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コロコロナ よし子さんの話 その7

発病から7日目(発病した日をゼロ日とするので、発病6日目) 朝、のどの痛みはほぼ消えていました。熱は36.5度です。 声を出してみました。かすれています。声を出すのに力がいりました。なにかの拍子に咳がでて、止まりにくいです。鼻汁は出ません。この日は、ずっと36.9度台までしか熱は出ませんでした。今日を症状が消えた最初の日、として良さそうでした。 基本的には症状が消えてから1日たったら出勤です。今日、夕方になっても症状がでなければ、明日から仕事です。1週間やすむ病気だな、と思

    • コロコロナ よし子さんの話 その6

      発病から6日目(発病した日をゼロ日とするので、発病5日目) 朝起きると、まずつばを飲み込んでみました。あまりいたくありません。全くではないけれど、ずいぶんましです。ありがたいなあ、と感謝の気持ちがわいてきました。 熱を測ると、36.5度でした。でも、油断しないよし子さんです。 あー、と声を出してみます。かすれています。朝の空気は乾燥していて、咳が出てきます。すぐに、マスクをして、部屋を暖め、ポットのお湯を飲みました。座っていると、熱は37度になります。 よし子さんは、たまっ

      • コロコロナ よし子さんの話 その

        発病から5日目(発病した日をゼロ日とするので、発病4日目) 朝起きたら、のどは痛いままでした。しかし、ほんとうに薄皮一枚、マシになってきていました。熱をはかると、はじめて36.9度と出たのです。すぐに37.8度になりましたが。 なんだか、痰がからみます。もう、ずっと外に出ていません。座っていられるようになりましたが、長く座ると、からだがだるくなります。そして熱も上がってくるのでした。 よし子さんは、解熱薬をつかわず、症状観察しています。もし、薬を飲んでいたら、もっと活動した

        • コロコロナ とし子さんの話 その4

          発病から4日目(発病をゼロ日とするので発病第3日目) 朝起きると、まだのどは痛みました。熱を測ります。はじめて37.5度がでました。 よし子さんは、のどの痛みに泣きそうになりながら、水をのみ、そして考えていました。 57歳。若い人には、ただの風邪かもしれないが、今の私には結構、こたえている。 何より、孤独である。薬の戸棚をひっくりかえして、葛根湯をとりだし、お湯にといて飲んだりしました。飲み込むとき、イタイです。 スマホで、コロナ、症状経過、と検索します。あまりひっかかって

        コロコロナ よし子さんの話 その7

          コロコロナ とし子さんの話 その3

          発病から3日目(症状が出た日をゼロ日とするので、2日目) 朝、目が覚めるとまず、つばを飲み込んでみて、同じように痛いので絶望したよし子さんです。熱をはかってみました。すると、37.8度。はじめて37度の文字が見えてきたのです。まくらもとの水を飲んでみます。飲むときに、涙が出るくらいのどが痛いですが、水分はとらねばなりません。朝ごはんを食べようと、食卓につきます。食事をしたり、食器をあらったりすると、やはり38度になります。 しかし、熱はほんの少しずつ、下がってきている。それ

          コロコロナ とし子さんの話 その3

          コロナロコ とし子さんの話 その

          症状が出てから2日目(症状が出た日をゼロ日とするので、1日目と考えます) 職場に電話して、休むことになりました。 さて、食欲はありましたが、なによりもつらいのはのどの痛みでした。さて、アセトアミノフェンという薬(500mg)を飲みました。すると、熱は0.5度くらい下がりましたが、それでも38度を超えています。のどの痛みは少しましにはなりますが、それでもかなり痛いのです。横になり、のどの痛みに耐えながら、よし子さんはひたすらスマホで検索をかけていました。コロナ、のどの痛み、重

          コロナロコ とし子さんの話 その

          コロナロコ  とし子さんの話 その1

          とし子さんは57歳です。2024年、年が明けてから、のどがイガイガしていましたが、アレルギーだと思っていました。 今頃の花粉ってなんだろう?と思っていたのです。 ところが、昨日の夜からは、のどが、つばを飲み込んでも痛くなってきたのです。風邪の痛みです。 そして、今日、とても体がだるくなりました。とし子さんは、コロナの抗原検査キットを買って持っていました。しかし、その時は陰性でした。夕食の時間には、あまり食べる気がおこらないほど、体がだるく、のども痛くなってきました。そして、普

          コロナロコ  とし子さんの話 その1

          お月様のはなし カンさんのこと

          カンさんは、80歳です。このごろ、まったく自信がなくなりました。若い時はバリバリと仕事をこなしていましたが、75歳で退職してから、本当に弱りました。付き合いは悪いほうではなく、友達もたくさんいました。しかし、一人かけ、二人かけ、みんなどこかに病気をもつようになり、寄ると必ず病気の話になります。このごろでは、カンさんのほうから誘われても出かけなくなりました。 奥さんに、やいやいいわれて、スマホをもつようになりました。しかし、これがどうしても苦手です。まちがったところを押してしま

          お月様のはなし カンさんのこと

          カギの人 ミンさんの話

          ミンさんのご主人は認知症です。子供たちは独立して、今は二人でくらしています。 最初は物忘れでしたが、さいきん、それにうつが加わりました。 できなかったことを数えてクヨクヨと、俺ももうだめだな、というのです。最初のころは、ミンさんも、また、忘れてる、とか、それ、さっきもおんなじこと言ってたよ、と、責めたてていました。 最初は言い返していたご主人も、だんだん症状が進むにつれて、いいわけもとおらなくなり、今度は自分を責めるようになったのです。 ここにきて、もう、こんなんだったら死ん

          カギの人 ミンさんの話

          自分

          道をはずれても 人を傷つけても つらぬきたい自分がある 道理にあわなくとも 誰もがそれを間違っていると言っても つらぬきたい自分がある 多くの否定は冷たい雨のようにふりかかるけど わかってくれる誰かをさがして よりかかりたくなるけど どこかで 誰も 知らない 地図に のらない 自分だけの なにかを えがくことができたら だれかと いっしょだと そのひとに どうみられるか そのひとに どう思われるか そればかりが 気になって 自分が わからなくなる  自分だけの なにか

          14歳のサクちゃんへ

          あなたがどうして閉じこもってしまったのか 私にはわからない 大きな空 大きな河 空がうつって 雲がながれて むこうには 青いやま いっしょにこの景色をみたい、とおもうけど それは 私のわがまま 優しい音楽 力のこもった言葉  あなたにきかせたい、とおもうけど それは 私のわがまま 何に傷ついているのか それはあなたにしかわからない ほんとうのほんとうには あなたにもわからないかもしれない どうにかしてあげられる それは私の思い上がり でも  森の中で 教会の告解室で ただ 話

          14歳のサクちゃんへ

          カギの人 ギシさんの話

          ギシさんは73歳になりました。93歳のお母さんのお世話をしています。 お母さんは書道の塾をずっとしており、お弟子さんもたくさんいて、ずっと先生、と呼ばれていた人でした。ギシさんは、お母さんを尊敬していましたし、大切でした。 お母さんが80歳代半ばのころ、心臓がわるい、といわれました。そのときに、ギシさんはお母さんの心臓の手術をしてくれる病院をさがしまくり、お母さんを治してください、と熱心におねがいして、大きな手術をしてもらいました。そして、手術は成功して、お母さんはその後も長

          カギの人 ギシさんの話

          ボチボチ屋 ズカさんの話

          ズカさんは88歳です。 2年前に、肺炎になり、入院しました。それは、ズカさんにとっては、はじめての入院でした。健康が自慢で、特にどこも痛いところもないズカさんにとっては、自分が年を取っている、という自覚がほとんどなかったのです。 もちろん、自分は若い頃とはさほど変わっていない、と感じていますので車の運転もしてきました。 しかし、肺炎になったときに、お医者さんから、車の運転はやめてください、といわれたのです。それで、ズカさんは車にのるのをいったんやめました。お医者さんは、ズカさ

          ボチボチ屋 ズカさんの話

          カギの人 マアさんの話 その2

          その後、お父さんは、ヨヨさんがみつけてきた新しくてピカピカした病院に入院しました。しかし、その病院は、家から遠いので、80歳を過ぎたお母さんは見舞に行けませんでした。マアさんも、遠いので、着替えをとどけたりするのに大変苦労したのです。 そして、お父さんの肺炎はなおったものの、より足腰が弱り、そこの病院にくっついた介護施設に入ることになりました。 いよいよ、マアさんとお母さんの足は遠のき、お父さんはさみしく、どんどん弱っていきました。 ヨヨさんは仕事が休みの日に少しだけ顔を出し

          カギの人 マアさんの話 その2

          カギの人 マアさんの話 その1

          マアさんは40歳をこえました。マアさんの仕事は、小さな会社の事務です。そして、両親と一緒に、古い家に住んでいます。 マアさんにはお姉さんが一人います。お姉さんのヨヨさんは、会社でちょっと高い地位にいます。ヨヨさんが、重役になったときに、両親が、一人で一戸建ての家をもって住んではどうか、と近くに家を買うことを勧めて、出ていきました。 マアさんの家は3代続いた商売をしています。お父さんが80歳まで、店をやっていました。お父さんは長男で、家長でした。お父さんはピラミッドのてっぺんに

          カギの人 マアさんの話 その1

          カギの人 キキさんの話 その2

          キキさんは、このころ、仕事で行き詰っていました。でも、もう少し頑張ってみたかったのです。キキさんの家は、小さなお店でした。 父のモウさんが弱ってきたので、母親のミミさんが切り回していました。 両親は、最初キキさんが結婚して、この店を継いでほしい、と思っていましたが、キキさんは、その願いをかなえることはしませんでした。それは、キキさんにとって、両親への一つの負い目でした。仕事をやめてこの店をやる、というのが本当だけど、踏み切ることのできないキキさんでした。 それでも、その後の2

          カギの人 キキさんの話 その2