聞くうちにふと気づいたのは、コミュニケーションのゴールは『伝える』のもっと先にあるのではないか、ということ。

例えば、顧客に商品を買ってほしいとか、部下にこう動いてほしいとか、自分が相手に求める態度変容を『伝える』ことで解決しようとしてしまうのだけ

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これからは「世界観」が商品になる

これからは「世界観」が商品になる

WarbyParkerやEverlane、CasperといったD2Cブランドの台頭と店舗のメディア化、PBブランドの隆盛。

こうした小売業界における変化の根源は、すべてひとつの要素に集約されると思う。

それは『世界観こそが最大の資産である』ということだ。

以前「ブランドとメディアの境目がなくなっていく時代に」というnoteを書いたのだけど、境目がなくなっていくのはもはや小売とメディアだけの話

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「肩書き」が欲しくなるとき #スイスイ林の全力解決

「肩書き」が欲しくなるとき #スイスイ林の全力解決

スイスイさんと林さんが同じお悩みに答えるシリーズ第二弾!

前回同様、私も拙いながら回答を書いてみたいと思います。

前回の記事はこちら。

スイスイさんと林さんの回答はこちら。

質問文は下記の通り。長文でしっかり状況が説明してある!

「オレと付き合うと可哀想だから」という男
はじめまして。わたしの悩みを聞いてください。
解決策が欲しいというより、おふたりの意見を聞いてみたくメッセージしま

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「とりあえずやる」が許されない場面とは

「とりあえずやる」が許されない場面とは

このnoteでもしょっちゅう引用しているのですが、私は『小さなチーム、大きな仕事』にでてくる

『失敗を過大評価しない』

というワードがとても好きです。

「成功は次の手段を教えてくれる。成功すれば何が成功したのかわかり、それをもう一度できる。そして次はもっとうまくやれるだろう」
「一度失敗している人は、何もしなかった人と同じくらいにしか成功をおさめていない。成功だけが本当に価値ある体験なのだ」

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私は「許す力」で戦いたい

私は「許す力」で戦いたい

私は昔から『強い人』になりたかった。

助けてもらえる日をじっと待つんじゃなくて、自分の力でその状況を変えることが私にとっての『かっこいい』であって、そのためには強くならなくてはいけなかったから。

ただ、私の思う『強さ』は、単に目の前の相手に勝つということではない。

その価値観が形成されたのは、ポカホンタスの影響が大きいんじゃないかと思っている。

ディズニープリンセスは、王子様に助けてもらう

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海外サービスのストーリーズに見る「ここがすごいよ、インスタ活用」

海外サービスのストーリーズに見る「ここがすごいよ、インスタ活用」

何をいまさらという感じですが、最近やっとInstagramの面白さに本当の意味で気づけた最所です。私の中でやっと黒船来航した!!!

私はテキスト派なので定期的にInstagramがんばろうと思い立っては挫折し…を繰り返してきたのですが、今のInstagramは機能がアップデートされまくり、もはやコンテンツの総合格闘技会場と化していることをひしひし感じています。

Instagramは写真やグラフ

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『知る』ことによる幸福と不幸について

『知る』ことによる幸福と不幸について

行き詰まって悩むときというのは、大抵の場合、自分が持っている選択肢が少なすぎることが大きな原因だと思う。

以前SHOWROOMの前田さんが『小学生でたこわさが好きっていう子はなかなかいないですよね?でもそれは、単にその子がたこわさを食べたことがないだけで、食べてみたら一番好きな食べ物がたこわさになる可能性だってあるはず』という話をしていたけれど、このたこわさ理論はあらゆることに通じる考え方だ。

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私たちはアスリートに何の夢をみるか

私たちはアスリートに何の夢をみるか

人生の半分以上を野球ファンとして生きてきた中で、彼らに見せてもらった『夢』には計り知れないものがある。

それは単に高額年俸とかメジャー挑戦とか何本安打を達成したとかの結果だけではなくて、彼らのストーリーや生き様、哲学もまた、辛い時や苦しい時に自分を励まし支えてくれる『夢』になった。

以前noteにも書いた中島卓也選手のホームランへの道のりは、その最たるものだと思う。

野球選手はよく、ヒーロー

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広告デザインがアート化する未来

広告デザインがアート化する未来

年末の箱根旅行で、はじめてポーラ美術館に行った。

そのときちょうどやっていた企画展が『モダン美人誕生』というテーマで、江戸末期から昭和のはじめにかけて『美人』の概念がどう変わっていったかを、絵画や写真から辿るというものだった。

今回特に面白かったのは、画家・岡田三郎助の作品の変遷からみるアートと広告の関係性だ。

岡田三郎助はもともと美人画で有名になった洋画家で、その能力を買われて宝飾ブランド

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知性は『矛盾』を凌駕する

知性は『矛盾』を凌駕する

たまに自分のnoteを読み返していると、『おや、このnoteとこのnoteで真逆のこと言ってるな』と気づくことがある。

そして同時に、『どちらも本当のことだな』と思う。

Aと言ったからといってBでないわけではなく、AとBは重なり合っていたり、そもそも他の選択肢もある上に、次元を上げると複数の切り口が複雑に入り組んでいたりすることに気づいたのだ。

例えば、AとBの二元論で考えていた時は、Aであ

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「世界中を敵に回しても」が比喩じゃない時代を生きる私たちは

「世界中を敵に回しても」が比喩じゃない時代を生きる私たちは

『世界中を敵に回しても、私はあなたの味方だから』

小さい頃に読んでいた漫画や観ていたアニメでこのセリフがでてくるたび、自分の人生には関係ないことだと思っていた。

だって私の言葉が『世界中』に届くことなんてありえないわけだし、学校で友達と喧嘩したって全員が敵になることなんてない。

だから、『世界中が敵になる』なんて子供の頃の私にとってはフィクションの世界の話だった。

でも、それから20年近く

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そして、美は「生きる意味」をつくる

そして、美は「生きる意味」をつくる

昨日、『美がもたらすもの』について今の自分が思うことを書いた。

そしてこの記事を書いたあと、soar編集長のみずほさんに教えてもらったビル・ストリックランドのTEDトークを観た。

ビル・ストリックランドはスラム街で恵まれない子供達やシングルマザーたちに職業訓練の場を提供する社会起業家なのだけど、彼のアプローチが他と異なるのは、『空間の美しさ』にこだわっている点だ。

その理由は、彼自身がスラム

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