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タイムリー・コロナ。

 昨日は、妻と二人で文学フリマ東京36の最終準備をしていた。ブースの予行練習をして、実際に本をレイアウトしたりした。ポスターを刷ったりおまけの栞を作ったりし、ほぼ完璧に準備を整え荷造りをして、部屋のある五階からはるばる車に運んでいった。晩御飯も済ませ、もうあとは一晩寝て明日東京に出るだけだった。
 そんなときに、妻が寒気がすると言い出した。念のため、体温を測ってみると、37度以上ある。昼間に風呂に入った後、しばらく下着でいたから、湯冷めでもしたのかと、風邪薬を飲ませるが、一向に熱は下がらずむしろ上がり始めた。市販の風邪薬を飲んで寝たが、妻は寒気がするままなので、ぬれタオルを持って来たり、ポカリスエットを飲ませたり、その後も寝苦しいらしく、起きたり寝たりしていたので、妻も僕も一睡もせずに朝を迎えた。
 しかし、病院に行ってコロナでなかったら、僕だけでも上京するつもりでいた。9時に始まる発熱外来のある内科に、朝妻を連れて出ると、随分長い間診察された後、検査結果コロナ陽性と知らされた。宿は今日キャンセルすると、当日キャンセルで80%取られるが、仕方ない。一年前から楽しみにしていた春の文学フリマ東京だったが、諦めねばならなかった。何故か、春の文フリ東京は縁が薄く、今まで一回しか出られていない。この明るい季節に東京に行くのはとても楽しみだっただけに、落胆が大きかった。
 よく考えてみると、先週合評会の後の飲み会に、もうそろそろ大丈夫かと気を許して、ひさびさの会食として出席したのが原因だろう。たった一回の会食でコロナを拾うなど、まさに滅茶滅茶運が悪い。妻の運の悪さは折り紙付きである。実は僕も運が悪い。とはいえ、ひさびさの会食を許した僕の責任である。悔やんでも悔やみきれない失敗だった。
 まあ、今まで多く文学フリマにでてきたうちのたった一回ではある。また来年もあるじゃないかとも思う。でも、一年前から楽しみにしていたので、落胆は大きい。春の東京が好きなだけに、しばらく立ち直れなかった。
 ついてないなとは思うが、人生万事塞翁が馬、この欠席も未来に何かの良縁に繋がらないとも限らない。気持ちを切り替えるしかないだろう。春の東京に出られなかった代わりに、大阪に出ようと考えなくもないが、うちらはとても貧乏で、そうそうお金ばかり使えないのだ。特に今回は、宿代が80%掛かってしまった。これがもう少しまえにキャンセルできていたならば、大阪も考えてよかったかもしれない。しかし、ただで宿代の8割をドブに捨てたのは大きい。
 なんでよりにもよって、このようなお金の掛かるような失敗になってしまうのか、貧乏神に取り憑かれているのではないかと、疑いたくも成るものだ。しかしまあ、これもわれわれの人生上のさだめだったのだと諦めて、あまり悔やまないようにしよう。また、そのうち良い風も吹いてくるだろう。

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