【MPP授業感想】Politics③ほか

The Politics of Policymaking (week3)

今週のテーマは政治制度。議院内閣制と大統領制、中央集権と地方分権といった政治制度の違いが国家の運営にどのような影響を与えるのかについて、各国の事例を見ながら議論した。最も強調されていたように思うポイントは、国内に多様な民族や階級が存在していることを前提として、そうした多様な選好をいかに集約して国内政治を安定させていくのか。この観点からすると、日本はそもそも社会的な分断が顕在化していないわけで、改めて日本という国家の異質さを実感することになった。一方、その異質さに起因する日本ならではの問題も存在しているように思う。例えば、国民の均質さゆえにその政策的な選好の範囲が狭くなり、与野党が提示する政策が接近することで、与野党の対立軸が政策から失言やスキャンダルといった瑣末な要素に移行しているように感じる。最近はこの行き詰まりを自覚してか、建設的な政策議論を提起している野党もあるので、事態の改善を期待したい。国民としても、例えば若者がしっかり声を上げていくなど、政党が考慮することになる国民の政策選好を広げていく工夫が必要だろう。

組織におけるジェンダーについて

同級生の有志でジェンダーに関する知見を共有する勉強会のようなものが開催されており、今回は組織における女性活躍がテーマということで、参加してきた。主にアメリカにおける状況を説明してくれたのだが、Glass Ceiling(女性だと昇進できるポストがあること)は克服しつつあり、現在はBroken Rung(最初のマネージャー層への昇進が遅れること)が問題になっているということだった。男性の場合はその後のキャリアの中断が見込まれないので将来性で評価してもらえるが、女性の場合は育児による休職が想定されるので実績で評価されることになるため、結果として女性の昇進が遅れてしまうのだそうだ。そもそもGlass Ceilingへの対応すら間々なっていない我々が言えることではないかもしれないが、このBroken Rungは成果主義・ジョブ型を採用する欧米の雇用体系においてひときわ顕在化するように思われ、日本の終身雇用制のもとでは、上手くマネージできるのではないかと感じた。

生活に近い分野を取り扱う自分の職場では、特に女性の視点が重要になってくると思う。しかし、とてもブラックかつ柔軟性のない職場環境が原因で、将来ある女性が辞めていくのを数多く見てきた。自分の元部下も、家族の関係で拠点を関西に移すことになったが、東京以外を拠点に置いて総合職として勤務していくのは現実的ではないという結論に至った。人口が減少して人材の取り合いが激化する中で、多様性をドライブにしてより良いアウトカムを実現していくためには、多様な働き方を提示することが必要不可欠だ。いざ実現しようとした場合、現在の上層部である中高年男性の承認を得ていく必要があるが、価値観のアップデートを期待するのは難しいように思うので、実利に訴えていく方が現実的だろう。

ミャンマー

ミャンマーの環境系NGO関係者で、現地でのインフラプロジェクトにも携わっていた方の話を聞くことができた。彼曰く、日本は財政支援と自国企業の進出をセットにしてくるので非常に賢いと感じるが、一方でそれは片務的・植民地主義的な関係性であり、その点はあまりよく思われていないということだった。日本にいた時にJICAとスタンスの違いで揉めることがしばしばあったが、その先にいるミャンマーの人々にもこのように思われていたとは、少しショックだった。彼はイギリスのように財政援助だけしてくれればと言っていたが、それでは日本に利がないだろう。インフラ海外展開についてどのようなバランスを取って進めていくのか、非常に悩ましい問題だと改めて感じた。少なくとも、東京で勤務していて考えられるような話ではない。

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