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未実現キャピタルゲイン課税は可能なのか?



(1) キャピタルゲインとはなにか?


 新聞の経済欄を読んでいると、キャピタルゲインという言葉を見かける。
 経済学部出身の方ならば、おそらく聞き覚えのある言葉であろう。

 簡単に言えば、たとえば、3万円で取得した株式が値上がりして、現在5万円の価値があれば、2万円がキャピタルゲインである。


(2) キャピタルゲイン課税


 (1)で挙げた例でいうと、株式を実際に売却して2万円を現金化したならば、その2万円に課税することは比較的理解しやすい。

 しかし、所有した株式がいくら値上がりしたとしても売却しなければ、値上がり分の現金は手元に入って来ない。

 詳細は知らないのだが、バイデン政権では「未実現のキャピタルゲイン」に課税することを考えているという。
 株式が値上がりしたならば、売却していなくても課税することを意味するが、問題はないのだろうか? 


(3) ビリオネアに課税することは、庶民的には大歓迎だが…


  ミリオネアのさらに上をいく「ビリオネア」は超大金持ちだから、気持ち的には、たくさん税金を払ってもらいたい。それで庶民の税金が下がったり、所得の再分配が行われれば嬉しい。

 しかし、まだ売却していないキャピタルゲインに課税することは、まだ手にしていない所得に対して課税することなので、公平性の観点から問題があるような気がする。


(4) 望ましい課税は永遠の課題


 選挙が近くなるととくに、消費税を凍結するとか、累進課税を見直すとか、国民の負担をどうするのかということが話題になる。

 消費税について言えば、食料品や日用品に対しては、軽減税率を適用しよう!、という政権公約を掲げる政党や、いっそのこと消費税を凍結(あるいは撤廃)する!、という公約を掲げる政党が現れたりする。

 誰だって税金の負担は軽いほうがいいと思うものだが、軽減税率というものは消費者の行動に大きな影響を与えて、「資源配分」や「需要・供給のバランス」を崩す恐れがある。

 たとえば、米に対して大幅な軽減税率を適用して、パンには適用しないとなれば、本来ならパンを消費するはずが、米を消費するという選択を促すことになる。一律の単一税率というものは、少なくても消費行動に対しては価値中立的で望ましいと言える。

 しかし、単一税率の消費税も、完全に価値中立的というわけではない。なぜならば、消費自体を抑えて、貯蓄とのバランスを崩す恐れがあるからだ。

 税に関する格言に「An old tax is a good tax.」というものがある。
 古くから税金がかけられているものに対して、それが無意識的に当たり前という前提で人々が行動すれば、需給バランスが均衡に対する影響が少ない。


(5) まとめ


 だいぶ話があっちこっちに飛んでしまったが、税というものは逃れることができない問題である。
 耳障りのよいものには、たいてい何らかのワナがある。税の問題は、注視していきたい。語弊はあるが、理論的にも「面白い」。
 期間損益計算の考え方によると、理論的にはどう利益(あるいは損失)を配分するのか?とか。

 税の専門家は、「未実現キャピタルゲイン課税」について、どのような意見を持っているのだろうか?



 

 

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