【MPP授業感想】Politics④

かなり間隔が空いてしまったが、まずはPoliticsに関して今学期の内容を振り返りたい。

Week 4

Cleavages が今回のテーマ。この言葉、自分も政治学の講義を受けて初めて知ったのだが、日本語に訳すと、亀裂や裂け目という意味だそうだ。人種や性別といったSocial Cleavagesが存在し、その一部が政治に動員され、Political Cleavagesとして顕在化する。性別のようにそれぞれのSocial Cleavagesに共通して存在するもの(Cross-cutting cleavages)は政治的に動員されづらい一方で、人種×階級など、他のCleavagesと重複するもの(Overlapping cleavages)が政治的に動員されやすい。日本の状況をこの理論に照らすと、現状大きな亀裂となっているのは経済的な階級くらいだろうか。昨今社会保障等を巡って現役世代と高齢者世代の格差が取り沙汰されているが、今後は世代間対立も問題になってくるように思われる。

そして、このPolitical Cleavagesを活用して有権者を動員するのが政党である。講義では人口動態、リソース、選挙制度が政党の戦略を規定するとの説明があり、民族の分断による政治の停滞が民族政党の過激化を招く現象(Ethinic outbidding)にフォーカスが当てられていた。

選挙制度に関して言えば、小選挙区制度の導入は、日本政治の現状に大きく影響を与えていると考えられる。例えば、与党議員の党執行部への依存度を強め、政治的なダイナミズムを損ねる結果を招いているように思う。今回の政治資金の問題への対応に関しても、若手議員の存在感は非常に低い。また、比例があるとはいえ、基本的には2大政党(現在だと自民党)の候補者に有利な状況になりやすい。日本の民族的・社会的な画一性を考慮すると、総合政党だと政策的な差別化を図るのが難しいように思うので、政治的なダイナミズムを機能させるためには特定論点に絞った政党も必要だと考えられるが、そのような政党が力を伸ばしづらい制度になっている。

あと、Ethinic outbiddingに原理的に近いなと思ったのは、現在の立憲民主党の戦略が、固定支持層であるところのいわゆる日本のリベラル層にフォーカスしてしまっているばかりに、極端に左傾化し、自民党に不満のある中道寄りの有権者の支持を得られていない状況である。こうした中道の有権者の支持を集めることが政権交代のためには重要なように思うのだが、国民民主や維新の存在を踏まえると、リベラルの支持を手堅く狙っていく方が合理的であるとの判断が透けて見える。他方で、国民民主は、こうした旧態依然とした自民・立憲民主に辟易した若年層を対象としたアプローチが少しずつではあるが功を奏しているように思われる。日本の政党の評価はどうしても自分の政治的主張からの距離感に依存してしまうが、あくまでも政党は有権者の選好を動員する装置だと考えると、より客観的な見方ができるように感じた。

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