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にしむくさむらい 詩人choriの京都十二ヶ月

"京都人全体において詩人がしめる割合というのは厳冬の鴨川における等間隔カップルの占有率以上にすくない。したがって本書はいわば星くずが語る京都、といった立ち位置となる"2011年発刊の本書は不世出の詩人がテキスト詩とともにおくる京都の一年。優しいエッセイ。

個人的に2024年8月20日にベストアルバム発売直前に39歳で急性呼吸不全で亡くなった著者に随分と前に面識があった事から追悼の気持ちで手にとりました。

さて。そんな本書は裏千家十六代家元の長男、大正天皇が母方の曾祖父と、なかなかに重い家系に必死に抗っていたような20代半ばの著者が、しかし1月から12月と自作の詩、写真を挟みながら京都での等身大の生活をピースフルに綴っているわけですが。

同じく京都に縁ある私にとって、著者の描く日常はなんとも共感するもので、穏やかな気持ちで読み終えました。

一方で、やはり勝手な想いではあるが、著者に関してはまだまだこれから。詩やポエトリーリーディングの世界を切り拓いて欲しかった気持ちがあるので、その早すぎる死をあらためて残念に思った。

choriファンの方に、また現代詩人の若かりし時の生活が伝わってくる一冊としてもオススメ。

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