大坪命樹

統合失調症の食えない小説家です。多くの著作を、Amazonから出版しております。ただし…

大坪命樹

統合失調症の食えない小説家です。多くの著作を、Amazonから出版しております。ただし、出版社からは一向に相手にされません。https://www.amazon.co.jp/-/e/B00J5U8WPQ

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BlueSkyの定期ポストBotを無料で作成する

 BlueSkyは、コンピュータから自動ポストするのがそれほど難しくなく、素人の僕にでもプログラムが組めたので、ここに公開します。  このプログラムは、基本的にNode.jsで動きます。そのため、Node.jsをインストールする必要がありますので、御了承ください。  また、もともとリンクカードつきでのポストを前提に作成したので、文字だけのポストはこのプログラムではできません。その場合は、記事を参考に、プログラムを改編してみてください。  Node.jsには、いくつもの便利な

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    • 「菜穗子」堀辰雄著。

       高志の国文学館で氏の展覧会があったので、その名前はうろ覚えするほどに耳にしたことはあったにせよ、殆んど知らなかった堀辰雄氏の小説を読みたくなった。それで、私小説からロマン派にシフトする試みの作品という「菜穂子」を選んだ。  とても魅力的な小説世界なのは、少し噛み砕くのに時間が掛かる長めの文体の所為なのか、浅間山を中心にした静謐な小説の舞台の所為なのか、いずれにせよ美しさを感じさせる情趣深い作品だった。しかし、一方で、この小説により作者は何を伝えたかったのかというような、顕著

      • 「星の王子さま」サン・テグジュペリ著

         勉強会のテキストとして選ばれたので、読んでみた。  それまで、この「星の王子さま」という言葉が、小説の題名であることすら知らなかったのだが、解説を読むと世界150ヶ国語くらいに翻訳された超ベストセラーなのだそうだ。なるほど、平易な文章で描かれた童話のような世界は、誰でも頭を使わずたやすく読むことができる。  たやすく読むことができるのは美点ではあるが、この小説はその分、難しい表現を避けているために、文学性を犠牲にしているところがある。ただ、それをさっ引いても、描かれる世界の

        • 「東京都同情塔」九段理江著。

           生成AIを使用して書かれた小説ということで、初めは莫迦にしていたが、人類における生成AIのあり方的なテーマもあるというようなことを聞き、読んでみることにした。  読後、まず思ったのは、欲張りすぎということである。あれもこれも盛り込みすぎ。生成AIから始まって、犯罪者のあり方、平和とは何か、建築はどうあるべきか、その辺りまでにしておけばまだしも、自意識の発生についてのモデルの提示まで来ると、テーマが拡がりすぎて、作品として締まりがなくなってしまっている。  この自意識の発生に

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          「夏の花」原民喜著。

           世界で戦争が起きている昨今、原爆を描いた小説を読む必要があると感じ、この代表作を読んでみた。  出だしは主人公の墓参りである。この部分は、とても情緒豊かに描かれており、このあとの悲劇の描写を際立たせる効果がある。  しかし、原爆の被害の描写は、極めて客観的に淡々と描かれるために、阿鼻叫喚というような陰惨さを、激しくは感じさせないものと思った。被害の状況の悲惨な様が、その冷静な語りにより軽減している気がする。これは、著者が実際にその悲惨な状況を見て、眼を覆ってしまったのかもし

          「夏の花」原民喜著。

          公正でないなら。

           なかなか僕の小説は読まれない。統合失調症で第一選考も通ったことのない負け犬小説家などと、イメージが固定しているのかもしれない。確かに、大手文学賞すべて、第一次選考を通らないという実績は、僕の評判を落としているに違いない。僕は、文学賞の公正性を疑っているし、ひょっとしたら一時期の妄想のように、出版業界のブラックリストに僕の名前が掲載されているのかもしれない。  文学フリマなどでも痛切に感じるのは、選考に残った人の方が、よく読まれるという事態である。結局、大衆が何も判らない状態

          公正でないなら。

          文学フリマの一般入場有料化について。

           文学フリマ東京も、当初からはかなり規模が大きくなり、最近の発表では、来年令和6年の秋は、今まで長い間お世話になった東京流通センターから場所が替わり、コミケと同じ東京ビッグサイトになるとのことだ。それにともない、令和6年の春の開催から、一般入場を有料化するらしい。入場料は1000円らしいが、これはコミケを参考にしたのかもしれない。  コミケも最近、増え続ける入場者数に対応しきれないらしく、一般入場に対して課金をしたのだが、文学フリマもそれに準じた形となる。しかし、コミケよりも

          文学フリマの一般入場有料化について。

          文学フリマ大阪11。

           今年の春の文学フリマ東京36には、用意周到に準備したにも拘わらず、直前のコロナ罹患で行けなくなったため、代わりにと言っては何だが、秋の大阪に出ることにした。  出発まで、また何らかのトラブルに巻き込まれるのではないかと、嫌な雰囲気を振り払えなかったのだが、その悪縁のためか、北陸道は工事だらけで遅遅たる速度で車を駆った。しかしながら、なんとか大阪に着き、吹田で降りるといつも通り太陽の塔に御挨拶に行く。おりしも、太陽の塔初代の御玉顔の展示があり、その偉容に圧倒された。ここはパワ

          文学フリマ大阪11。

          「おいしいごはんが食べられますように」高瀬隼子著。

           芥川賞も、僕のようなアンチ権威の人間に掛かると、マイナスイメージになってしまうのだけども、この著者は、文学フリマに出ている京都ジャンクションに属していたため、少し親近感が湧いた。まあ、受賞する人というのは大体は僕のような拗ね者とは、社会性も文学性も異なる人であり、あまり相互理解もできないかもしれないのだが、ちょっと時間に余裕が出来たので、読むことにした。  描写からして、まったく僕とは正反対の文学で、ほぼ情景描写は皆無だ。しかし、人間関係の描写が細やかで、ふとした人々の仕草

          「おいしいごはんが食べられますように」高瀬隼子著。

          創作の振り返り。

           思えば、僕も多くの小説を書いてきたものだが、ふと若い頃はもっとセンセーションを呼び起こそうとか、大きなことを考えていたなと、思い出した。若いときは、文学賞を取ってベストセラーを書き、一攫千金をなすことを夢見ていたものだ。しかし、今はその夢よりも、芸術の追究に走ってしまった。走らざるを得ない自作に対する無評価があり、はじめは評価を受けるために、のちには作品の質を高めるために、芸術の向上を目指した。  若いときは、だからある程度奇を衒っていて、驚かすような小説を書こうとした。そ

          創作の振り返り。

          タイムリー・コロナ。

           昨日は、妻と二人で文学フリマ東京36の最終準備をしていた。ブースの予行練習をして、実際に本をレイアウトしたりした。ポスターを刷ったりおまけの栞を作ったりし、ほぼ完璧に準備を整え荷造りをして、部屋のある五階からはるばる車に運んでいった。晩御飯も済ませ、もうあとは一晩寝て明日東京に出るだけだった。  そんなときに、妻が寒気がすると言い出した。念のため、体温を測ってみると、37度以上ある。昼間に風呂に入った後、しばらく下着でいたから、湯冷めでもしたのかと、風邪薬を飲ませるが、一向

          タイムリー・コロナ。

          山山の架け橋展を開いてみて。

           個展を開こうと思ったのは、知人の小説家・上田聡子さんの朋友、ロクエヒロアキさんが、福井の書店で開いたという情報を小耳に挟んだからである。去年の夏頃だったか。僕らも、なかなか正当に認められずに口惜しい思いをしているので、少しでも知名度が上がるならと、試みてみた。県内各施設に訊いたところ、一番リーズナブルなのはガラス美術館だと判り、丁度市立図書館と同居しているので、読書好きの人が流れてくる可能性もあり、そこに決めた。  はじめての個展と言うことで、ずいぶん勝手がわからなかったが

          山山の架け橋展を開いてみて。

          現代日本の転換点――国葬について。

           僕は、今「末世の函葢」という世紀末の話を書いているのだが、世紀末とは言っても20世紀末の過去の話であり、未来のことではない。世紀末には、終末論が付き纏いがちであるが、世紀末を過ぎた現在、却って終末論を思わせるような浮世の状況である。  コロナ禍から始まり、ウクライナ危機まではまだ想定内であった。しかし、多くの天災が重なった上に、自民党の腐敗の露見、さらに独裁暴政を敷かれている今、もう世の中は戦乱の時代と変らないくらい乱れている。世界が戦乱に乱れていても、国情が安定しておれば

          現代日本の転換点――国葬について。

          「クロイツェル・ソナタ」レフ・トルストイ著。

           トルストイの著書を未だ読んだことがなかったので、ひとつ読んでみた。  この著書は、ポズヌィシェフという病的な外見の男の独白で、話の半分以上が占められている。独白がずっとと続くので、途中単調に感じ飽きが来るが、終盤ミステリーのように、何が起こったのかに興味がそそられて、一挙に読み進むことが出来た。  ポズヌィシェフは、自分の妻に対する思いの回想を、すべての男性あるいは人類に当て嵌めて、男は欲望の塊であるかのようなことを言う。一種のフェミニズムにもとれなくもないが、女性が男性を

          「クロイツェル・ソナタ」レフ・トルストイ著。

          「神懸かった痙攣:大坪命樹の文学論」

           たぶん、妻が僕に小説「記号のカクテル」を捧げてくれたから、こんなものを書く羽目になったんだろう。拓磨がほかの文化人と討論して「思索美」という考え方を振り回すのだが、それは僕の考えた言葉なので、一度文学論を書いたらどうか、という話になったのだろう。  僕のような無名のアマチュアが何を言おうが、ほとんどの人は信用しないし軽視するだろうけど、中には先入観を持たずに読んでくれる人もいるかもしれぬと思って、少しだけここに掲載します。続きがお読みになりたい方は、ぜひご購入ください。  

          「神懸かった痙攣:大坪命樹の文学論」

          「ハルモニア」鹿島田真希著

           そうとうロマンチックな話で、登場人物も個性的きわまりなく、その小説世界は美しい。本当の音楽大学がこのようであるかのように、音楽の世界が奇抜に描かれているが、たぶん本当の世界はこんなに美しくない。しかし、そういうリアリズムというか写実の芸術論というものにも、この小説では触れられていて、主人公トンボの書く曲は、経験的に日常生活の描写というものになっていった。一方のあこがれのナジャは、トンボから見ると音楽の世界の中だけで美しさを追求したような音楽を作曲していた。二つのやり方のどち

          「ハルモニア」鹿島田真希著