【MPP授業感想】Digital Transformation of Governments③

WEEK 3: Measurement and metrics: recognising good or bad digitalisation when we see it

何をもってDXが成功しているとみなすのか。非常に悩ましい問いだ。しかし、政府のDXが遅れている日本にとっては、先行する国々を追いかけていくためにも、適切なメルクマールを設定することが非常に重要になってくる。

講義では様々な指標が提示されたが、個人的にしっくりきたのは、政府システムがプラットフォームとして機能しているか(Government as a platform)、システムの目的に照らして効率的か(Effectiveness at system aims)、ユーザーから見た使いやすさ(Usefullness)あたり。

まとめのメッセージは、こうしたメルクマールの設定は、本質的にDXに対する価値観の影響を受けるというものだった。日本政府として、DXによってどのような行政サービスの姿を目指すのか、イメージを共有していくことがまずは必要ではないか。例えば、高齢者等のデジタル技術に疎い人々をどのように取り扱うのか、利便性とセキュリティのバランスをどのように考えるのかなど、こうした理想像を設定するに当たって、考えるべきポイントがいくつかあるように思う。このような議論なしに、(自分も含め、)「DX」という曖昧なゴールを闇雲に目指してしまっていることが、我が国の行政サービスにおけるDXのチグハグさを招いてしまっているように思う。

今回登場した事例の中で、印象的だったものを以下の通り挙げておく。

・シンガポール政府の計画ではAIを活用したプロジェクトを各省庁最低1つ実施することとされていた。日本政府とのテクノロジーに関するスタンスの違いが窺える。
・他国政府では、「揺り籠から墓場まで 」よろしく、出生から死亡までをシームレスにつなぐような形でデジタルの行政サービスが展開されているとのこと。このようなユーザー目線の発想は、日本には見られない。
・他国政府のDX計画について、全体としてKPIが簡潔な印象を受けた。非常にイメージがしやすいし、計測する意義がありそうな指標が設定されている。例えば、シンガポール政府の計画で言えば、市民や企業の満足度(目標:75-80%)、オンライン決済がオプションとして存在するサービスの割合(目標:100%)など。
・シンガポール政府やエストニア政府は、2年ごとに3~4社の民間企業にシステムの保守と提供を委託することで、特定のプラットフォームへの過度の依存を回避している。


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