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一番の復讐は同類にならないこと

『ベンジェンス -復讐の自省録-/リベンジャー -復讐者-』
2017年に公開されたブルガリアの映画です。元は『リベンジャー -復讐者-』という邦題(原題:Acts of Vengeance)だったのですが、Netflixで配信される時に何故か『ベンジェンス -復讐の自省録-』とタイトルが変更になりました。理由はわからないです。そのせいか結構探すのに苦労しますが上に両方のタイトルを併記しておいたので参考にしてください。

内容は(例によって)私が大好きな復讐劇となっています。

少し他作品と違うのは主人公が物凄く忙しく仕事をしていた弁護士であるということ。そして妻子を殺された主人公はその犯人を見つけるべく復讐を誓いながら行動を開始するのですが。

「女は一日に2万語を話し、男は1万7千語を話す。そして弁護士は一日で8万語を話す」

冒頭でこんなモノローグが挿入されるくらい弁護士という仕事は「話すことが仕事」だということが強調されています。

そして復讐を誓った主人公はその日から一切の言葉を話すことを自ら禁止します。

復讐という目的を達成するまでの“枷”として自分自身に強いるのです。(恐らくはそもそもの原因が自分が仕事に没頭し過ぎていたことにあると考えた主人公が、弁護士としての自分を捨てて復讐に生きるという誓いと覚悟を示すためだと思います)

愛読書でもあった哲学者のマルクス・アウレリウス・アントニヌス(ローマ皇帝)の『自省録』の言葉に影響を受けて“沈黙の誓い”を立てるのです。

「言葉では無く行動だ」

それまでは(冒頭の説明の通り)一日に8万語も喋っていた人間が、自ら言葉を発することを禁じることで変化が起きます。

話さない代わりによく耳で聞く(聴く)ようになります。

目で見てよく周りを観察するようになります。

今まで気にしなかった匂いが気になるようになります。

五感のうちのひとつ(話す)を封じたことで、他の機能が能力向上するのです。(まさに『制約と誓約』による能力向上ですね)

こうして生まれ変わった主人公は「言葉では無く行動」で示すことで犯人に近づいていくことになるのです。

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もうおわかりだと思いますが、私はこの映画が大好きです。ぜひ観て欲しいです。めっちゃ面白いので。しかも他作品とも一味違うのでオススメですよ。(上でもお伝えしたようにNetflixでも観れます)

さて、なぜ急に本作をこうやって紹介し始めたのか?というと、まぁ当然ながら理由があるわけです。

そう、理由があって、ふと、この作品のことを思い出したのです。

そのきっかけと思ったことをつらつらとここに書き記すのもどうかとは思ったのですが、せっかくこうして思い出したのですからちょっとだけお話しますね。

たぶん他人からしてみたら取るに足らないどうでもいいことかもしれません、が、割と誰にでも当てはまる話かもしれませんので。

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一番の復讐は同類にならないこと

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