週刊少年松山洋_タイトル_調整

第32号『こんなの僕の描きたかった絵じゃない』

これは実際に起きた話。

あるスタッフがキャラクターデザイン資料とは全く違う“雰囲気”の絵を上げてきました。

いや、“雰囲気”のレベルではないですね。“全く違うデザイン”で仕上げてきました。例えるならば【身長やサイズが違う・デザインの線の数が違う・傷が入っている領域が元のデザインと異なる】といったレベルなので、まあ全然違うデザインですね。

それをリーダー達と一緒にチェックしていて私がそれに気づいて“???なんだこれ?”となり、指摘したのでした。

指摘されたリーダーは“すいません、手違いがありました。修正して再提出するので無かったことにしてください”って言ってきましたが、もちろん一蹴。

“ちがう、そうじゃない。これは根本がきっとズレている。これを描いた人間とお前がキチンと面談をした上でもっかいオレに報告に来い”

と伝えました。

それから数日後、リーダーが私の所に報告にやってきました。

“本人と面談しました。申し訳ありません。社長が言うように本人は全く分かっていませんでした。”

“うん、どういうことだったの?”

“はい、本人は【こうした方がカッコ良い】と思って描いたらしく、全く悪気がありませんでした”

“うん、それで?”

“なので【それはそういうことじゃない。決まっているデザインを勝手に変更してはいけないんだ】ってコトを伝えました。そして同時に【演出でカット単位で迫力を出すために筆演出だったり、鉛筆作画のようなモノクロ演出をすることはあるけど今回のデザイン変更は演出の範疇に収まらないから絶対にやってはいけないんだ】と指導しました”

“うん、わかった。やっぱりそうだったね。指導して同じことにならないようにしないとね。引き続きよろしく”

お恥ずかしい限りですが、これは実際にあった話。

この時はそれ(デザイン変更)を行ったのが若い外国人スタッフだったので文化の違いでそういう判断をしてしまったのか、というところまでしっかりと確認を取って話をしました。

本人いわく

“決められたデザインの通りに作るだけの作業なら僕じゃなくてもいいってことになる。そんなの誰でもできる。元のデザインよりもカッコ良くしよう!という行為がなぜいけないことなのか?”

話を掘り下げて聞いたところ、どうやら文化の違いというよりも個人的な考えの未熟さでした。

言葉だけを聞いてしまうとなんか耳触りの良いカッコ良い物言いに聞こえてしまいますが、根本的にズレています。

大間違いです。

もちろんこのあともリーダーがしっかりと本人と話をして指導して理解してもらって今現在はルールを守って自分自身のクリエイティブを発揮してもらっています。

ただ、みんなわかっているようで意外とわかってなかったりもする、この手の集団制作における役割分担=責任範疇のルールのお話。

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第32号『こんなの僕の描きたかった絵じゃない』

松山 洋 サイバーコネクトツー

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私もそんなあなたが大好きです!ありがとうございます。
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株式会社サイバーコネクトツー 代表取締役 ゲームソフト開発タイトル代表作『.hack』シリーズ 『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメット』シリーズ 『ジョジョの奇妙な冒険』 著書『エンターテインメントという薬』『熱狂する現場の作り方』漫画『チェイサーゲーム』

コメント2件

以前に別の記事でコメントさせていただいた者です。
拙いコメントでしたが、このように本当に記事にしていただいたこと
すごくうれしいです。お礼が遅くなってしまい申し訳ありません。
いえいえまたリクエストお待ちしております!
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