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詩 | 女でも飲みたいときはあるわよ

おっ、君も酒を飲むのかなんて 
能天気なこと言わないでよ
飲みたくて飲めない酒を
飲んでるわけじゃないの

あたしに酒を飲ませてるのは
人の気持ちなんて
全然考えていない
あなたのせいでしょ?

なんでもさ
当たり前だなんて思わないでよ
これでも精一杯
頑張っているのだから

君は空気のような存在だと
あなたは褒めてるつもり?
空気は大切にだけど
空気ほど存在感の薄いものはない

目に見えない
色もない
ただあって当たり前だと
思われている

あなたにとっちゃ
あたしは透明人間のようなもので
すっごく困ったときにだけ
都合よく私のことを思い出すだけ

別にね
心にもないことで
褒められたいわけじゃない
ただ普通の人として見てほしいだけ

泣きたいときには泣かせてほしい
笑えないときは笑わせてほしい
弱音を吐きたいときには吐いてほしい
嬉しかったらありがとうと言って

普通の人が普通に思うことを
私は言っているだけ
何か特別なことをして
無理しなくてもいいの

あたしはね
空気じゃなくて港になりたい
なるべく接岸の簡単な
優しい港になりたいの

それができていないから
こうして寂しくひとり飲んでるの
あたしは空気じゃないから
荒れた港でも許してね


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