記事一覧

【MPP授業感想】Digital Transformation of Governments③

WEEK 3: Measurement and metrics: recognising good or bad digitalisation when we see it何をもってDXが成功しているとみなすのか。非常に悩ましい問いだ。しかし、政府…

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1か月前

【MPP授業感想】Housing Policy③

Week 4: Private renting: an inferior tenure?第二次世界大戦後、住宅所有の増加や家賃の規制により、賃貸住宅市場は長期的に衰退してきたが、近年は住宅価格の上昇や生活…

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1か月前
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【MPP授業感想】Housing Policy②

Week 3: The Homeownership Dream果たして持ち家政策を推進することに正当性はあるのか。住宅を所有することは、市民にとって、安定的な住居の確保、感情的な理由(例:「…

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1か月前
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【MPP授業感想】Digital Transformation of Governments②

Week 2 Transformation or reinforcement of existing systems? 今回の問題意識は、デジタル技術の導入は、改革をもたらすどころか却って既存のシステムを強化するのでは…

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1か月前
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【MPP授業感想】Digital Transformation of Governments①

選択科目は2つ受講できるのだが、直近の記事で紹介したHousing Policyに加え、Digital Transformation of Governmentsを受講している。政府におけるデジタル化がどのよう…

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2か月前

【MPP授業感想】Housing Policy①

今学期は各自の関心分野を深掘りする選択科目が開講されている。私はかつて建築基準法を担当していたこともあって、住宅政策を取り扱うHousing Policyを履修することにした…

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2か月前
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【MPP授業感想】Generative AI as a Public Policy Tool

昨年の話になるが、ChatGPTのような生成AIを政策立案ツールとしてどのように活用できるのかというユニークなテーマを取り扱った選択科目に参加したので、その感想を記して…

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2か月前
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【MPP授業感想】Evidence for Public Policy

感想(全体) 一般的な公共政策修士では統計学が必修科目であることが多いが、本プログラムでは、より広い文脈で政策立案をいかにエビデンスに基づき立案・実施するかを学…

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2か月前
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【読書メモ】インパクト投資入門

インパクト投資に関する2021年時点での状況が整理されている。印象に残った点は以下のとおり。 ・金銭的なリターンと社会的なリターンのバランスにはコントラストあり。 …

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2か月前
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【MPP授業感想】Politics⑦

Week 7 最後の2週間のテーマは国際政治だった。総論的な感想としては、自分が学部生の頃(約10年前!)に学んだ内容に比べると、当たり前だが昨今の厳しい国際情勢を反映…

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2か月前

【MPP授業感想】Politics⑥

Week 6 Social movements and Interest-group politics 今週のテーマは社会運動と利益集団。 まず利益集団に関して、自分の所属する省庁は業界団体との関係性を特に重視…

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2か月前
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【MPP授業感想】Politics⑤

Week 5 (Bureaucracies) 今週のテーマは官僚制であった。政治家が官僚に裁量を意図的に与えるケースとして、①長期的な政策目標へのコミットメントの担保、②政治への批判…

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2か月前

【MPP授業感想】Politics④

かなり間隔が空いてしまったが、まずはPoliticsに関して今学期の内容を振り返りたい。 Week 4 Cleavages が今回のテーマ。この言葉、自分も政治学の講義を受けて初めて知…

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2か月前

【読書メモ】シン・日本の経営 悲観バイアスを排す

MBAのインタビュー対策に読んだ本。ポイントを以下に記す。 ・失われた30年は単なる停滞ではなく、グローバルな技術リーダーとしての役割を模索していたと捉えられる。 ・…

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2か月前

【MPP授業感想】Politics③ほか

The Politics of Policymaking (week3) 今週のテーマは政治制度。議院内閣制と大統領制、中央集権と地方分権といった政治制度の違いが国家の運営にどのような影響を与える…

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5か月前
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【MPP授業感想】Politics②ほか

同級生の経験を聞いて 同級生が自らのライフストーリーを語るという企画が今週からスタートした(現在所属しているプログラムでは、生徒主導で様々なイベントが企画されて…

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5か月前

【MPP授業感想】Digital Transformation of Governments③

WEEK 3: Measurement and metrics: recognising good or bad digitalisation when we see it何をもってDXが成功しているとみなすのか。非常に悩ましい問いだ。しかし、政府のDXが遅れている日本にとっては、先行する国々を追いかけていくためにも、適切なメルクマールを設定することが非常に重要になってくる。

講義では様々な指標

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【MPP授業感想】Housing Policy③

Week 4: Private renting: an inferior tenure?第二次世界大戦後、住宅所有の増加や家賃の規制により、賃貸住宅市場は長期的に衰退してきたが、近年は住宅価格の上昇や生活様式の変化により、再成長の局面を迎えている。世界金融恐慌以後、安定したキャッシュを生み出す賃貸住宅の資産としての地位が相対的に高まったことで、投資家の資金も賃貸住宅市場に向かいつつある。

今回取

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【MPP授業感想】Housing Policy②

Week 3: The Homeownership Dream果たして持ち家政策を推進することに正当性はあるのか。住宅を所有することは、市民にとって、安定的な住居の確保、感情的な理由(例:「立派」な市民であることの証明)、経済的な利益(インフレによる債務価値の低減、キャピタルゲインなど)といったメリットがあり、政府としても、当時新自由主義的なトレンドに傾いていたこともあり、他の住宅政策や社会福祉政

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【MPP授業感想】Digital Transformation of Governments②

Week 2 Transformation or reinforcement
of existing systems?

今回の問題意識は、デジタル技術の導入は、改革をもたらすどころか却って既存のシステムを強化するのではないか、というもの。

政府であれ、民間企業であれ、デジタル技術は組織を通じて導入されることになるので、その組織の構造がデジタル技術のもたらす効果を規定することになる。今回読んだ論

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【MPP授業感想】Digital Transformation of Governments①

選択科目は2つ受講できるのだが、直近の記事で紹介したHousing Policyに加え、Digital Transformation of Governmentsを受講している。政府におけるデジタル化がどのような場合に上手くいき、どのような場合に失敗するのかについて、各国の事例を見ながら分析を深める科目となっている。

Week 1: Core concepts行政組織の運営に関する考え方は、ウェ

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【MPP授業感想】Housing Policy①

今学期は各自の関心分野を深掘りする選択科目が開講されている。私はかつて建築基準法を担当していたこともあって、住宅政策を取り扱うHousing Policyを履修することにした。

Week 2: Housing AllowancesHousing Allowances(住宅手当)は、一定の所得以下の人々に対して、住宅に関連する費用(主に家賃)を支援する制度を指す。住宅へのアクセスを担保する機能を果

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【MPP授業感想】Generative AI as a Public Policy Tool

昨年の話になるが、ChatGPTのような生成AIを政策立案ツールとしてどのように活用できるのかというユニークなテーマを取り扱った選択科目に参加したので、その感想を記しておきたい。

生成AIの特徴

まず、生成AIがどのように作動しているのかを理解しておく必要がある。ざっくりといえば、生成AIは意味論ではなく、構文と確率で動いている。次にどのような言葉が来るのかを予測しながら、質問に対する答えを構

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【MPP授業感想】Evidence for Public Policy

感想(全体)

一般的な公共政策修士では統計学が必修科目であることが多いが、本プログラムでは、より広い文脈で政策立案をいかにエビデンスに基づき立案・実施するかを学ぶ標題の科目が必修となっている。EBPMの重要性をただ訴えるのではなく、現実の政策立案におけるEBPMの限界にも言及しており、非常に実用的かつバランスの取れた内容だと感じた。また、統計の細かい知識に立ち入るというよりは、政策立案に当たって

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【読書メモ】インパクト投資入門

インパクト投資に関する2021年時点での状況が整理されている。印象に残った点は以下のとおり。

・金銭的なリターンと社会的なリターンのバランスにはコントラストあり。
・運用資産の半数が先進国への投資で、アジアが注目されている。
・人気のセクターはエネルギー、金融サービス、食・農業。住宅、水・衛生、インフラセクターも一定程度の実績あり。
・テクノロジーの進化、アクターの多様化、評価手法の確率によりイ

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【MPP授業感想】Politics⑦

Week 7

最後の2週間のテーマは国際政治だった。総論的な感想としては、自分が学部生の頃(約10年前!)に学んだ内容に比べると、当たり前だが昨今の厳しい国際情勢を反映したものに変化していたのが印象的だった。当時は経済的相互依存が深化、民主主義国家が増加していくことで大規模な軍事紛争は抑制されるはずだという見立てだった(私はそういうものかなあと能天気に聞いていた)が、悲しいことにこの予測が的中す

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【MPP授業感想】Politics⑥

Week 6 Social movements and Interest-group politics

今週のテーマは社会運動と利益集団。

まず利益集団に関して、自分の所属する省庁は業界団体との関係性を特に重視しているように思われ、まさに講義で扱ったRegulatory capture(支配的な産業が規制当局に影響力を行使すること)が起きているように思う。若者(だと信じたい)の一人としては、正

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【MPP授業感想】Politics⑤

Week 5 (Bureaucracies)

今週のテーマは官僚制であった。政治家が官僚に裁量を意図的に与えるケースとして、①長期的な政策目標へのコミットメントの担保、②政治への批判の回避があるという。正直、日本では官僚主導が悪、政治主導が善という規範が与野党、国民で共有されており、①のような視点は生まれにくいなと感じた。また、昨今の政治主導、そしてなぜか不祥事の責任は官僚が負わされるという傾向

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【MPP授業感想】Politics④

かなり間隔が空いてしまったが、まずはPoliticsに関して今学期の内容を振り返りたい。

Week 4

Cleavages が今回のテーマ。この言葉、自分も政治学の講義を受けて初めて知ったのだが、日本語に訳すと、亀裂や裂け目という意味だそうだ。人種や性別といったSocial Cleavagesが存在し、その一部が政治に動員され、Political Cleavagesとして顕在化する。性別のよう

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【読書メモ】シン・日本の経営 悲観バイアスを排す

MBAのインタビュー対策に読んだ本。ポイントを以下に記す。

・失われた30年は単なる停滞ではなく、グローバルな技術リーダーとしての役割を模索していたと捉えられる。
・日本企業は「舞の海戦略」を採用している。すなわち、コモディティ化した製品からディープテック事業へのピボットを図っている。(例:日立製作所)
・その結果として、日本企業は中間財の技術や生産設備の強みにフォーカスする戦略にシフトしている

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【MPP授業感想】Politics③ほか

The Politics of Policymaking (week3)

今週のテーマは政治制度。議院内閣制と大統領制、中央集権と地方分権といった政治制度の違いが国家の運営にどのような影響を与えるのかについて、各国の事例を見ながら議論した。最も強調されていたように思うポイントは、国内に多様な民族や階級が存在していることを前提として、そうした多様な選好をいかに集約して国内政治を安定させていくのか。

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【MPP授業感想】Politics②ほか

同級生の経験を聞いて

同級生が自らのライフストーリーを語るという企画が今週からスタートした(現在所属しているプログラムでは、生徒主導で様々なイベントが企画されている)。初回で話してくれたアメリカ人の女性の経験がとても考えさせられるものだったので、ここで感想も含めて記しておきたい。

彼女はアメリカ・ポートランドの高校で発生した銃乱射事件の生存者だ。そして、この事件をきっかけとしてアメリカの銃暴力

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