【MPP授業感想】Politics⑦

Week 7

最後の2週間のテーマは国際政治だった。総論的な感想としては、自分が学部生の頃(約10年前!)に学んだ内容に比べると、当たり前だが昨今の厳しい国際情勢を反映したものに変化していたのが印象的だった。当時は経済的相互依存が深化、民主主義国家が増加していくことで大規模な軍事紛争は抑制されるはずだという見立てだった(私はそういうものかなあと能天気に聞いていた)が、悲しいことにこの予測が的中することはなかった。当時から政治学という学問に魅力を感じていなかったのは、実際に発生した事象を後追いで分析するスタイルが将来との関係で本当に役に立つのか疑問に思っていたからだが、まさにこの懸念点がここ10年間で顕在化したということだろう。

目新しいテーマとして関心を引いたのは、Weaponized Independence(武器化された相互依存)だ。これは例えばアメリカや中国といった相互依存関係の中心に位置する大国が、この関係を利用して、他国に政治的な影響力を行使する現象を指し、半導体やエネルギー分野において顕著に見られる。実際の効果としては、敵国にとって重要な情報にアクセスできるPanopticon effectと、重要な機能へのアクセスを制限できるChokepoint effectがある。日本の立ち位置としては、アメリカに付き従いながら、中国とも決定的な対立を避ける、そして日本自体が直接的な行為に及ぶことはないといった感じか。重要になってくるのは、政府としての外交・防衛・経済政策と、日本企業の戦略の整合をいかに取っていくかという点だろう。インフラの分野について言えば、近年はもっぱら中国の一帯一路政策に後塵を拝してきたわけであるが、中国とアメリカの対立を軸に再編されていく(であろう)アジア圏のビジネスからチャンスを見つけて飛び込んでいくことが必要だろう。マレーシアやカンボジアは難しいかもしれないが、ベトナムやフィリピンには望みがあるのではないか。この分野については引き続き知見の蓄積に努めていきたい。

Week 8

国際機関や政府間ネットワーク、国際NGOに共通する課題として、民主主義的な基盤がなく、ともすれば透明性も欠けており、正統性が欠如しているという見方もできる。何をもって正しいことだと判断すべきか。一定の距離を置くことも必要ではないか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?