見出し画像

本気で作家になりたければ漱石に学べ!

"漱石は、事のはじめから、いわば、あらゆる定義を欠いていることが唯一の定義となるような『小説』なるジャンルそのものの多様性を一気に体現した作家なのである"1996年発刊の本書は"それでも"作家になりたい人に向けた豊富な漱石作品引用による一考察。中級者編。⁣

個人的に前作の初級編"それでも作家になりたい人のブックガイド"が面白かったので、手にとりました。⁣

さて、そんな本書は文芸批評家の渡辺直巳による前作に引き続き作家志望者に向けての実践者指南第二弾『中級者向けマニュアル』として(毒舌まじりの)講義形式で、今度は"世界文学史的な規模において当時の小説様式の大半を把握したうえで、みずから小説家となった本邦初の人物"つまり日本小説の創始者として、第一章『心構え編』で魅力を語った後、第二章『テクニック編』では、漱石作品を豊富に引用しながら『書き出し』『人物造形法』『衝突の技法』『場面転換』『伏線』『比喩』『焦点化の離れ業』『叙述/虚構』等の技術について具体的に解説。第三章は付録的な復習・応用テストになっているのですが。⁣

まず、著者は夏目漱石はもちろん、豊富に国内外の古典文学を紹介、その魅力についても語ってくれているのですが(第一章)個人的に既読作品が多く、作家志望ではない、単なる読書好きの1人として、ひたすらに楽しかった。⁣

また、これほどまでに漱石作品の魅力について。丁寧に解説を受けた事がなかったので、あらためて各作品を手にとってみようとやはり思います(悪例として、筒井康隆や司馬遼太郎、吉本ばなな辺りがけちょんけちょんに書かれているのはファンの方には本書は辛いかもですが)⁣

作家志望の方、夏目漱石ファンの方はもちろん。文学批評を学ぶ方にオススメ。⁣

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?