カギの人 マアさんの話 その1

マアさんは40歳をこえました。マアさんの仕事は、小さな会社の事務です。そして、両親と一緒に、古い家に住んでいます。
マアさんにはお姉さんが一人います。お姉さんのヨヨさんは、会社でちょっと高い地位にいます。ヨヨさんが、重役になったときに、両親が、一人で一戸建ての家をもって住んではどうか、と近くに家を買うことを勧めて、出ていきました。
マアさんの家は3代続いた商売をしています。お父さんが80歳まで、店をやっていました。お父さんは長男で、家長でした。お父さんはピラミッドのてっぺんにいる、えらいひとでした。今まで、家におこることは、なんでもお父さんが威厳をもって解決してきてくれました。
しかし、このお父さんも84歳を過ぎてからは、足腰がよわりだしたのです。 そして、マアさんは、お母さんといっしょに慣れないお世話をすることになりました。
ある時、お父さんは風邪をこじらせて、肺炎になり、ちかくの病院に入院することを勧められました。家からすぐですし、マアさんたちも行きやすいので、すぐに入院のしたくをはじめていたのです。そこに、お姉さんのヨヨさんから 待った、がかかりました。
そんな小さな病院では、だめだ、信用できない、というのです。もっと、大きくて設備の整った病院をさがしてくる、というヨヨさんの言葉に、マアさんも、お母さんも、だまりこむしかありませんでした。重役のヨヨさんは自信たっぷりでした。

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