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2022年8月の記事一覧
【10秒で読める小説】ドリフかよ
高校最後の夏休みが終わる…。
トキメキも胸キュンも胸騒ぎも、何もなく終わるのはいやだ。でも陰キャの俺に出来るのは、神頼みくらいだ。
近所の神社へ行って手を合わせた。
「夏の最後に、特大のインパクトを下さい」
神社の前の鈴を力いっぱい振ると、鈴が頭の上に落ちてきた。
【10秒で読める小説】犯人
「あの名作ミステリ買ったよ」
夫に言うと
「あー、アレね。まさか犯人が○○だったとはね」
夫はあっさりと犯人を言いやがった。
「ちょっと!買ったとは言ったけど、読んだとは言ってないでしょうが」
私はそばにあった花瓶を振り上げた。
刑事「それが今回の犯行の動機ですか」
【10秒で読める小説】苦手
タバコやギャンブルする男の人は苦手なの、と私が言うと
「わかる、私も苦手」と友人が賛同してくれたので勢いづいて、
運転中口が悪くなったり、寝起きに機嫌悪かったり、トイレで漫画読んだりする男の人も苦手、と加える。
友人は、「まんま、あんたの彼氏じゃん」と笑った。
…なんで私の彼氏のこと、知ってる?
【10秒で読める小説】AI画家
AIがお題に沿って素晴らしい絵を描くらしい。
画家の俺は立つ背がなくなった。早く身を立てて恋人と結婚したいのに。
こうなったら矛盾したお題をAIに与えてSNSで晒してやる。俺は
「この世で最も美しく醜悪な人間」
と打ち込んだ。だが完成した絵を見て腰を抜かした。
恋人を描く俺の後ろ姿だったのだ。
※画像は、流行りのmidjourneyというAI絵画に
「この世で最も美しく醜悪な人間」というタイ
【10秒で読める小説】リクエスト
未亡人になった友人が言った。
「夫が夢枕に立って言ったの。俺は天国でいい人が出来たからお前も気にせず再婚しろって──私そんな気ないのに」
「ご主人の気持ち、わかるなあ。あなたに前を向いて欲しくて優しい嘘をついたのよ」
友人は目をつり上げた。
「嘘じゃないと思うわ。最新のスイーツを仏壇に供えてくれ、なんて言ってたから。新しい女に渡す気なのよ」
【10秒で読める小説】帰還
「ただいまー」
初老の男性が上がり込んできた。
「あの、どちら様で?」
「あれ?ここじゃなかったか。でも、子孫の新しい住所知らないから、ここに二、三日お邪魔するよ」
あ、前の住人か。この家、中古で買ったからなぁ。
私は茄子と胡瓜で精霊馬を作って手を合わせた。「早くお帰り下さい」