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エッセイ税制あれこれ(大雑把な話)

 税制は複雑だ。何よりも大切なのは公平さだが、税制とはその時々によって変わる。税収を確保するために新税が導入されたり、景気対策のために減税されたりする。



(1) 消費税の場合


 まず、良く議論の的になる消費税について考えてみよう。とりあえず、消費税以外の税が何もないと想定してみる。

 消費税を考える上で大切なのは、消費税によって、資源配分に歪みが生じないことである。資源配分に歪みが生じないとは、価値中立的と言い換えてもいい。

 たとえば、相互に代替可能な類似の商品Aと商品Bがあるとする。もし、商品Aの税率が10%で、商品Bの税率が20%だとしたら、商品Aのほうが売れやすくなり、商品Bのほうが売れにくくなるだろう。消費者は商品を選ぶときに、商品そのものの価値ではなく、税率を意識するからである。

 生活必需品の税率を下げて、奢侈品(贅沢品)の税率を上げたほうが良いという議論があるが、税率を変えれば資源配分に歪みを生じさせることになる。
 そもそも論を言えば、何が生活必需品で何が奢侈品なのかということについては、人それぞれ価値観が異なるものであるし、1つ1つの商品について、個別の税率を定めることは極めて困難である。だから、どんな商品であれ、一律の税率のほうが望ましいと考えられる。

 しかし、仮にすべての商品の税率を10%なら10%にすれば、価値中立的で、資源配分に歪みを生じさせないかというとそうではない。なぜなら、消費税は消費にかかる税であって、貯蓄にはかからないからである。

 消費税を払いたくなければ、消費自体を抑制しようとする人も現れるだろう。消費税は、消費と貯蓄とのバランスという観点から見ると、価値中立的だとは言えない

 消費に税がかかり、貯蓄には税がかからなければ、貯蓄にまわる額が増えることになる。 


(2) 所得税の場合


 所得税は、所得にかかる税だが、消費税とは異なり、累進課税になっている。
 所得が少ないか多いかに関わらず、税率を一律にしたほうが良いという考え方もあるが、現実には複数の税率から成り立っている。

 実際の税制とは異なるが、話の筋を分かりやすくするために、仮に次のような税率が定められていることにしよう。

0~100万円以下→税率0%
100万円超~500万円以下→税率20%
500万円超→税率30%

 この税制のもとでは、たとえば所得が110万円ならば、
110万✕0.2 = 22万 ではなく
100万✕0+10万✕0.2 = 2万円 のように計算される。

 同様に、所得が1000万円ならば、
1000万✕0.5 = 500万 ではなく
100万✕0+400万✕0.2 + 500万✕0.3 で、230万円と計算される。

 最近、「103万円の壁」という言葉をよく聞くが、所得税を支払う義務が生じたとしても、支払う所得税は微々たるもの(語弊はあるけどね)で、問題なのは、(学生などが)扶養から外されてしまい、保険料を払わなければならなくなることだ


(3) キャッシュ・イン課税はどうだろう?


 税制を考えるとき、当然のことながら、理論的に考えるか現実を踏まえて考えるかによって、答えは異なるだろう。

 仮に理論的な理想的な税制があったとしても、急激な変化は人々の生活に大きな影響を与える。誰でも、急激な大きな変化は望まないだろう。

 しかしながら、ゼロ・ベースで考えてみることは悪くないだろう。
 現実の税制は、専門家を必要とするほど複雑過ぎる。また、細かい点は常に変わっていくから、ついていけない人が多いことだろう。

 税制を考えるときには、税だけでなく、社会保障費も合わせて考えなくてはならない。また、公平性だけでなく、捕捉のしやすさ(徴税コスト)や簡素性についても考えなくてはならない。

 個人的にゼロ・ベースで税制の在り方を考えると、私は「キャッシュ・イン・フロー課税」と「ベイシック・インカム」を導入したら良いのではないか?、と思ったりする(妄想レベルだけどね)。


 キャッシュ・イン・フロー課税とは、簡単に言えば、ある一定期間の間に入ってくるキャッシュ(現金)に一定の税率をかけることである。
 労働によるキャッシュにせよ、資産売却によるキャッシュにせよ、無差別に課税する。

 そうすれば、消費税のように、消費と貯蓄のバランスに税が影響を与えることはない。
 
 ただ、キャッシュ・イン・フロー課税では、(法人税も含めて)所得税では認められる減価償却費などを一切認めないことになるから、投資意欲をそぐことになるし、既存の所得税・法人税における期間損益計算の原則とはそぐわない


 ベイシック・インカムとは、誰でも無差別に一定の額を国が国民に支払う制度のこと。ベイシック・インカムを導入するなら、既存の生活保護や年金制度(老齢年金)を廃止することになるだろうが、誰でも最低限の生活は保障される。だが、労働意欲をそぐことにつながるだろう。


結びにかえて


 この記事では、ふだん私が書いていない税制の話題を取り上げてみました。
 おそらく不人気な記事になることでしょうね。
 
 本当はショートショートとか、短編小説とか、短歌・俳句みたいな記事とか、「私のnote論」みたいな記事のほうが、スキ数とかビュー数は取れるんですけどね。

 でもね、なんかね、最近、小説を書くことに疲れてしまってね。
 かといって、語学関係の記事を書いても読まれないし。

 最近日本では、総選挙があったし、アメリカ大統領選の最中ですし、たまには経済ネタでも書いてみるか、という気持ちでこの記事を書きました。

 税制の専門家がこの記事を読んだら「暴論だ!」とか言われそうですけど、今日は経済ネタを書いてみたい気持ちだったから書いただけなのでお許しを。

 とかいって、まったく誰からも何の反応もないんだろうな、とも思っています。

 激論する気持ちもないので、軽く読み流していただけたら嬉しく思います


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