スナ@メタバース&リアル本屋

『本屋』メタバース芸大REST発起人。リアルではフリぺ専門店はっちを大阪本店他、各地で…

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『本屋』メタバース芸大REST発起人。リアルではフリぺ専門店はっちを大阪本店他、各地で運営。cluster →waon2007

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記事一覧

日本の小説を読む

"発言は正論よりもむしろ的外れの方が喜ばれた。的の外れ方が大きければ大きいほど笑声も大きくなり、会の別称たる『笑う会』の趣旨にかなうのだった。スカタンを人前で口…

名状しがたい英単語図鑑

"本書はそんなラヴクラフトの教師としての側面をピックアップし、彼の神話世界の住人たちと英語を覚えようという趣旨で作られました。"2024年発刊の本書は魅力的なイラスト…

イスラーム文化 その根底にあるもの

"要するにイスラーム共同体というものは(中略)イスラーム教徒がいちばん上に立ち、その下に複数のイスラーム以外の宗教共同体を含みながら、一つの統一体として機能する大…

日本の作家

"このエッセイ集は、一外人批評家が見た日本文学の一側面というよりは、国境という枠を取り外した上での、近現代の日本作家論といってもよいのではないかと思う"1972年発刊…

三丁目が戦争です

"戦争がはじまってしまえば、もう、どうしようもないのです。みんながよろこぶようなおわりかたには、ぜったいになりません。"1971年発刊、2024年復刊の本書は筒井康隆 + …

古本屋おやじ 観た、読んだ、書いた

"私の得た結論はひとつ、自分の嫌いな人間が買いにくるような本を置かなければいいのだ、自分の嫌いな人間がやってこない店にしてしまえばいいのだという、しごく単純明解…

V.A

"今、目の前でカレーを食べている男性はあの日の出演者で、チケットをくれたのもたぶんこの人だった。あれから彼らは何かになれただろうか。しばらく懐かしそうにCDを眺め…

NO推理、NO探偵? 謎、解いてます!

"『思ったんだけどさ』『うん』『アイちゃんがこれから、もっと有名で立派な名探偵になるためにさ』『ためにさ?』『推理って、別にいらなくない?』"2017年発刊の本書は推…

日本の近代化と民衆思想

"通俗道徳が自明の社会通念として普遍化してゆくと、どのような問題もその通念を通して処理しうるかのような幻想が成立する。そうなると、かって民衆生活の実態に適応して…

本屋のミライとカタチ 新たな読者を創るために

オススメ912"本を読まない人たちに本の魅力を伝える小さな取り組みは誰にでも実践可能です(中略)身の丈に合ったやり方で、誰もが『広義の本屋』になれるし、その数が増えれ…

誰が勇者を殺したか 預言の章

"レナードはわたしを信じてくれた。そして勇者の在り方を示してくれた。わたしはやり直せる。何度でも。きっとこの結末もいつか変えることができるはずだ。"2024年発刊の本…

グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

"それは夏紀の爪の先が引っかかるくらいの何かだ。ちょっと引っ掻いて、指先でつまんで、そしてそっと引っ張ると、ただ目に見えているだけのこの世界よりももっと深い、『…

古代人と夢

"完全な覚醒がないように、完全な眠りも存しない。夢のなかで人は醒めたときと異なる種類の言語を用いるわけではない。むろんその言葉はわかりにくいことが多いけれど、し…

点と線から面へ

"本書では二つの基本的要素を取り扱うが、それは一番最初にあらゆる絵画作品に役立ち(中略)同時にー版画というー絵画の独立した分野にも十分使用できる材料となる要素でも…

現代思想 2022年9月号

"幼稚ではないメタバースとは何かと考えると、なんだろう、僕が思い浮かべるのは高架下の焼き鳥屋さんのイメージなんです"2022年発刊の本書はドミニク・チェンと安田登の討…

京都 ものがたりの道

"思えば、いろいろな道を歩いてきたものだ。それでもまだ、私が通ったことのない道はたくさんあり、たくさんのものがたりが埋もれているはず。それが京都の街の奥行きの深…

日本の小説を読む

日本の小説を読む

"発言は正論よりもむしろ的外れの方が喜ばれた。的の外れ方が大きければ大きいほど笑声も大きくなり、会の別称たる『笑う会』の趣旨にかなうのだった。スカタンを人前で口にするには勇気がいる"1996年初版の本書は1958年から京都で400回以上続いた"シロウト"日本小説読書会の記録。良書。

個人的に何年も読書会をリアル、メタバースで主宰している事から本書に興味を持ちました。

さて、そんな本書は19

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名状しがたい英単語図鑑

名状しがたい英単語図鑑

"本書はそんなラヴクラフトの教師としての側面をピックアップし、彼の神話世界の住人たちと英語を覚えようという趣旨で作られました。"2024年発刊の本書は魅力的なイラストと丁寧な解説でおくる"名状しがたい"英単語図鑑。

個人的に何十年前にハマっていたクトゥルフ神話が2020年代も人気と知り、懐かしい気持ちで本書を手にとりました。

さて、そんな本書はクトゥルフ神話モチーフの作品やグッズを作ってい

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イスラーム文化 その根底にあるもの

イスラーム文化 その根底にあるもの

"要するにイスラーム共同体というものは(中略)イスラーム教徒がいちばん上に立ち、その下に複数のイスラーム以外の宗教共同体を含みながら、一つの統一体として機能する大きな『啓典の民』の多層的構造体なのであります"1981年発表の本書はイスラーム文化の根底に迫った講演録。名著。

個人的には前からイスラーム文化に関して深層的な部分を知りたかった事もあり本書を手にとりました。

さて、そんな本書は言語

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日本の作家

日本の作家

"このエッセイ集は、一外人批評家が見た日本文学の一側面というよりは、国境という枠を取り外した上での、近現代の日本作家論といってもよいのではないかと思う"1972年発刊の本書は日本文学の世界的権威が愛情溢れる『三島由紀夫論』を中心に太宰治、川端康成、谷崎潤一郎等を語っている貴重な文学論集。

以前から読みたいと思っていたのですが。下鴨納涼古本まつりで見つけて、ようやく手にとりました。

さて、そ

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三丁目が戦争です

三丁目が戦争です

"戦争がはじまってしまえば、もう、どうしようもないのです。みんながよろこぶようなおわりかたには、ぜったいになりません。"1971年発刊、2024年復刊の本書は筒井康隆 + 永井豪の二大巨匠タッグでおくる主人公の『勇気ある行動』をきっかけにドロ沼の戦争が始まる絵本傑作。

個人的にはどちらもリスペクトする二人のコラボ作!と未読だったので手にとりました。

さて、そんな本書は三丁目の団地に住むシン

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古本屋おやじ 観た、読んだ、書いた

古本屋おやじ 観た、読んだ、書いた

"私の得た結論はひとつ、自分の嫌いな人間が買いにくるような本を置かなければいいのだ、自分の嫌いな人間がやってこない店にしてしまえばいいのだという、しごく単純明解な理論でありました"2002年発刊の本書は映画書専門店、稲垣書店の店主によるリアルな古本屋の日々。共感しきりの良書。

個人的には著者の事も、されているお店の事も知らなかったのですが。下鴨納涼古本まつりで見つけて手にとりました。

さて

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V.A

V.A

"今、目の前でカレーを食べている男性はあの日の出演者で、チケットをくれたのもたぶんこの人だった。あれから彼らは何かになれただろうか。しばらく懐かしそうにCDを眺めていた男性が、小さくゲップしてからスプーンでカレーをすくう"2024年発刊の本書は、本屋が仕掛ける"ココでしか買えない読書体験"華麗に文学をすくう?シリーズ第一弾。

個人的に本屋として企画に共感した事から、この【書き下ろしの小編+オリ

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NO推理、NO探偵? 謎、解いてます!

NO推理、NO探偵? 謎、解いてます!

"『思ったんだけどさ』『うん』『アイちゃんがこれから、もっと有名で立派な名探偵になるためにさ』『ためにさ?』『推理って、別にいらなくない?』"2017年発刊の本書は推理が出来なくなった名探偵のアイと助手のユウのコンビでおくるメタミステリ。連作短編集。

個人的にミステリが読みたくなったので、SNSのタイムラインで紹介されていた本書を手にとりました。

さて、本書は名作、謎作てんこもりのメフィス

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日本の近代化と民衆思想

日本の近代化と民衆思想

"通俗道徳が自明の社会通念として普遍化してゆくと、どのような問題もその通念を通して処理しうるかのような幻想が成立する。そうなると、かって民衆生活の実態に適応していたヒューマンな性格は失われ、欺瞞的、偽善的、独善的なものに転化する"1974年発刊の本書は近代民衆史を真摯に追求した名著。

個人的に自己啓発ブームにうんざりしている事から本書を手にとりました。

さて、そんな本書は民衆思想史の第一人

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本屋のミライとカタチ 新たな読者を創るために

本屋のミライとカタチ 新たな読者を創るために

オススメ912"本を読まない人たちに本の魅力を伝える小さな取り組みは誰にでも実践可能です(中略)身の丈に合ったやり方で、誰もが『広義の本屋』になれるし、その数が増えれば増えるほど、新たな読者を創れる可能性がある"2024年発刊の本書は、業界外にもインタビュー、広く本屋の未来を考察した良書。

個人的には、2015年からフリーペーパー専門店として『普段は本を読まない方』に紙媒体を無料配布する活動を

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誰が勇者を殺したか 預言の章

誰が勇者を殺したか 預言の章

"レナードはわたしを信じてくれた。そして勇者の在り方を示してくれた。わたしはやり直せる。何度でも。きっとこの結末もいつか変えることができるはずだ。"2024年発刊の本書は魔王討伐後に帰還しなかった勇者の死をめぐる前作の補強となるまさかの第2巻。預言者と新たな冒険者達の旅。

個人的には新刊ライトノベルの販売数歴代第1位と大ヒットした前作が読みやすく面白かったので手にとりました。

さて、そんな

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グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船

"それは夏紀の爪の先が引っかかるくらいの何かだ。ちょっと引っ掻いて、指先でつまんで、そしてそっと引っ張ると、ただ目に見えているだけのこの世界よりももっと深い、『向こう側』とか『遠く』とかの世界が現れるのだ"2023年発刊の本書は並行世界の土浦を舞台にしたボーイ・ミーツ・ガールSF。

個人的に爽やかな表紙が気になって手にとりました。

さて、そんな本書はSF的歴史改変小説を得意とする事で知ら

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古代人と夢

古代人と夢

"完全な覚醒がないように、完全な眠りも存しない。夢のなかで人は醒めたときと異なる種類の言語を用いるわけではない。むろんその言葉はわかりにくいことが多いけれど、しかしそれは解読可能、つまりインテリジブルなのである。"1993年発刊の本書は日本古典文学の碩学による独創的精神史。

個人的には著者の本は未読だったので手に取ってみました。

さて、そんな本書は英文科に進学するも、その後に短歌に傾倒、日

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点と線から面へ

点と線から面へ

"本書では二つの基本的要素を取り扱うが、それは一番最初にあらゆる絵画作品に役立ち(中略)同時にー版画というー絵画の独立した分野にも十分使用できる材料となる要素でもある"1926年発刊の本書は抽象絵画の創始者による『点と線』の本源的な力を理論的、科学的に解説した古典的名著。

個人的にメタバース芸大で美術史も解説していることから資料として手にとりました。

さて、そんな本書はロシア出身の画家であ

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現代思想 2022年9月号

現代思想 2022年9月号

"幼稚ではないメタバースとは何かと考えると、なんだろう、僕が思い浮かべるのは高架下の焼き鳥屋さんのイメージなんです"2022年発刊の本書はドミニク・チェンと安田登の討議を冒頭に、メタバースの未来について論者たちが自由に寄稿している良書。

個人的にメタバースに可能性を感じて、芸術大学や読書会といった企画をしている事から本書を手にとりました。

さて、そんな本書は新型コロナの影響下、旧Faceb

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京都 ものがたりの道

京都 ものがたりの道

"思えば、いろいろな道を歩いてきたものだ。それでもまだ、私が通ったことのない道はたくさんあり、たくさんのものがたりが埋もれているはず。それが京都の街の奥行きの深さなのだろう"2016年発刊の本書は皇族、彬子女王による京都の通り案内、親近感を抱く良エッセイ。

京都在住の彬子女王殿下は一体、京都のまちをどうながめておられるのだろうか。ふと、そんな事を思った事もあり、本書を手にとりました。

さて

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