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怪談:気付かないということ
ぼくは、わりに色々なことに気付かないタチだ。友達に「髪切ったね」と声を掛けたら「切ったの3週間前だよ」と驚かれるのはザラだし、家の近くで新しいお店を発見したことを親に報告すると「5年前からあるよ」などと言われたりもする。「それなりに一生懸命に生きているつもりなのに、どうしてこんなにも周りが見えていないんだろう」と、そのたびに軽く落ち込む。ただ、世の中というものはなかなか上手く出来ていて、たまにはこ
もっとみる『ルバイヤート』を読んだ
2022/8/21、読了。
世界史で名前だけは聞いたことのある、オマル=ハイヤームの『ルバイヤート』。「ルバイヤート」という語は、ペルシア語で「4行詩」(複数形)を指す一般名詞らしい。つまり、必ずしもオマル=ハイヤームの詩集名を指すものではないということだ。
何故いきなりこの4行詩集の存在を思い出したかといえば、オモコロライターの岡田悠さんがこの詩集に登場する「酒」の登場頻度でグラフをとっ
『フェルマーの最終定理』を読んだ
8/6、読了。
7月は全然読了できなかった。昼休みに毎日読書してはいるのだが、元来遅読なのに加えて何冊かの本を読み散らすことに原因がある。まあ活字を取り込めればよいのであって、別に読了することが読書の目的ではないので、気張らずにやっていこうと思う。お付き合い頂けると幸いです。
『フェルマーの最終定理』!なんと格好良い響きなのだろう。数学はおろか算数もさっぱりな自分でも心惹かれるものがある。
『羊をめぐる冒険』(上)を読んだ
2022/7/4、読了。
上下巻をまとめて買うのが苦手だ。いったん下巻を読み始めれば楽しいことはわかっているのだが、上巻を読みながら意識のどこかで「下巻も読まなければならない」と思い続けるのに耐えられない。何冊かの本を同時並行で読み散らすタイプなので、同じ本に集中し続けることが難しい。上巻を読んだ以上、下巻も読まなくてはならないのは、下巻を買っても買っていなくても変わらないのだが、買ってしまう
『村上朝日堂 はいほー!』を読んだ
2022/6/21、読了。
はいほー!って、なんだか叫んでみたくなる言葉である。白雪姫に出てくる小人たちが言っているイメージがあるが、そういえばどんな意味なのか知らないなあ、と思い調べてみた。
[驚き・疲労・退屈・落胆などを表わして] あーあ!やれやれ!(研究社 新英和中辞典)
割とマイナスイメージな意味だったので驚いた。もっと陽気な掛け声かと思っていたのに。しかし「やれやれ」という言
『異人論 民俗社会の心性』を読んだ
2022/6/12、読了。
妖怪が大好きで、いつか会いたいと願っては妖怪図鑑を飽きずに眺めているような子供だった。それが長じて、次第に民俗学に興味を持つようになった。高層ビルが立ち並び、生命さえ科学技術で操作しようというこの時代にも、光が当たらない闇の部分があるーそこにどうしようもなく惹かれるのは、或いは総てが明らかになってしまうことへの反感の裏返しであったのかもしれない。妖怪を信じるというよ