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感情のエッセイ

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気持ちを込めて書いた文章
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#仕事

嫌いなままでいさせてくれよ

嫌いなままでいさせてくれよ

介護士は別に優しくない。端から見ればその職についているだけでという感じだけど、当事者に言わせればむしろ冷たくないとできない仕事だと思う。僕のような施設勤務の人は、特に。

なにせ老人というのは弱っていく。
まるで花が枯れるような速度で、昨日のあの人が過去になっていく。
歩けていた人が歩けなくなり、覚えていたことを忘れ、我慢できていたことが我慢できなくなる。

それを目の当たりにしながら、他人事だと

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嫌いじゃないよ

嫌いじゃないよ

介護業界は離職者が多い。
単純なことじゃなくて、色々な要素が組み合わさって、人材の水漏れを止められずにいる。

僕が働く会社も同じく、漏れてしまっていた。時折穴が広がってドバっと溢れることもあったけど、管理者達が一生懸命修理して、気づけば「水が漏れることもあったねぇ」と思い出話をできるほどになっている。

しかし、ここにきてまた大きな穴が開いた。

もはや水道管ごと折れたんじゃないかと思える

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介護職の何が辛いのか。

介護職の何が辛いのか。

20歳の頃から、もう8年ほど介護の仕事を続けている。気が長いということが武器になる世界。僕が向いている数少ない仕事だと自覚している。

辛くて仕方ない時期もあったけど、なんだかんだ楽しくやれていると思う。

この仕事をしていると、「大変な仕事をされていて偉い」そんな評価を受けることが多い。でも、定時にしっかり終わるし、週休2日は確保されてるし、人並みの生活ができる程度には給料もあたる。世間様が思う

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僕を守る世界であって

怒られるのが苦手だ。理不尽なのはもちろん、優しくラッピングしたような怒られ方も、できる限りされたくない。

「ぴぴぷるさん」

名前を呼ばれ、一瞬で雰囲気が変わる。あぁ、今から怒られるのだと察する。

空気が停止している。さっきまで職場にいたはずなのに、いつの間に処刑台にあげられたのか。

皆が見ている。同僚だけじゃない。家族、友達、顔も知らぬ無数の社会人達の、冷めた視線を感じる。
評価されていた

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