僕を守る世界であって

怒られるのが苦手だ。理不尽なのはもちろん、優しくラッピングしたような怒られ方も、できる限りされたくない。

「ぴぴぷるさん」

名前を呼ばれ、一瞬で雰囲気が変わる。あぁ、今から怒られるのだと察する。

空気が停止している。さっきまで職場にいたはずなのに、いつの間に処刑台にあげられたのか。

皆が見ている。同僚だけじゃない。家族、友達、顔も知らぬ無数の社会人達の、冷めた視線を感じる。
評価されていたとおもっていた自分の能力や人柄が、空き缶のように軽く蹴飛ばされるようなものであると知らされる。

あの、胸の締め付けられる気持ち。肺が突然小さくなったような、強制的息苦しさ。本当に苦手だ。
怒られても平然として、すぐに改善していく人達を尊敬する。彼等は一度死んだことがあるのではないかとすらおもう。

僕はダメだ。息苦しくなってしまう。人間は呼吸して動いているのだから、酸素がないとパフォーマンスは当然下がる。結果失敗し、また首が絞まる。
そんな風にもがきながらも、改善しようとするわけじゃないのだから、我ながらダメ人間である。

対応策はいつも決まっている。 慣れるまで耐えるだけだ。

不登校をやめて、学校にいきはじめた時。社会人になり、はじめてまともに働きはじめた時。部署が移動になって、また一からリスタートした時。

僕はいつでもボロボロになりながら、体が適応するのを待った。

そのうちに、出来ないなりに仕事を覚える。幸い、こちらが手を差し出せば握ってくれる同僚が多く、今では楽しく仕事ができている。良い関係であると思う。

でも、やっぱり緊張感がある。いつでも、僕という空き缶は蹴飛ばされるんじゃないかって。
仕事なんだから当たり前じゃないとか、そうじゃないといけないんだよとか、そういう話もよくわかるけど、やっぱ怖いじゃんか。辛いじゃんか。

僕をもっと誉めてほしい。この手にもった武器が、エクスカリバーだと思えるくらいに。

僕をもっと誉めてほしい。エゴで汚れた優しさが、イエスキリストだと思えるくらいに。

周りのすべてが、僕を守る世界であってほしい。

ずっとずっと、調子にのったままでいたいから。




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